情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

本日、警官の過剰発砲による致死を遺族が提訴+告訴~必要な限度とは

2007-08-30 03:36:14 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 
 
 
 上記下野新聞に記載されたように、職質をされて逃げただけで、結果的に射殺された中国人男性の妻らが、今日、警官を任用している栃木県を相手にして、慰謝料など約5000万円の損害賠償を請求するとともに、特別公務員暴行陵虐致死罪(※1)で宇都宮地検に告訴する。記事左下の最高裁判例にあるように、逮捕行為を一時中断し、同僚警察官の到着を待つことは十分可能であり、その方法によって十分対処できる場合にまで拳銃を発砲することは違法であり、その結果、死亡に至らしめたことに対し責任をとらなければならない。それにもかかわらず、県警は正当防衛だと安易に判断し、発砲警官及び監督責任者は何らの責任もとらされなかった。身内に甘い警察に宇都宮地裁及び宇都宮地検がいかなる判断を下すか注目される。

 警官の発砲で死亡したのは、中国人研修生で、オーバーステー状態ではあったが、そのほかの犯罪を行った様子は一切ない。現場は、田園地帯で、仮にこの研修生が石をもって近寄ってきたとしても、いったん離れて態勢を立て直せばよく、拳銃発砲の必要性はまったくなかった。警職法7条の規定(※2)に関する上記最高裁判例はこの点、非常に明確だ。

 なお、身内で庇い合うことを避けるため、特別公務員暴行陵虐罪には、付審判請求手続が適用される。付審判とは、告訴しても検察が警察を庇って起訴しないことも考えられるため、不起訴の場合、弁護士に検察官の役割をさせて起訴するよう求める手続のことだ。

 もちろん、裁判所の判断で付審判請求を認めないこともできる。そこで、市民が注目し、安易な判断をさせないようにする必要がある。

 本日の提訴は、テレビニュースでも流される予定のようだ。

※1
(特別公務員暴行陵虐)
第195条
1 裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する。
2 法令により拘禁された者を看守し又は護送する者がその拘禁された者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときも、前項と同様とする。
(特別公務員職権濫用等致死傷)
第196条 前2条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。


※2
(武器の使用)
第7条 
 警察官は、犯人の逮捕若しくは逃走の防止、自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。但し、刑法(明治40年法律第45号)第36条(正当防衛)若しくは同法第37条(緊急避難)に該当する場合又は左の各号の一に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
 1.死刑又は無期若しくは長期3年以上の懲役若しくは禁こにあたる兇悪な罪を現に犯し、若しくは既に犯したと疑うに足りる十分な理由のある者がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他の手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のあるとき。
 2.逮捕状により逮捕する際又は勾引状若しくは勾留状を執行する際その本人がその者に対する警察官の職務の執行に対して抵抗し、若しくは逃亡しようとするとき又は第三者がその者を逃がそうとして警察官に抵抗するとき、これを防ぎ、又は逮捕するために他に手段がないと警察官において信ずるに足りる相当な理由のある場合。




 
 

★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。なお、安倍辞任までの間、字数が許す限り、タイトルに安倍辞任要求を盛り込むようにしています(ここ←参照下さい)。