情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

訴訟手続きにおいても、情報の流通が阻害されようとしている…

2005-03-27 15:05:07 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 市民が刑事手続きに参加する裁判員制度の導入を前に、改正された刑事訴訟法が施行されるため、刑事訴訟法規則の改正作業が行われている。
 この内容が、先頃、明らかになったが、問題点も多い。情報流通の面でいえば、検察官が開示した証拠を弁護人が裁判手続きやその準備に使う以外の目的で、人に渡したり示したり、インターネットで送ったりして、裁判の迅速な進行を妨げた場合、裁判所が弁護士会に懲戒請求するよう求めることとなる点が大いに問題である。
 すなわち、まずは、開示された証拠の中に違法捜査がなされたことがかなり明白なもの(例えば、ねつ造など)があった場合、「こんなに悪質な捜査が行われています」とメディアに取り上げてもらうことが可能であった。しかし、今後は、そのような情報提供を行うことができなくなってしまう。
 次に、裁判所に弁護人を脅す武器を持たせること自体、公平な裁判を実現することが困難になるように思うのです。

 情報流通を阻害する流れはあちらからもこちらからも…

3月26日

2005-03-27 06:24:49 | 日記(事件など中心に)
寝過ごしたっ!!朝8時の打合せだったのに、起きたら、10時…。携帯に出てくれない…。本当にごめんなさい。

気を取り直しつつ、数件の打合せ。午後からは、ある深刻な事故の遺族との打合せ。相手は、大企業と国になりそう…。
国家賠償請求訴訟(国賠)って、なかなか、裁判所が認めてくれないのが実態だけど、被害者は、「国なんだから、普通の人より、責任が重く問われて当たり前じゃないか」って感覚だから、そのギャップを理解してもらうのが大変。こんなギャップは早くなくして欲しいもんだ。

人権擁護法案の必要性…鎮静衣など6時間、拘置中の男性死亡

2005-03-27 06:17:06 | 人権擁護法案(原則必要派)
 読売新聞に「鎮静衣など6時間、拘置中の男性死亡…埼玉・深谷署」という見出しのもと、
【25日午前8時半ごろ、埼玉県警深谷署の留置場で、出入国管理法違反容疑(旅券不携帯)で拘置中の自称タイ国籍の男性(40)が顔を真っ青にしているのに看守が気づいた。男性は、市内の病院に収容されたが、間もなく死亡した。
 同署によると、男性が24日午後9時ごろから、3人部屋で大声を上げたり、壁に体をぶつけたりしたため、25日午前1時ごろから、腹部に両手を固定する「ベルト手錠」や、袋に入れたまま手足を固定する「鎮静衣」を使用した。同7時15分ごろ、鎮静衣を解いたという。
 同署の柴崎幹愛副署長は「ベルト手錠や鎮静衣は適正に使用していた。司法解剖で詳しい死因を調べたい」と話している。】
という記事が掲載されている。http://news.goo.ne.jp/news/yomiuri/shakai/20050325/20050325i515-yol.html

旅券、すなわちパスポートを持っていなかったばかりに、彼は、死ぬ羽目になった。彼の行為は、鎮静衣を使用されてまで警察に留置されなければならない行為だろうか。
極端な話をすれば、あなたが旅行中に、ホテルにパスポートを置き忘れえていたところ、たまたま警察の職務質問を受け、そのまま、留置場に入れられ、言葉も通じぬまま、「おかしいじゃないか」と強く抗議したら、鎮静衣を使用されたってことではないでしょうか(本件がそういう事案かどうかは判らないが…)。

こういう場合、刑事事件としては、警察官は不起訴になるだろうし、彼が外国人であるだけに遺族が国家賠償請求訴訟で争うことも困難だ。
人権救済機関はこういうときに必要ではないでしょうか?

※過去の事例
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/iken/04/2004_33.html

※これもどうだか…
「裁判官訴追委、事務局長人事見直し 委員長ら改善策協議へ」
 国会の裁判官訴追委員会の森山真弓委員長と川崎二郎衆院議院運営委員長が、週明けにも会談し、訴追委の歴代事務局長に裁判官出身者が就任している現状を見直し、改善策をまとめる方向となった。
 これは二十五日に国会内で開かれた同委の庶務小委員会の協議を受けたもの。小委員会では、「裁判官の実態を知らない人では訴追委の事務局長は務まらない」との意見もあったものの、「世間から不審に思われるのはよく分かる」など、慣習の改善を求める意見が相次いだ。
 具体的な改善策としては、事務局長が辞めたあとに再び裁判官に復帰している現行の慣例を改め、事務局長を「最終ポスト」とする案も浮上している。ただ、「最終ポストにふさわしい給与や待遇を保証するのは難しい」など否定的な声も強く、二十八日にも、森山、川崎両氏が改善策を協議することになった。
 訴追委は、裁判官にふさわしくない行為をし、職務義務に違反した裁判官を罷免するため、裁判官弾劾裁判所に訴追する機関で、衆参各十人の議員が委員となっている。
 先月二十八日の衆院予算委第一分科会では、東京地裁民事部の裁判長出身である高田健一・訴追委事務局長が、歴代事務局長の後歴について「いったん東京高裁に戻った後、各裁判所の所長になっている人が多い」と答弁。民主党の高山智司氏が、「(裁判官弾劾制度の)制度趣旨に反する」と指摘していた。
(産経新聞) - 3月26日3時24分更新http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050326-00000007-san-pol

原則と例外をはき違えさせた先輩…

2005-03-27 06:00:17 | 愉快な仲間たち(赤裸々な実態?)
 「いやぁ、この事務所にいていいのか、不安になりましたよ」、深夜2時、接見(拘置所や警察の留置場=代用監獄に拘束されている被疑者・被告人と面会すること)から帰ってきた同僚が、にやっとしながら話し始めた。
 彼は、先輩に連れられて深夜接見をして以来、深夜接見がすっかりお気に入りで、当然のように、11時、12時の接見を繰り返していた(拘置所は5時まで)。警察の留置場は9時消灯なので、さすがにその後に接見するのは迷惑だろうが、身柄を拘束されている人にとって、弁護士と接見することは非常に重要であり、特に事実を争っている場合など、当然、毎日会う必要がある。したがって、深夜接見となってでも、会わねばならない。その点、彼は間違ってはいない。
 ところが、留置場の担当警察官が、「前のときは何も言わなかったけど、何度も深夜に来るのは遠慮して欲しい。私も留置管理やって短くはないけど、いつも夜中に接見に来る弁護士はあなたを入れて3人しか知らない。しかも、そのうちの1人はあなたの事務所の弁護士だ」と宣ったそうだ。
 彼は、そこで始めて、接見は原則9時までということを知り、先輩弁護士の教えが例外であったことを学んだ。
 
 彼に原則と例外をはき違えさせた先輩が、言うまでもなく、件の3人のうちの1人。彼は、「3人のうちの1人」を長い間しているだけあって、接見について、いろんな伝説を持っている。
 曰く、接見がえらい長いので、留置担当者がノックした後、接見室を覗いたら、被疑者と彼がすやすや寝ていた。
 曰く、深夜接見中に彼が寝てしまったが、被疑者は仕方ないとあきらめ、目覚めるのをほほえんで待っていた。
 曰く、連日厳しい取り調べを受けている被疑者に深夜接見に行ったところ、「今日は疲れているから勘弁してくれ」って言われ、事務所に戻ったところ、それは「人権侵害だ。眠らせてやらなきゃ」っと同僚に批判(?!)された。
 曰く、その次の日、朝5時頃、接見に行き、被疑者に「よく眠れたか」っと声を掛けた。

 この先輩と後輩については、後日談があり、懲りずに深夜接見をしていた後輩が、例によって、遅いから明日にしてくれっていう留置担当者を口説いて、接見をしていたところ、外でなにやら、口論している様子。しばらく、接見を続けていたら、ノックされ、留置担当者に、「次の弁護士がいるので、そろそろ、終わりにして欲しい」と言われた。「さっきはあんなにダメだって言ったのに、次の人を許可したんだ」って、彼はポツリ漏らしたという。早めに切り上げて、出たところ、外で待っていたのは、件の3人のうちの1人である先輩だった…。

 ところで、もう1人はだれだ???