今年が何の年だったか、賢明なる皆様ならご存知でしょう。
そう、カナダが誇るインディ・ロックバンド、ザ・ニュー・ポルノグラファーズのデビュー・アルバム『Mass Romanrtic』の発売から21周年です。(中途半端な・・・)
マタドールは、21周年を記念して、今日(12/10)この『Mass Romanrtic』をLPで再発しました。
その名も Mass Romantic LP Matador Revisionist History Edition。
真っ赤なヴァイナルで(笑)
26ポンドとお値段ちょっと高めなんですが(今週のレートで4,000円くらい)、まず、この赤い円盤だけでも買う価値があります。
聴き飽きたらフリスビーとしても使えるし。
加えて、この記念盤にはオマケで "Letter From An Occupant" の 7インチ・シングルが付いてまして。(こっちは普通の黒色)
さて、ここからが本題ですが、この7インチのB面のカップリングにご注目。
1曲は、“The End of Medicine” 、もう1曲は “When I Was a Baby.”
今夜は、このうち "When I Was a Baby" という曲について、夜通し一人で語りたいって訳。
When I Was A Baby
小生は、この ”When I Was a Baby” を聴くと人目も憚らず泣きたくなってしまいます。
この悲しい歌詞、そして、どこまでも美しいメロディ。
元々はドナー・パーティーの曲で。
ドナー・パーティーはサン・フランシスコで結成され、1986~1989年に活動したインディ・ロックバンドです。
2枚のアルバムと、1枚の未発表アルバムを残して解散しましたが、いいバンドです。
オルガン使いが良くてね。
あ、ちょっとドナー・パーティーのバージョンも聴いてみます?
When I was a Baby - Donner Party
ドナー・パーティーのバージョンは、(奇しくもポルノグラファーズの『Mass Romanrtic』が発売された2000年に) Innerstate Records が出した 「Complete Recordings 1987–1989」で聴けます。
このアルバムには1st、2ndに加え、未発に終わった3rdも収録。
いい仕事するなぁ、皆さん。
そんで、When I was a baby は、歌詞がまた絶望的で・・・。
あまりに醜く生まれてしまった赤ちゃんが、その異形ゆえにサーカスに売り飛ばされて。
捕らわれたまま、夜、床に一人横たわりながら、もし自由になれたら何をするか夢想する・・・という。
(もうちょっとエグい内容もありますが省略します)
嗚呼、もう何なの、この歌詞。
普通はこの内容だと、オリジナルのドナー・パーティみたいに、シンプルに静かに歌うのが普通だと思うんだけど。
ポルノグラファーズは、ニーコ・ケースがAメロを歌った後、まあまあな勢いでサビのコーラスを歌い上げるでしょ。
なんか、もうすごいなぁ、と。
メロディにコーラスの持つ力が加わって、別の神々しさが出てくる。
もともと、シングルのB面という発見されにくいフォーマットだったこの曲。
光をあてたのは日本です。
デビューアルバム「Mass Romanrtic」の日本盤にはボーナストラックで本曲がばっちり収録されており。
結構、海外のファンの間で、本作の日本盤は人気だったりしたのです。
小生も2000年にこの曲を聴いたときは、日本に生まれてよかった!なんて思ったもんです。
かつての日本盤にはそういう一工夫が多く見られた。
・・・さて、今宵、ここでもう一つの才能をご紹介しましょう。
この Youtube動画をご覧ください。
When I Was a Baby (New Pornographers)
この方なんですが、ニュー・ポルノグラファーズ版の "When I Was a Baby" に、ジョルジュ・メリエス の "The Infernal Cakewalk" の映像を合わせちゃいましたよ。
メリエスは黎明期のSFやホラー映画の父。
『月世界旅行』(1902) や『不可能を通る旅』(1904)を撮った、フランス人監督です。
"The Infernal Cakewalk"(米では The Cakewalk Infernal)は1903年作の短編無声映画で、当時ブームだった Cakewalk というダンスが題材。
役者でもあったメリエスは、作中、プルートとサタンの役で怪演を見せます。
この ”The Infernal Cakewalk” と、よりによって ポルノグラファーズ版の "When I Was Baby" をガッチャンコしちゃうとは・・・。
まあ、テンポが合っているのは、この手の動画編集の基本的なテクニックなんでしょうけど。
メリエスの狂気のダンスを見てるうちに、ノスタルジーと神々しさの相俟った、変な感情湧いてきません?
なんという天才的なセンスなのでしょう!!
そして、この人がこのコラボを Youtube にUPしてから、早14年。
36,000人しかコレを見ていないとは、何たる惨状か。
今宵ウヰスキーでも飲みながら、この悪魔的なコラボを見ようじゃないか。
うーむ、なんか、自分でも意味の分からない涙が出るなぁ・・・。
<おまけ>歌詞
When I was baby, I looked like a pig
My nose a snout and my ears were too big
My mother would poke at the hole
At the back of my head where my brain was exposed
I didn't know it then but never again
Would recapture those wonderful days
When I was a baby, I fell down a well
I landed deep down in the furnace of hell
The devil would rock me to sleep
With stories of cities of ivory and gold
It took a long, long time before I could
Escape from that terrible hole
When I was a baby, I lived in a crib
I crawled on floors and ate with a bib
But then I was taken away
And was sold to the circus for trinkets and beads
Now I lie awake at night and dream about
What I would do if I was ever set free
<おまけ2>
総入れ歯(そういえば)。
今思い出したけど、ニュー・ポルノグラファーズの事は3年前にも拙ブログで熱弁してました。
あまり意識してなかったけど、あたしゃ好きなんだね、このバンドの事が。