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『In The City』
2010 Fall Vol.1
Summer Rain
Beamsから発刊。
短篇小説4篇ほかを収録。
まず、エイドリアン・トミネのジャケットがよい。
内容は、あんま印象に残らない。
言うたら、片岡義男の北極グマをも凍死させそうな、極北インタビューが一番面白い。
ともあれ、街中でサラっと読むことを意図して作られた雑誌なんだろうし、それでいいんでしょ。
このサイズで、街に持ち出す文芸誌を作ろうという心意気を買いたい。
ヴィレッジブックスの 『モンキービジネス』 も、新潮社の 『yom yom』 も、持って歩くには微妙にデカいから。
一冊ごとにSummer Rain とかタイトル付けるのって、かつての米国音楽を思い出すなぁ。
しかし、2010 Fall って自分で言いながら、 Summer Rain という、この何ともトリッキーな・・・。
『フットボール・ゲリラ』 星野智幸
停車した帰宅電車の中で、突然始まるフットボール大会。
現実と非現実が交差する一篇。
『Life On Earth?』 阿部和重
夏休み、少年少女たちに撲殺されるホームレス。
こりゃ、あまりに救いがない。
多摩川、しょっちゅう行くんだけど、あの気持ちのいい土手で、こんな。
『デリバリー・マン』 川崎大助
米国音楽は創刊号から買ってた。
ギターポップ少年だった頃に。
川崎さんの処女短篇は、陰鬱な展開を最後にひっくり返す。
さらっと書いたのか、ずっと温めてたのか分からない感じ。
この人は心の若さを保っているなぁ。
『新しい家族のかたち』 桜井鈴茂
好きかどうかは別として、ぐいっと読ませる。
一番巧い。