リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

★お知らせ★




思うところがあってFC2ブログに引っ越しました。 引越し先はこちらで新規の投稿はすべて引越し先のブログのみとなります。

うつや依存症がよくなれないワケ その2

2009年10月23日 | Weblog
「うつ」と依存症は裏表の関係にあるといえる。

依存症に関して述べさせてもらうと、依存対象は、アルコールや麻薬、覚せい剤など薬物の場合もあるし、過食嘔吐やダイエット、仕事や買い物、ネットやギャンブルなどプロセスの場合もある。
また特定の人間や宗教、人間関係のトラブルへの依存もある。
境界性パーソナリティ障害というのはまさに人間関係やトラブルへの依存と言える。
また自己愛性パーソナリティ障害というのは誇大すぎる自己イメージへの依存し動けなくなった状態と言える。
ミュンヒハウゼン症候群や身体表現性障害など病気への依存もある。
最近では長期間の引きこもりという状態も依存症モデルとしてとらえるのが主流である。

そしてまた「うつ」も依存対象になりうるのだ。

これらに共通するのは自ら成長することを拒んだ状態であり、言葉をかえれば慢性的な自殺であるとも言えよう。
何かに依存している間は人は深く考えることから逃げつづけるために成長しない。
そして依存している事実を否認し、認めたがらない。

これらの依存症にはかならず悪循環が存在し、容易によくなれない心理が存在する。
「いまさらよくなれない。」というのが本音の場合もあろう。

しかし、どこかで自らの問題に直面化し、いい意味で開き直り、覚悟を決めてできることから取り組んでいく必要がある。
(これをリカバリーという。)
このリカバリーを果たせていない状態で、単に依存対象から引き離すと、よりどころがなくなり生きていけない人がでてくる。

リカバリーを果たし社会で居場所をみつけていくためにはガイドとしての専門家と仲間が必要だ。
その中でリハビリを行いながらすこしずつ、再出発できるように適切にステップを刻んだ支援が必要である。

これが依存症、そして「新型うつ」の基本的な治療戦略である。