どんな診療科でもスペシャリストの養成には時間がかかる。地域全体でそのスペシャリストの知識、技術、経験を活かせるような仕組みが必要だ。一方、慢性期の生活習慣病の管理は地域での生活の見える一般医のほうが向いているだろう。連携と役割分担が重要である。
ところで、臨床研修必修化により、ますます僻地からは医師がいなくなっている現実がある。もはや大学から医師が派遣されるという幻想を抱くことはできず、地域で医療ををそだてなくてはいけない状況である。ある研究(国立衛生院、長谷川)によると、この医師不足はしかし、医学部の定員を増やしてもかわらず、病院と診療所の配置や外来患者について調整することこそが根本解決になるという。そのためには病院と診療所との信頼関係と診療所のスキルアップが必要であり、その鍵となるのがネットワークである。
さて糖尿病である。糖尿病はは予備軍も含めて国民の6人に1人、遺伝背景と、生活背景のベストミックスされたスーパーコモンディジーズであるにもかかわらずその専門医の数は非常に少ない。コントロールが不良のまま放置しておけば確実に合併症を引き起こす。そして、腎不全⇒透析、糖尿病性網膜症⇒失明、末梢神経障害、閉塞性動脈硬化症⇒足切断。マクロアンギオパチー⇒脳梗塞、心筋梗塞という悲劇が確実に待っている。しかし多数の患者を専門医が病院で全ての診るのは不可能である。しかし病院の専門外来には患者が押し寄せ、数分の診療しかできない血糖外来となっている実態がある。
当地域にはSDネット(佐久平糖尿病ネットワーク)という糖尿病の勉強会グループがある。標準化された糖尿病の診療を地域の一般医にも広め、この地域で糖尿病に苦しむ患者を減らしたい、地域全体 で糖尿病診療を担っていこうと設立された開業医と地域の専門医の勉強会だ。そのSDネットが、千葉の「わかしお医療ネットワーク」を中心となってつくった東金病院院長の、平井 愛山先生を招いて開いた勉強会があったのでお邪魔させていただいた。
平井先生のいる、千葉県山武地区は医療過疎の地域に高い専門性と質を兼ね備えた医療を実現する充実した地域一体型の糖尿病診療ネットワークをつくりあげたことで有名である。ここでの実践は電子カルテのモデル事業等のITが注目されがちであるが、ITはあくまでもツールでそれが動く人的背景が必要、むしろコツコツとヒューマ ンネットワークを気づいてきたことが大きいという。そして病院には地域医療を守るため、地域の人材を育成する役割があるのだと平井先生は力説されていた。
かつて、山武地区でも大病院から安定期の糖尿病患者を地域の診療所、開業医に返そうと逆紹介しても患者はなかなか行ってくれなかった。やはりあらゆる検査もでき専門家がそろった大病院のほうがいろいろな意味で安心であり、それは理解できる。しかし、病院と診療所が、情報共有し、同じ目線で最新の診療ができることを何らかの形で担保されると患者さんは安心して診療所に行ってくれるという。
そのために病院が東金病院が中心となってさまざまな仕掛けをつくった。ひとつは、診療所医師と、かかりつけ診療所のコメディカルスタッフのスキルアップのための手を変え品を変えた継続的な勉強会、そしてSDMなどのオンラインマニュアルによるベストプラクティスの共有と実践である。さらに最低限の臨床データ、目標値、投薬内容、検査データ等の最低限の情報が相方向でリアルタイムで見れるシンプルな情報共有システムを利用して、最初は患者は病院と診療所に交互に受診。おちつけば普段は診療所、年一回の病院の受診では病院でしかできない検査をおこなうというように役割分担し、地域循環型の医療連携システムをつくりあげた。
この実践を続けることで、病院の専門外来のノウハウをどんどん診療所に移していき、ついに500人のインスリン自己注射患者を20の診療所で見られるようになった。(様々なインスリン製剤を使い分け、強化インスリン療法も行えるところもでてきた。)また、一次予防にも力をいれ行政とともに地域完結型疾病管理プログラムも推進している。・・・というようなお話でした。 ということで、「これは当地でもやりましょう」、と佐久医師会、浅間病院の先生、SDネットもやる気のようです。
これは糖尿病に限らず、高血圧、心房細動等の慢性疾患、リハビリ、在宅ケア、緩和ケア等も、おなじような仕組みでできそうですね。まずは、院内で多職種の勉強会、情報共有の仕組みをつくり、それを地域に広げていく必要がありそうです。
ところで、臨床研修必修化により、ますます僻地からは医師がいなくなっている現実がある。もはや大学から医師が派遣されるという幻想を抱くことはできず、地域で医療ををそだてなくてはいけない状況である。ある研究(国立衛生院、長谷川)によると、この医師不足はしかし、医学部の定員を増やしてもかわらず、病院と診療所の配置や外来患者について調整することこそが根本解決になるという。そのためには病院と診療所との信頼関係と診療所のスキルアップが必要であり、その鍵となるのがネットワークである。
さて糖尿病である。糖尿病はは予備軍も含めて国民の6人に1人、遺伝背景と、生活背景のベストミックスされたスーパーコモンディジーズであるにもかかわらずその専門医の数は非常に少ない。コントロールが不良のまま放置しておけば確実に合併症を引き起こす。そして、腎不全⇒透析、糖尿病性網膜症⇒失明、末梢神経障害、閉塞性動脈硬化症⇒足切断。マクロアンギオパチー⇒脳梗塞、心筋梗塞という悲劇が確実に待っている。しかし多数の患者を専門医が病院で全ての診るのは不可能である。しかし病院の専門外来には患者が押し寄せ、数分の診療しかできない血糖外来となっている実態がある。
当地域にはSDネット(佐久平糖尿病ネットワーク)という糖尿病の勉強会グループがある。標準化された糖尿病の診療を地域の一般医にも広め、この地域で糖尿病に苦しむ患者を減らしたい、地域全体 で糖尿病診療を担っていこうと設立された開業医と地域の専門医の勉強会だ。そのSDネットが、千葉の「わかしお医療ネットワーク」を中心となってつくった東金病院院長の、平井 愛山先生を招いて開いた勉強会があったのでお邪魔させていただいた。
平井先生のいる、千葉県山武地区は医療過疎の地域に高い専門性と質を兼ね備えた医療を実現する充実した地域一体型の糖尿病診療ネットワークをつくりあげたことで有名である。ここでの実践は電子カルテのモデル事業等のITが注目されがちであるが、ITはあくまでもツールでそれが動く人的背景が必要、むしろコツコツとヒューマ ンネットワークを気づいてきたことが大きいという。そして病院には地域医療を守るため、地域の人材を育成する役割があるのだと平井先生は力説されていた。
かつて、山武地区でも大病院から安定期の糖尿病患者を地域の診療所、開業医に返そうと逆紹介しても患者はなかなか行ってくれなかった。やはりあらゆる検査もでき専門家がそろった大病院のほうがいろいろな意味で安心であり、それは理解できる。しかし、病院と診療所が、情報共有し、同じ目線で最新の診療ができることを何らかの形で担保されると患者さんは安心して診療所に行ってくれるという。
そのために病院が東金病院が中心となってさまざまな仕掛けをつくった。ひとつは、診療所医師と、かかりつけ診療所のコメディカルスタッフのスキルアップのための手を変え品を変えた継続的な勉強会、そしてSDMなどのオンラインマニュアルによるベストプラクティスの共有と実践である。さらに最低限の臨床データ、目標値、投薬内容、検査データ等の最低限の情報が相方向でリアルタイムで見れるシンプルな情報共有システムを利用して、最初は患者は病院と診療所に交互に受診。おちつけば普段は診療所、年一回の病院の受診では病院でしかできない検査をおこなうというように役割分担し、地域循環型の医療連携システムをつくりあげた。
この実践を続けることで、病院の専門外来のノウハウをどんどん診療所に移していき、ついに500人のインスリン自己注射患者を20の診療所で見られるようになった。(様々なインスリン製剤を使い分け、強化インスリン療法も行えるところもでてきた。)また、一次予防にも力をいれ行政とともに地域完結型疾病管理プログラムも推進している。・・・というようなお話でした。 ということで、「これは当地でもやりましょう」、と佐久医師会、浅間病院の先生、SDネットもやる気のようです。
これは糖尿病に限らず、高血圧、心房細動等の慢性疾患、リハビリ、在宅ケア、緩和ケア等も、おなじような仕組みでできそうですね。まずは、院内で多職種の勉強会、情報共有の仕組みをつくり、それを地域に広げていく必要がありそうです。