早朝はまだお月様も光りを放ち、夜明け前の薄暗い朝に白い息を吐きながら歩いていると、朝練に向かう高校球児とすれ違いました。
頑張れ頑張れ!心の中でエールを送りつつ、、昔の事を思い出します。
今から十数年前の話です。
離婚を決意し、既に家庭内別居中だったので、元夫は常に機嫌が悪く…特に長男の態度が気に入らないと、暴言を吐いては、モラハラ道へまっしぐら。
そんなある日、、、
長男は部活の朝練に行こうと準備をしていると、
「ピンポーン!」玄関のチャイムが鳴ります。
「はーい!ちょっと待ってねー」
チャイムの主は同じ野球部のチームメイト達。
通学路の遠い順に誘い合って、今日も薄暗く寒い中を2つのいがぐり頭がモニター越しに見えました。
長男が玄関で靴を履いていると、ちょうど元夫が起きてきました。
玄関の長男を見るや否や、おはようの挨拶より先に、
「勤行はしたのか?」
冷たい低い声で放ちます。
元夫は家庭内の不和や仕事がうまくいかないのは、全て"勤行不足"招いている…そんな宗教で育ってきたので、不仲になればなるほど仏壇の前での勤行の時間は増え、子供達にも強いるようになっていました。
「勤行はしたんかって聞きよろーが!」
声を荒げると一気に怒りが沸点へ。
お友達が待ってるんだから勘弁してよ、、と私も長男も深いため息をつくと、その瞬間、元夫は長男のカバンを奪い取り、リビングの窓を開けると、真っ暗な庭に鞄の中身をぶちまけました。
「部活やら行かせんぞ!!」
「ちょ、ちょっと何するのよ!」
元夫から鞄を奪い取る私。
リビングに面したお庭の先にはいがぐり頭2つ…
玄関ドアを開けて門へ向かおうとしていた長男は、この酷い仕打ちに、
「もう朝練行かんっ!!学校も行かん!部活も辞める!」
怒りと悲しさ、悔しさと惨めさに打ちのめされて、自暴自棄になっていました。
私は懐中電灯を照らしながら暗がりの庭に放たれた教科書類を拾うと、長男に渡し、
「ここで屈したら負けよ。今までなんのために1日も休まず練習してきたの?こんな事でその記録を途絶えさせていいの?何食わぬ顔で行きなさい!お前の脅しなんか通用しない!って。堂々と!」
長男を説得して、門の外で見て見ぬふりをしてくれている2人に、
「待たせてごめんね。寒いから気をつけて行ってね。」
そう言葉をかけて3人を見送りました。
なんて事。
あれだけ登校前に泣かすのはやめてと言っているのに。
リビングに戻ると、今度は下2人の子供達が仏壇の前で正座をして勤行をさせられていました。
もう限界だな…
X DAYは2週間後だけど、早く家を出なければ…
それからの日々は、子供達を連れて家を出るタイミングをひたすら伺っていました。
長男の所属していた中学校の軟式野球部は、それはそれは熱心な顧問の先生で、全中制覇を目標に小さい日々の目標から週の目標、月の目標、半年…1年と細かい目標設定をさせて、野球ノートは毎日必須。給食は白米おかわり、行事は積極的に参加、テストの結果もレギュラー獲得に加味するとして、学校生活ありき、そして、試合でエラーすると即交代。
この厳しく緊張感のある部活に対して、当時意を唱える保護者の方もいました。
しかし、長男にとっては、ただ無心に打ち込める何か…それが野球部だった訳ですが、体を動かし、汗を流し、家の中の嫌な事を忘れられる唯一の救いだったので、私は実家に身を寄せて転校させる事よりも、アパートに逃げて戦う事を決めたのです。
今長男から野球を奪ってはいけない…
その後、元夫からは面会交流の調停を起こされますが、おそらく、弁護士に言われて、通常の流れに則ってのステップで、こんな酷い仕打ちをしておきながら、子供達への愛情云々を主張していました。
家庭調査官が子供達とそれぞれ面談をし、その調査報告書が提出されたのは、ちょうど調停が行われる日でした。
その時の話はまた次回…
さて、今シーズンのドラマで、たまたまつけていて見ていた「法廷のドラゴン」。
主人公の上白石萌音さん演じる弁護士先生が、裁判を将棋に例えて解決していくのですが…
その昔、のらりくらりな私の裁判に業を煮やして私も担当の弁護士先生に言った事があります。
「将棋の駒は準備できてます。なんなら飛車角抜いてでも勝てるはずで、後は法に基づいてどう短時間で王手をとるかを考えるのが先生の仕事でしょ!なぜこんなに時間がかかるんですか!!」
勝つために、次の手、次の手を相手の出方で変えていく手法は、将棋も裁判も似ています。
ただ、本当に時間がかかるのが裁判。
ドラマのように1話で完結したら良いのに。。。
本当に大変だったのですね。いつも思いますが、よく頑張られましたね。感心します。また、拝読楽しみにしています。なおとも
いつもコメントありがとうございます。
本当に書きたい出来事まで、まだ道のりは遠いのですが笑 平坦な道のりではなかったので100㎞歩けたのかもしれません^_^