この文章を書いている今日、9月17日は「イタリア料理」の日であるらしい。
この「〇〇」の日、と言うのは誰かが勝手に名付けて”宣言”すればよいだけだから、世の中にはたくさんの記念日が溢れている。
例えば、明日は「かいわれ大根」の日だそうだ。
また、今日からひと月後の10月17日は「沖縄そば」の日という事になる。
まあ、沖縄そばは好物なので良いとして、ほとんどの記念日が我々にとって実感のないものばかりだ。
言い出した人には思惑や動機があるのだろうが、イチ個人としては無理やり感というか、いまいちメリットが感じられないものが多い。
ただ、世のなかには素晴らしい記念日もある。
東洋化成が主催するレコードの祭典『レコードの日』というものがあって、これはなかなか良い仕事をしている。
8年目となる今年は11月2日と12月3日の2days開催。
今年は・・・って事は、そう、毎年開催日が違うのだ。
(『レコードの日』 ホームページより)
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海外でのアナログレコード・ブームから火がつき、全世界的に盛り上がりを見せるアナログレコード・シーンですが、この日本でもコロナ禍を経て、音楽を家でじっくり聴く人が年々増え続けています。
これまでサブスクで音楽を聴いていた特に若年層の間でも、アナログレコードで音楽を聴くということが”新体験”として受け入れられつつある状況で、今年は去年以上にアナログレコードに関してメディアで取り上げてもらう機会も増えました。
こうして幅広い層から注目を浴びるほど成長した日本のアナログレコード・シーンですが、その一大イベントとも言える年に一度の祭典『レコードの日 2022』が今年も2DAYSにて開催が決定致しました。
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一言でいえば、廃盤になったり手に入りにくくなったLPを再発しちゃいましょうというイベント。
ITEM 2022 | レコードの日 オフィシャルサイト (record-day.jp)
今年のラインアップをざっと見ても、元ちとせの『ワダツミの木』(2002)を12インチで聴いたり、松崎ナオの『川べりの家』(2006)を7インチで聴いたりするのは楽しそうだ。
初アナログ化される、ふーみんこと細川ふみえの『スキスキスー』(1992)にどうしても目が行ってしまう。
DJがイベント終わりの朝方にふざける時用かもしれんが、これも素晴らしい大人の遊びと言えよう。
さて、前置きが長くなったが、私が感動したのは去年の『レコードの日』のラインアップにハリー細野の『FLYING SAUCER 1947』のリイシューが入っていたことだ。
本作は、2007年に発売された、自作曲にカヴァー数曲を織り交ぜたアルバムだ。
カントリーというテイストはあるのだが、クールでありながら、スキのある間があって・・・。
まさに細野さんというべき名盤で、私は仕事に追われて頭の中がキュウッになる度にこのアルバムを聴いてきた。
冒頭を飾るカントリーシンガー、アル・デクスターの "Pistol Packin' Mama" から、夏の、陽が落ちたヴィレッジに紛れ込んだような気分になる。
続く2曲目もカントリーの名曲 "The Wayward Wind"。
しかし、ここからが細野さんの真骨頂で、3曲目 "Body Snatchers"、 4曲目 "Flying Saucer Breakdown" とオリジナルが続くのだが、前2曲と完全にシームレスである。
継ぎ目なし。
同じ世界観、そして同じクオリティ。
カントリーのスタンダード2曲と比べてですよ。
お時間あったら、唯一の新譜(当時)である Flying Saucer Breakdown を聴いてってくださいね。
(この曲の為にあなたの人生を3分半くらい使ったって、決して損はしないんだぜ)
FLYING SAUCER BREAKDOWN
あーもう、本当に素敵。
" あのお皿が飛んだのは、昭和22年、 それは7月の真夏~♪ "
なんて日本語で歌ってるのに、南部のダイナーで掛かっても違和感なし。
曲名の FLYING SAUCER はもちろん空飛ぶ円盤の事で、1947年(昭和22年)にニューメキシコ州ロズウェル付近にUFOが墜落して米軍に回収されたとされる『ロズウェル事件』の事を歌っています。
そう、本作のテーマはそのアルバム名のとおり、UFO。
細野さんはエリア51とか、本当にお好きだからね・・・。
アルバムジャケットでも、細野さんの手元をよく見ていただくと、レコーディングしながらロズウェル事件の記事に目を通しているご様子。
ちなみに曲中でも、細野さんが
「エリア51、何かが隠れてる♪」
と歌っている、エリア51(米空軍ネリス試験訓練場内の一地区)。
長らく米軍はその存在自体をひた隠しにしてきましたが、google アースにも膨大な土地がばっちり映ってるし、こりゃもう観念ってことでCIAが存在を公式に認めたのが2013年。
この2007年の名盤 『FLYING SAUCER 1947』がアナログでリリースされたのも、何とその2013年という事で・・・。
CIAの動静とも何らかの相関性を見せる本作 (笑)
その2013年リリースのアナログ盤は中古市場でも大変希少な存在となった中、この度(2021年)のリイシューに至ったという訳で。
こうやって作品が新たな生命を得て後世に伝わってゆくのは、素敵なことですね。
『レコードの日』オフィシャルの本盤の紹介ページ(↓)
HARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS – FLYING SAUCER 1947 | レコードの日 オフィシャルサイト (record-day.jp)
企業サイトもネット黎明期から一周回って再びちょっといい加減になってきている気がする今日この頃、このサイトは丁寧に作ってあってとても良いです。
<お食事、香の物>
ところで。
"Flying Saucer Breakdown" の中で、細野さんが歌っている "ケネスは目撃者 ♪" とは、米実業家のケネス・アーノルド氏の事。
同氏は 1947年6月に自家用機でワシントン州上空を飛行中、超高速で飛ぶ 9体の物体に遭遇したと主張。
この事件を報じた地元紙が「FLYING SAUCER = 空飛ぶ円盤」と名付けたことが、今日我々が持つ 未確認飛行物体 = 円盤 というイメージを決定づけました。
そして、その翌月にはニューメキシコ州でロズウェル事件が発生。
まあ、この手の話って胡散臭さと同時に、何とも抗しがたい魅力を持っているのも事実ですね。
(矢追純一さんはお元気かしら)
<水菓子>
さてさて。
ついに、こんな水菓子のコーナーまで読んでるんだから、今どちらかって言うとお時間ありますよね?
SPORTS MEN
本作収録の Sports Men がまためちゃくちゃ良くてネ。
元々はYMO在籍時の細野さんのソロ作『フィルハーモニー』(1982)の収録曲ですが。
それをカントリー/ウェスタン風にアレンジしてのセルフカヴァー。
ああ、こんな風を吹かせてくれる人がいるなら、どこまでも行ける・・・。
<熱帯雨林>