"雨ニモマケズ"東北弁朗読 今野東
テレビで、集落全滅したのに
自分達は、遺体確認しないといけないから・・。って
高台のお寺や壊れた自宅で不自由な生活をしているおじいちゃん、おばあちゃんたちを
みた。
ご自身の息子さんは、消防団で年寄りを助け、二人めを救助中
津波に飲み込まれたそうだ。
インタビューにニコニコと答えていたのに
息子さんの話になって、嗚咽を始めたお母さん、おつらいですね。
私も、つらいです。
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歯医者にいって、ニュース雑誌で、津波のあとの瓦礫と泥の中で
横たわる老爺の遺体をみた。
テレビや新聞では公表しないだろう、光景。
自衛隊の人たちは、赤い布がついた杖をつかい
遺体の場所を示すそうだ。
それの墓標が、累々と並ぶ地域の写真・・・。
ショッキングだ。
そのあと、いつのも大型スーパーにいった。
なんだか、この街の空気と違うお年寄りたちがいた。
なんだろう?なにが違うのだろう?
よくわからない。
近くにいたとき、会話が聞こえた。
たぶん、東北弁。
私は、関西人だから、生の東北弁をきいたことがなく、
いっていることは、わかるが「ああ、私にできない発音とアクセントだ。」ととっさに思った。
穏やかで、優しそうで、素朴で、質素で。
そこだけ、春の陽だまりのように暖かい。
この空気感。
そのあと、ずっと気になっていて、どういう言葉で表現できるのか?
と頭の隅にあったようで、いきなり
「そうだ!『雨ニモマケズ 風ニモマケズ』の世界だ。」と気がついた。
この詩を小学校のとき、覚えたことがあった。
この世界観が、あのおじいちゃん、おばあちゃんたちを体現しているように
思えた。
この街に、避難所はないので、ご親戚を頼っていらっしゃったのだろうか?
本当は、言葉をかけたいくらいだったが、我慢して
優しい気持ちを漂わせてくださって、ありがとうございます。
と心の中で、お礼をいった。