リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
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リハビリテーションからリカバリーへ その3

2010年05月10日 | Weblog
初期研修をどこでするかはかなりまよったのですが、結局縁のあった佐久病院でさせていただくことにしました。

全国から集まった研修医がたくさんいるの佐久病院ではくじでローテーションの順番や内科系のどの科を回るのかを決めるのですが最初は胃腸科でした。
地域医療をとおもって佐久病院に行ったのに、佐久病院の胃腸科と言えば世界最先端の早期癌の内視鏡による診断と治療をやっているグループであり、そんなことは全然知らなかったのでおどろきの連続でした。

内視鏡の見学などの一方で癌の化学療法や緩和医療をおこなっている消化器癌のターミナルの人なんかにもかかわらせていただきました。

看護師さんだった患者さんにはかわいがられ、採血をさせてもらったりルートをとらしせてもらったり、いろいろ教わりました。

研修が始まって1ヶ月目の頃、認知症のあるお婆ちゃんが食べては吐くという主訴で入院してきまして担当になりました。精査の結果、胃がんによる幽門閉塞がみつかりました。
しかしステントや手術による治療はちょっと難しそうだということになりました。
しかし廊下にあるきだして帰りたい帰りたいと言います。家族もそれなら返してやりたいと言いい、ケースワーカーさんと、在宅部門の先生とかかいろんな人に相談したら、あれよあれよという間に家に帰れることになりました。
嫁と娘が交代で見るような体制で在宅ケアのセッティングが整いました。地域ケア科の先生と往診を行い、補助栄養を少しだけ食べたりしながら帰ってからちょうど1週間くらいで亡くなりました。
朝、指導医と一緒に看取りにいったんですが、孫たちが口紅つけたり、皆で着替えさせたりして・・・。

「おばあちゃん、派手すぎるよなんて笑え声がおきたりして。」

家族の人には「先生、いい勉強をしたね。」なんていわれて・・・。
それが自分の最初の看取りでした。
医師としての自分の原点になっています。

(つづく)