カズの工具コレクション。これに電動ノコギリや脚立等‥これ何に使うんだろ❓というような新品の物もたくさん‥。もはや素人レベルではない工具の数々。自称山下工務店‥彼の未完の作品を前に毎日途方に暮れる私‥。
その昔、ティンラも業者を入れず、2人で造り上げたっけ。彼はレストランを閉めた後、私は子ども達を寝かしつけた後‥ティンラでの待ち合わせは深夜1時🕑真夜中のデートは発売したばかりのアルバム『(an imitation)blood orange』を聴きながらの‥未来へ夢を乗せての工事やさん。今ではよくやったよなぁ、と振り返る。
‥そして今、私何してるんだろう?と悲しくて悔しくて苦しくて辛い。
もう1日のルーティンも、一週間、一カ月、一年‥。何もかも抑揚なくただただメチャクチャ。
幸せだった日々は朝、家族皆を送り出して‥掃除して夕飯のことを少し考えつつ出勤。帰り道は2人で「今日何しよっか〜」とささやかな楽しみを桜並木を歩き相談しながら帰る。忙しくて頑張った日や休日前には缶ビール1本片手に‥。
週末はあと何日頑張ったら1日お休みだ〜❗️みたいな‥ね。
休日はただ家に居て、普段行かないスーパーやドラッグストアに行くだけでも楽しかったな。
四季は年中忙しかったけど、自分たちの中では何となく4月〜9月までが閑散期で10月〜3月までが繁忙期。彼は年末のお節の仕事、私は3月のコサージュの花仕事が何となくの山場。
これを乗り越えて少しだけ安堵する‥。
そしてこの月にはここの百貨店に‥というだいたいのルーティンがあって、春や秋が来た〜って思ったり。
全ての日常は狂い、予定していた未来はほぼ閉ざされた。あと一息で実現したはずの全国展開も彼なしでは事実上困難に。
今までは2人で頑張れば何とでもなるし、どんな高みまで登れるのだろう、彼の才能と私のプロデュースでどこまで行けるのだろう、その為には早く生産拠点を‥と頑張って来た。
けれど、彼を失って、もうどうにもならない、何とかしなきゃ、もただただ負担ばかりでどうにもならないという現実。
彼が死んだ日から私はずっとミゾオチの辺りが苦しくて痛い。これ、もうずっと治らないのだろうな、と思う。心の底から笑うことももうないんだろうな、実質、私の魂も一緒に死んでしまったので、ただ息してるだけなのだ。
5年前、下の子が大病を患い、1カ月に一度、救急搬送されることが5ヶ月続く事があった。その度に子どもが倒れたと連絡があったので、その後、その経験から私は電話が鳴るだけでPTSDで胸が苦しくなる。
彼の死によって、警察などよく知らない人からの定期的に鳴る電話もストレスこの上ない異常な毎日だ。
今までは何かあった時は全て彼が私の前でブロックしていたはずなのに、何でこんな矢面に立って立ち回らないといけないんだろ?
救急車の音が聞こえると彼はどんな状態で救急搬送されたのかなと苦しくなり、忌まわしい彼を殺したイギリス車見る度に動悸が起きる。
眠りから覚めた時の絶望感、変な時間に起きて良くないことをあれこれ考えてしまう眠れない無意味な時間。
体調崩してどうしようもない不安に駆られるとき。
携帯や自宅のタブレットに流れる一年前の写真。見る度にこのあと◯ヶ月後には死んじゃうんだ‥と思い、今までは楽しく眺めていた写真が苦しくて切なくなった。
私がいっぱいいっぱいだから、子ども達も色々な事を溜めて苦しんでいるという事を、中々フォロー出来ないどころか、きっと私の事も負担に思っているだろうな、なんて考えてしまったりする。子ども達の事も守らなきゃ。
彼のように才能溢れて評価されてあちこちから必要とされる人間が殺されて、何故私が生きてしまっているんだろう?
‥今からでも遅くない、交代出来たら良いのに。
彼はずるい、何も知らずに希望ばかりを抱きこの世からいなくなり、私は許せない、悔しい思いばかり募り疲れ果て、誰かを憎んで後悔して泣いてばかりいる日々。
工具箱を見ているとこの上なく楽しそうに張り切る彼の笑顔ばかりが思い出されて、この先本当にどう乗り切れば良いのかがわからなくなる‥。
もう何も元には戻らない。