情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

NHK、高裁で提出した陳述書を訂正?!~番組改編訴訟

2006-03-23 23:12:22 | NHK番組改編事件
22日、女性国際戦犯法廷を取り上げた番組のチーフプロデューサーだった永田浩三・衛星放送局統括担当部長が東京高裁に出廷し,伊東局長から放送前、歴史教科書問題を扱った本に書かれてあった中川昭一衆院議員の名前を示され、「言ってきているのはこの人たちよ」と聞かされたと証言したことに対して,【NHKは23日、当時の伊東律子・番組制作局長の陳述書の一部に誤りがあったとして、訂正する方針を明らかにした。】(朝日)という。

 訂正しようとしている陳述書は,NHKが昨年7月に東京高裁に提出したもので、【伊東氏は「(放送5日前の1月)25日ごろだったと思うが、職員が書店で購入して届けてくれた。時間がなく放送終了まで読まなかった」と記していた。一方、23日の定例会見で原田豊彦・放送総局長は「本は、職員が放送2日後の2月1日に局内の資料室から借りた。番組制作局長が放送前に手にした可能性はほとんどない」と説明した。】という。

 NHK広報局は「本人の記憶違いなので陳述書を訂正する。真実に近づくため、裁判では時々あることで異例ではない」と話しているというが…。いずれが真実だろうか…。

 ちなみに,伊東氏の陳述書の該当部分には次のように記載されている。

【確かこの25日ころだったと思いますが,場組制作局企画開発の職員が「歴史教科書への疑問」という500ページくらいの厚い本を書店で購入しました,と届けてくれていました。本の編者を見ると,「日本の前途と歴史教科書を考える若手疑委員の会」という長い名前のグループでしたが私は知りませんでした。あまりに厚いのと時間がなかったので結局放送が終了するまで読みませんでした。自分では読んでいなかったので結局室を訪れた吉岡部長らに対して「こういった本もあるけど読んだことはあるか」と尋ねたことはあったように記憶しています。】

…これがでたらめだっていうのか…。

NHK番組改変問題~安倍への説明「出向いたことに」:チーフプロデューサーが証言

2006-03-23 01:15:28 | NHK番組改編事件
野島氏から松尾氏に「1月29日は安倍氏に呼びつけられたのではなく,こちらから説明に行ったというゆうに話して欲しい」「よく覚えていないという回答ではどうだろうか」~朝日新聞によると,【NHKの番組が01年、放送直前に改変された問題で、取材対象の市民団体とNHKなどが争っている訴訟の口頭弁論が22日、東京高裁で開かれ、当時のチーフプロデューサー・永田浩三氏が証人として出廷した。朝日新聞の記事などで番組への政治家の関与が指摘された後の昨年1月、NHK幹部らが対応を話し合った際、放送前に安倍晋三衆院議員に会った経緯について「呼びつけられたのでなく、こちらから出向いたことにしよう」とのやりとりがあったと証言した。話し合いに参加した上司から聞いた内容として明らかにした。】

 NHKは、これまで,番組放送前に安倍氏に番組内容を説明したことについて,「呼び出されたのではなく、事業計画の事前説明のために出向いた」と説明していたが,その説明の信憑性に重大な疑義を投げかける証言であった。

 【永田氏の証言によると、「出向いた」とすることは、松尾武・元放送総局長と、国会対策担当だった野島直樹・元総合企画室担当局長との間で決まり、永田氏は、その場にいた上司から直接聞いたという。「NHKの公式見解と違い、衝撃的な内容だった。本当なのかなあと思った。(NHKは)真実は何か、世間に説明するべきだ」と述べた。】(朝日)。

 この点,永田氏が証言の際,内容が正しいことを確認したNHK有志作成の時系列表には吉岡部長(当時)の発言として次のように書かれている。

■■引用開始■■
 1月14日,松尾元総局長に呼ばれ,4階に集合した。1月12日の朝日新聞の記事への対処を話し合う場だった。野島元担当局長(現理事)伊東元番組制作局長(現顧問)白髪頭の人がいた。宮下理事も10分くらい顔を出した。松尾氏が記者会見を行う相談だったが,「やる」という決断はくだらなかった。野島氏から松尾氏に「1月29日は安倍氏に呼びつけられたのではなく,こちらから説明に行ったというゆうに話して欲しい」と要望があった。松尾氏は苦りきった顔で「よく覚えていないという回答ではどうだろうか」といい,そこに落ち着いたようであった。
■■引用終了■■

 また,【永田氏は、番組改変の過程で、伊東律子・番組制作局長(当時)の部屋に呼ばれたと言及。伊東氏は、歴史教科書問題に取り組む議員グループの著書に載った名簿を示し、中川昭一衆院議員の名前を指さしながら「言ってきているのは、この人たちよ」と話した】(朝日)という。

 この点,上記時系列表の永田氏の発言の欄には次の通り記載されている。

■■引用開始■■
この頃(番組が放送された30日の4日前の26日ころ),伊東番組制作局長は,局長室にある本「歴史教科書への疑問(日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会編)」のページを開き,中川昭一,安倍晋三の名前を指して,「この人たちだ」と言った。「こんな本が出てるの読んだ?どう読んでみない?」勧める。吉岡部長から伊東局長にこの本を勧められたことをすでに聞いていたので,自分にも同じことをするのだなと考えた。
■■引用終了■■

番組が43分,41分へと削られていったのは,この26日の後,29日,30日のことであった。

30日の放送直前に3分間カットされたシーンについて,上記時系列表の吉岡部長の欄に,
【松尾総局長の部屋に行くと,松尾,伊東,野島がいた。伊東:「自民党は甘くなかったわよ。吉岡ちゃん」 中略 松尾「○○ページを開けろ。ここからここまでなし」次々台本上で削除箇所を示した。それまでファジー男の松尾総局長がはじめて見せた屹然とした態度だった。誰かに台本を見せて決定した。その決定の通り伝えているに違いないと感じた】
と書かれている。

この証言をどのように受け止めますか?