同時に強いことも。
人は自分の好きなこと、好きなものに負けます。
賭け事の好きな人は、自分の身を滅ぼしてまで、やめようとはしません。
幻の愛を求める人は、家族を崩壊させても、それを求めるでしょう。
自分の子供だけを愛してやまない人は、他人(ひと)の子は平気でにくむでしょう。
そうなると、人はとても弱いものです。
反対に、逆境(ぎゃっきょう)は人を強くするともいえます。
嫌(きら)いなもの、嫌いな人が必ずしも長い人生のなかで、マイナスになるわけではありません。
私はあるとき、おおきな裏切りにあいました。
私の社会的な立場が、閉ざされてもおかしくないようなことでした。
結果的には、何事もなくすみましたが、当時私はそのことを、とてもうらみに思いました。
時がすぎ、私はふと、あの裏切りが、今の私を守ってくれていることに気づきました。
そのことがあって、私はとても慎重に行動するようになりました。
言葉を選び、話してよいこと、話してよい人を慎重に選ぶようになりました。
注意深く行動すれば、何事もないことがわかりました。
私があの時裏切られたことによって、私は注意深く行動することを学び、大きな意味で私は守られたのです。
自分にとって、不都合(ふつごう)なことが、自分を守り、自分にとって、良かれとしてすることが自分を滅ぼすことがあるのでしょう。
そのこと(自分を滅ぼすもの)を霊的な伝統は、強くいましめていたことに、年限をかさねることによってやっとわかりました。