『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

映画 『ノルウェイの森』

2010-12-15 | Movie(映画):映画ってさ

 

『ノルウェイの森』

"Norwegian Wood"

監督、脚本:トラン・アン・ユン

2010年・日

 

 

あなたが迷い込んだのは、そう、エロウェイの森。

中学生が初デートとかで観にいって、アタフタしやがれ!

 

まあさぁ、87年に小説読んだ時、ヒロインの直子は・・・

直子は、もうちょっと薄口の顔を想像してましたけど。(菊地凛子)

 

直子 

直子の繊細さの表現形態が、まさかのウィスパー・ボイスとはッ。

カヒミ・カリィですか。

 

でも、すごく丁寧に、真剣に撮ってる。

こないだ、同じく村上作品の映画化である 『トニー滝谷』 の事を書いたけど、皆、真剣に仕事してるなぁ。

村上作品に挑む監督たちは。

 

もう一人のヒロイン、小林緑は、

あっちの世界に踏み込んだ主人公・ワタナベ(松山ケンイチ)を、すんでのところで現世へ呼び戻す、重要な役どころ。

 

そんな、大事な役に、トラン・アン・ユン監督は、演技初挑戦の元『セブンティーン』モデル、ダニエル紀子を抜擢!

 

あの口の端が上がってる常時笑いは、俺の中の小林緑像 (←そんなものを何年も抱えていたのか) に合致しとります、監督。

 

緑

ん? しかし、こういう顔、どっかで・・・

あ、ユン監督デビュー作 『青いパパイヤの香り』(1993) のトラン・ヌー・イエン・ケーちゃん!

(その後、監督と結婚)

 

さっき、真剣だって褒めたけど・・・

あんた、完全に己の趣味で選んだだろ、緑役!

 

緑ちゃんは、大学の学食でワタナベに話しかる登場シーンでは、聞くに堪えない棒読みで、観客の聴覚を鷲掴み。

しかし、その後は、本人が上達したのか、聴いてるこっちが慣れたのか、さして気にならなくなる。

 

第三の女性、レイコさんについては、小さい頃に原作を読んだ時から、そのキャラクターが、もう苦手で苦手で。

だから、今回誰がレイコさん役でも構わなかったんだけど、綺麗な方で。

 

そのせいか、最後にレイコさんがワタナベと過ごす一夜が、ちょっと腑に落ちた。

あれ、真面目な思春期ボーイだった俺としては、原作読んだとき、ほんまに理解に苦しんだ箇所で。

 

え、何これ? なんでこのオバちゃんとナベワタが?(ワタナベでしょ)

うわ~、アグレッシブ・・・。

気持ち悪ぅ・・・。

ってのが、トゥー・シャイ・シャイ・ボーイだった当時の俺の感想だったのさ。

 

しかし、レイコさんが精神を病んだ原因となった、過去のエピソードを省略したのは、脚本の妙だね。

あれを映画で描いちゃったら、話がそうとう発散したと思う。

映画館を出たとき、たぶん、皆そこだけ覚えてるという(笑)

賢明だったね、あそこを省いたのは。

 

映画全体については・・・

異界に踏み込んで帰ってくるってのは、村上作品の重要なテーマ。

村上さん自身が、インタビューでも再三語っているとおり。

 

そういう意味で、最後に、ワタナベが緑に電話するシーンは、とても上手く表現されてる。

 

見慣れたアパートの玄関が、正体不明な場所に思えてくるあの描写。

下手に真っ暗闇とかにせずに、その手前で止めたところは、監督のセンスを感じる。

 

話題作だけに賛否ありそうだけど、充分楽しんだよ、俺は。

  

だいぶ、長くなったね。

まぁ、つまり俺がこの映画を観て、言いたかったのは・・・

 

永沢先輩

徹頭徹尾、ブレてないのは永沢先輩だけっス。

俺、ついて行くっス。

 

ノルウェイポスター


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