情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

日本の公安ってば…立て看ぐらいで,逮捕すんなよ

2006-03-19 01:43:38 | 適正手続(裁判員・可視化など)
産経新聞によれば,【中核派系全学連が法政大学に設置した立て看板の撤去作業を妨害したとして、警視庁公安部と麹町署は14日、威力業務妨害などの現行犯で、同全学連の委員長、織田陽介容疑者(24)や法政大の学生を含む活動家の男女計29人を逮捕した。いずれも黙秘している。】という。

【調べでは、織田容疑者らは14日午後零時半ごろ、東京都千代田区富士見の法政大市ケ谷キャンパスに管理者の許可を得ずに侵入。中核派系全学連が設置した高さ約1.5メートル、幅約4.5メートルの立て看板を撤去しようとしていた大学職員の作業を妨害した疑い。】だという。

 これに対し,全学連中央書記局は,次のような緊急アピールを発している。

 【警視庁と法大当局は、その後、「大学側が立て看板の撤去作業をしていた際、活動家らが抵抗したためトラブルになった」などと言って、あたかも「威力業務妨害」の事実があったかのように主張していますが、まったくの大うそです。
 事実は、学生が昼のデモを終えて、キャンパスに戻ってきたときを見計らって、法大当局が立て看板の撤去作業を開始し、それに対して学生は、その周辺で抗議のシュプレヒコールをあげました。法大当局はこれを「威力業務妨害」だというのです。こんなふざけた話はありません。そもそも「トラブル」の原因をつくり出したのは誰なのか。法大当局の側ではありませんか。しかも学生のシュプレヒコールを指して「威力業務妨害」などというのは、まったくお話にもなりません。
 しかも、警視庁と法大当局は「キャンパスに管理者の許可を得ずに侵入した」などと言っていますが、まったくのデタラメです。だいたい、曲がりなりにも大学という場において、他大学の学生がキャンパスに一歩足を踏み入れただけで、一言の会話も討論もなく、「不法侵入」と決めつけ、警察に通報し、逮捕させるなどということがあっていいのでしょうか。
 こんなことがまかり通ったら、もはや大学は大学ではありません。こんなデタラメが許されるはずがありません。
 何よりも、不当逮捕された29人の中には、法政大の学生も含まれています。法政大の学生が自分の大学のキャンパスに入ることが「建造物侵入」なのでしょうか。この一点を見ても、警視庁と法大当局の不正、不正義は完全に明らかです。】

フランスでは,【上下両院で約三カ月の審議の末、九日に「雇用平等法」の一部として可決されたが、学生らは「仮契約の恒久化」「雇用の不安定化」などと反発。パリ大学など全国八十四の公立大学のうち約半数が九日からストなどに突入、七日のデモには学生や労組、野党など全国で百万人(主催者発表、警察発表は約四十万人)が参加した。】(産経)という状態で,【一部は火炎瓶や石を投げるなど過激化。治安部隊の四十六人が負傷し、学生ら約三百人が逮捕された。】(西日本)という。

立て看ぐらい多めに見てやれんかね…。

 

外国人の指紋は70年以上保有~入管法改正案 えっ,じゃぁ,日本人のも…

2006-03-19 00:08:33 | 適正手続(裁判員・可視化など)
日本に入国する16歳以上の外国人に、指紋など個人識別情報の提供を義務づける出入国管理法の改正案の正体が実は,日本人の海外旅行客の指紋,顔写真を修習することを可能にする「顔写真・指紋データ収集法」であることは,ここで書いたとおりですが,17日の法務委員会質疑において,法務省が、取得した情報を70~80年にわたって保有する方針であることが明らかになった(朝日新聞)。

メディアプレーヤーの調子が悪く,直接,国会TVを見ることができないので,朝日新聞の情報のみですが,【河野太郎副大臣は17日の衆院法務委で「(指紋などは)偽造旅券などを見破る重要な情報。その人物がもう一度日本に来る可能性があれば保存が必要だ。基本的にその人間が生きている間は保有する。16歳以上から採取するので70~80年は保有したい」と述べた。】らしい。

これまで,法務省は,情報の保有期間について、「不必要になれば速やかに廃棄する」とし、具体的な回答を避けてきたが,まったく,虚偽の回答であったことが分かった。このような法案に関する説明で虚偽を述べることの問題性は,偽メールの比ではない。本来なら,虚偽回答ということで,各社一面トップで扱ってもいいくらいだ。それくらい書かないと,「どうせいい加減なこといって切り抜けて成立させてしまえばいいんだ」ということになってしまう。

私たち国民だって,偽メールで,民主党に抗議の電話を入れるくらいなら,偽回答をしていた法務省に抗議をするべきではないか!

ところで,日本が70年も外国人のデータを保有しているってことは,当然,外国(いまは米国)でも同じ期間,データを保有していると考えた方がよさそうだが…。米国の空港には,確か,直ぐに廃棄するという趣旨のことが書いてあったような気もする…。

米国での保管期間が70年だとするとそれはそれで日本人のデータが長期間にわたって保有され,日本の捜査機関がアクセスできるのだから問題だし,もし,米国の保管期間が対象者が出国するまでだとしたら日本の制度の異常性がはっきりする。

野党の質問ではその辺は明確にさせてほしい(それまでにメディアプレーヤーを直しておかないと…)。

ちなみに,米国国土安全保障省のウエブサイトでは,

US VISIT has published a Privacy Impact Assessment that ensures that personal information is used appropriately, protected from misuse and improper disclosure and destroyed when no longer needed(必要なくなれば,消去する). This will be updated as necessary.【US-VISIT Fact Sheet】 とあるのみ…。

さらに,【US-VISIT Privacy Policy】を見ると,

7. How long is information retained?
(情報はいつまで保存されるのでしょうか?)
Personal information collected by US-VISIT will be retained and destroyed in accordance with applicable legal and regulatory requirements(US-VISIT により,取得される個人情報は,適切な法律及び規則の要請に従って保存し,廃棄される).

とあるだけで,いつまで保管されるのか,まったく,分からない…。それでいいのか,米国人。あ,そうか,自分たちのことだと思っていないからね…。でも,日本で同じ制度ができたら,日本を訪問する米国人の指紋データなどは米国の捜査機関がアクセスするようになりまっせ!

念のため,US-VISITプログラムとは、 【生体認証バイオメトリクス式、米出入国審査・監視システムです。US VISIT生体認証プログラムは、米国入国者のデジタル写真や指紋を登録し、外国人の出入国、滞在期間や違法行為等を自動的にコンピューターで管理する包括的な監視・管理システムです。指紋照合や身分証明技術を導入するUS VISIT生体認証システムで収集した外国人の情報は、ICE移民局やその他の政府機関のデータベースと照合され、検索結果によっては、米国訪問者は入国を拒否されたり、米国在住の外国人は米国外退去審問の対象になります。】(ここ)というもの。

まったく,子供が人間型宇宙人対策プログラムとして考えつきそうな仕組みだなぁ…。


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