情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

弁護士会を司法制度に巣くう病巣だとする橋下弁護士こそ、弁護士会に巣くう病巣では?

2007-06-23 01:13:20 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 橋下弁護士がなぜ、光市母子殺人事件の弁護団を懲戒するよう煽ったのか、よく分からなかったが、「SAPIO」2007年6月27日号を見て、単に、注目を浴びるための手段でしかないことがよく分かり、悲しくなった。

 上記SAPIOの記事は、「悪徳弁護士を一掃できない!自浄能力なき『弁護士会』は解散すべし」というタイトル。確かに、弁護士会に問題がないわけではない。弁護士の依頼者に対する立場から、金目当ての悪徳弁護士による被害は大きく、自浄能力がないという批判は、必ずしも間違っているとはいえない。しかし、問題は、ここで、彼がいう「悪徳弁護士」とは、何を指しているのか、だ。

 第1に、彼は、これまでは経験ゼロの若造でも独立して法律事務所の看板を掲げればボロ儲けできたが、今後は、「実務経験がまったくないまま独立することが不可能になる」一方、弁護士の大増員によって弁護士が増え、弁護士が安く使えるため、大手法律事務所や一般企業で経験を積み、独立心のある者が看板を掲げるようになる。つまり、「実務経験を積んで実力を備えた弁護士だけが独立するようになり、しかも競争が激しいわけだから、むしろ質もサービスも向上する」という。

 まったくのでたらめ。これまでは、新たに弁護士になる者が限定されていたから、ほとんどの者が法律事務所に就職し、あるいは地方では弁護士会が手厚くバックアップし、経験を積むことができた。しかし、今後は、新たに弁護士になる者の数が多すぎて、いきなり独立するしか選択のない者がどんどん増えてくる。すでにここで書いたが、【2007年秋、従来通りのシステムで誕生する法曹(裁判官、検察官含む)が1455人、ロースクールのシステムで誕生する法曹が991人を予定しているが、数百人が就職できないと噂されている】のが実態だ。それとも橋下弁護士は、数百人を一人で雇ってくれるとでもいうのだろうか。

 また、大規模事務所や企業で鍛えられるというのもでたらめ。もちろん、企業法務には精通するだろうが、そういうところの弁護士は法廷にほとんど足を運ばない者も多い。だから、法廷での尋問技術などの経験は積めない。つまり、一般市民が期待する弁護士には、大規模事務所や企業でいくら経験を積んでも、なりえないのだ。

 第2に、橋下弁護士は、多重債務の整理に関わる弁護士を批判する。もちろん、弁護士でない者と提携して債務整理をしたり、事務員に債務整理を全て任せる弁護士に問題があるのは確かだ。
 しかし、多重債務問題は、借財した本人が家族から責められる構造をもっており、家族が敵味方に分かれて苦しむという点で非常に問題がある。つまり、普通の法的紛争なら、家族が一丸となってそれに当たることができるが、多重債務は家族の中が崩壊してしまうのだ。そこをカウンセリングしながら家族を立て直すことはその家族にとってとても大切であり、重要な業務だ。この業務に携わる弁護士を卑下するかのように、「それにしても昔は、債務整理というのは、誰でもできる仕事で、専門家があえて国家資格を背景にやる仕事ではなく(中略)。弁護士も仕事を選べる弁護士と、仕事を選べない弁護士に二極化してきたな、と痛切に感じさせられた」などと批判するのはまったく不当な評価である。
 サラ金が堂々とゴールデンタイムにCMを流し、サラ金被害が拡大したからこそ、それに対応して弁護士が業務を行っているのであり、そもそも、サラ金を批判すべきだ。しかも、弁護士会は、利息を下げるよう運動し、サラ金被害自体が発生しなくなるよう働きかけているのだ。つまり、自らの業務が減ることになってでも、多重債務に苦しむ人を減らそうとしている。そういうことをこの橋下弁護士は考えたことがあるのだろうか。そもそも、「仕事を選べる弁護士」とはどのような弁護士を指すのか?苦しんでいる人に対し、俺は仕事を選べる弁護士だから、と言って、放置することが、仕事を選ぶことだとしたら、私は、そんな弁護士にはなりたくはない。

 第3に、橋下弁護士は、ヤメ検弁護士が刑事裁判に強いのは単なる幻想だと批判する。そのこと自体には賛同するが、かといって、橋下弁護士が言うところの大型事務所や企業で企業法務の経験を積んだ弁護士が、ヤメ検よりも刑事事件に長けているとも思わない(言い回し修正。ご指摘多謝)。

 第4に、橋下弁護士は、アメリカでは、大事故の現場に弁護士がわらわら押し寄せ、被害者に訴訟を持ちかけるが、着手金はゼロで成功報酬のみを受け取るシステムで、弁護士を雇えない貧しい人のためになるので悪い精度ではないという。
 しかし、アメリカの報酬は、獲得した金額の3分の1という日本では考えにくい割合であり、それでも構わないというのだろうか。むしろ、公的援助(リーガルサービス)の拡充を図るべきだろう。

 第5に、橋下弁護士は、「以上のような理由で、僕は弁護士の数を増やすことが業界の健全化につながると考えている」というが、まったく意味不明…。

 第6に、橋下弁護士は、ロースクールを批判するが、批判の内容が的を射ていない(字句修正。ご指摘多謝)。ロースクール創設の趣旨は、「人間的素養にあふれる法律家を社会に輩出するためだった」が、ロースクールで人間的素養はつかないというのだが、そもそも、ロースクール創設の趣旨は、弁護士の数を増やすためであり、それ以上のものではない。従来の2年間の司法修習制度では研修所という箱が足りないし、いったん司法試験合格者を増やしても簡単に減らすことができる。しかし、ロースクールができれば、いきなり、ロースクールを半分にすることはできないから、弁護士増の勢いを止めることができなくなる。だから、従来の司法試験ではなく、ロースクールにしたのであり、そのこと自体が根本の問題なのだ。

 第7に、弁護士会が「憲法改正手続き法案の抜本的見直し」や「共謀罪反対」の運動に取り組むことを批判する。強制的な組織は政治的な意見表明をしてはいけないというのだ。
 しかし、これもおかしい。弁護士会は、ある一定の政治的な立場に立って、上記のような運動をしているのではない。憲法、法に携わるプロフェッショナル集団として、憲法改正手続き法案において国民主権が軽視されていることを批判し、また、共謀罪が従前の刑法概念を覆し人権を侵害するおそれが大きいから反対しているのだ。それを「政治的な意見表明」とは…。橋下弁護士は、地べたをはいずるような弁護活動とは無縁だったのだろう。

 第8に、弁護士会の自浄能力批判をする。顧客の預り金を使い込む弁護士への処分が甘いというが、これはまともな批判だろう。

 第9に、「さらに大きな問題は、『死刑廃止』など特定のイデオロギーを持つ弁護士が、裁判を利用してみずからの主義主張を広めようとする行為をやめないことである」として、光市の母子殺人事件の弁護団の主張を荒唐無稽と批判し、「この弁護団が自分たちの主張を展開しているだけなのだ」と述べたうえ、「これほどまで被害者や遺族を愚弄した弁護活動はない」という。

 ここに至るともはやあきれるしかない。確かに、上記弁護団に死刑廃止論者が多いのは事実だが、彼らが、この裁判を利用して、死刑廃止を広めようとしているといえるだろうか。そんなはずがない。彼らだって馬鹿ではないのだから、荒唐無稽ととられるような主張をすることが死刑廃止にとって意味のあることかどうかはよく分かっているはずだ。それにもかかわらず、彼らがそのような主張をするのは、被告人が主張しているからであり、「弁護団が自分たちの主張を展開している」はずがない。私に言わせれば、橋下弁護士の主張こそ、「これほどにまでまじめな弁護活動を愚弄した主張はない」。

 第10に、麻原弁護団が控訴趣意書を提出期限内に提出せず死刑を確定させたことを批判するが、裁判所が事実上認めていた提出期限を急遽短くして、提出をさせなかったという事実経過を無視した議論だ。

 以上のように、まともな弁護士活動をしている弁護士であれば、あきれはてる主張を橋下弁護士はしている。その主張は、まるで、法的な考え方に慣れていない市民に媚びるかのようである。

 橋下弁護士は、麻原弁護団らを処分できない弁護士会は日本の司法制度に巣くう病巣だと述べる。私には、橋下弁護士こそ、弁護士会を的はずれに批判して市民に媚びる「弁護士会に巣くう病巣」のように思えてならない。











★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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背中の痛みが飛んだ3日間~心因性肩痛ってあるのでしょうか…

2007-06-22 01:35:57 | 愉快な仲間たち(赤裸々な実態?)
 今週は、実は月曜日の夕方に緊急事態が発覚し、それに対応するため月曜日の夜は睡眠1時間、火曜日の夜は睡眠時間ゼロ(水曜日昼仮眠1時間)、水曜日の夜は睡眠時間ゼロ(木曜日昼タクシー睡眠40分)、という過密スケジュールで、このブログの更新もままならず、それどころか、一時的とはいえ「人気ブログ」になっていることにさえ気づかず、コメント、TBの公開が遅れました。すみません。

 で、本題ですが、ここ2週間、肩甲骨あたりから首筋にかけて、えっらい痛み(肩こりのひどい感じ。じっとしていても痛い)に耐えかねていたのですが、この3日間は、体もびっくりしたためか痛みがかなり軽減していた。ところが、一息ついた今日の午後から、何だか、痛みがぶり返したみたい…。

 う~ん、痛みが緊張感で緩和されたのだとすると、心因性の肩痛なのかなぁ…って思ったりもするんですが、そんなことってあるのでしょうか?

 ところで、本日の会議で、事務所が手狭になったため、愛用ソファーの撤去が決定、おいらもいよいよ、地べた族(←クリック)?

 

 




★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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なぜ、経営者側の発想に立つことが国民のためなのか~安倍「官リストラ」発言こそ、国民軽視!

2007-06-22 00:51:09 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 安倍って人の頭の構造はどうなっているのか、一方で、国会会期延長に批判的な声に対しては、「技術的な選挙の勝利ではなく、国のために何をすべきかという観点から考えなければならない。そうでない政治家は辞めた方がいい」(下記時事通信)と述べる一方、「民間はリストラを断行し、生き残りをかけた努力をしてきたが、公務員だけが、誰も責任が問われることなく時期がくれば昇格する古いシステムを温存してきた」と指摘したという。

 国民の多くを占める労働者にとっては、リストラを断行されるのは、迷惑やねん。もちろん、本当に会社の経営が厳しくてリストラしなければならない場面もありうるだろうが、実際にはその必要もないのに(一時的)業績アップを図るためにリストラする例も多い。企業の収益が非常に高い一方で、リストラを「正義」だとする見解は、「国民」のためになるとは到底思えない。よって、安倍さん、あなたから、辞めてください。

…と思ってよく安倍発言を見たら、「国民のため」という用語と「国のため」という用語が出てくる。

もちろん、「国のため」=「国民のため」というお考えに立った見解ならご立派だが、安倍の頭には「国のため」=「われわれ支配層のため」という図式がありつつ、「国のため」を「国民のため」と言い換えてごまかしているのではないだろうか?

多くの国民が労働者である以上、経営者の側に立った発言は、必ずしも国民の側に立った発言とは言い難い。

多くの労働者にとっては「解雇の心配がなく、過労死の心配もない労働」こそが望ましいはずだ。それなのに、労働者も経営者の視点に立って考えるべきであるかのような風潮がまかり通っている。まさに安倍の用語と同様、「国のため」=「支配者層のため」にもかかわらず、「国のため」=「国民のため」と思わされているのだ。

税金で給料を支払っている公務員をリストラすることを当然視するのではなく、簡単にリストラを許す民間こそ異常であること、労働者が互いに足を引っ張り合うのではなく、支え合うこと、この視点を忘れてはならない。

そして、いまこそ、会社単位の組合ではなく、産業単位の組合を結成し、労働者の権利の確立を図るべきなのではないでしょうか。同じ仕事に就いているのに、待遇が違うことを認めることが労働者にとって有利なこととは思えない。

のうのうと生きるため、産業単位の組合を結成するよう労組に求めよう!



■■時事通信引用開始■■

安倍晋三首相は21日夜、今国会の会期延長について「国民のために何をすべきかという観点から判断した」と説明した。その上で、自民党内の批判に関し「技術的な選挙の勝利ではなく、国のために何をすべきかという観点から考えなければならない。そうでない政治家は辞めた方がいい」と強くけん制した。
 首相は延長の理由について、国家公務員法改正案や社会保険庁改革関連法案、年金時効撤廃特例法案を挙げた上で、「こうした法案を成立させることはわたしの大きな責任だ。この国会で何としても果たさなければならない」と説明。参院選では「こうした判断、わたしの信念も含めて国民の審判を仰ぎたい」と述べた。

■■引用終了■■


■■産経引用開始■■

安倍晋三首相は21日配信の安倍内閣メールマガジンで、国会終盤の焦点となっている国家公務員法改正案など公務員制度改革に関連し「民間はリストラを断行し、生き残りをかけた努力をしてきたが、公務員だけが、誰も責任が問われることなく時期がくれば昇格する古いシステムを温存してきた」と指摘、法案の成立にあらためて意欲を示した。

 首相は「『公務員は民間に再就職させずに、全員が定年まで働けるようにした方がいい』という意見もあるが、理解できない」との見解を示し、「官のリストラを進めていくと同時に、天下り問題を根絶していくのが政府案の考え方だ」と強調した。

■■引用終了■■














★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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フランクリン・D・ローズヴェルト大統領らの原爆投下を裁く民衆法廷7月16日判決!

2007-06-20 22:47:57 | 有事法制関連
 戦争の悲惨さを考える重要な機会となる「原爆を裁く国際民衆法廷・広島」の判決公判が、7月16日、平和記念資料館で開かれる。なぜ、極めて悲惨な結果をもたらすことが分かっていた原爆が落とされたのか、を考えることは、平和を構築するために何をするべきかを考えることにもつながるのではないでしょうか。

 
【原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島 判決公判 開廷】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
昨年7月15日-16日に開廷された「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」において、米軍による広島、長崎両市への原爆投下は重大な「戦争犯罪」であり、且つ残虐な「人道に対する罪」であるという判決が下されました。来る7月16日には判決全文が言い渡されます。

■■引用開始■■

私たちはこの画期的な判決文を受け、今後、核兵器廃絶への、ひいては戦争廃絶への運動をいかに推進していくべきかを皆さんとともに考え実践していきたいと思ます。

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■開廷日
2007年7月16日(月・祝)午後1時(開場0:30)
■会場
「メモリアルホール」
(平和公園内、広島平和記念資料館地下)
広島市中区中島町1-2 電話:082-242-7798
http://www.pcf.city.hiroshima.jp/frame/Virtual_j/tour_j/guide2.html
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◆判決文朗読(裁判長)
レノックス・ハインズ教授
米国、ラトガーズ大学法学部、国際法・刑法、
国際民主法律家協会(IADL)終身国連代表、
フィリピン国際民衆法廷判事

◆判事まとめ(判事)
家 正治教授
日本、姫路獨協大学法学部、国際法・国際機構論、
神戸市外国語大学名誉教授、日本国際法律家協会副会長

◆判決受け取りと挨拶(被爆者)
坪井 直
日本被団協代表委員
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―判決の意義と今後の核廃絶運動―
<パネリスト>
●カルロス・ヴァルガス教授
(コスタリカ、コスタリカ国際法律大学法学部、
国際法、国際反核法律家協会副会長、当民衆法廷判事)
●井上正信
(弁護士、広島弁護士会、当民衆法廷検事)
●高橋昭博
(被爆者、広島)
●下平作江
(被爆者、長崎)
●前田 朗
(東京造形大学教授、国際人道法)
<コーディネーター>
●田中利幸
(当民衆法廷実行委員会共同代表)

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■ご賛同とご協力のお願い
賛同金:個人一口500円、団体一口5,000円
郵便振替口座番号:01310-6-93301
口座名義:原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島

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■主催
「原爆投下を裁く国際民衆法廷・広島」実行委員会

■共同代表
坪井 直(被爆者)
佐々木猛也(弁護士)
田中利幸(広島平和研究所教授)

■連絡先
〒730-0005
広島市中区西白島町18-4城北ビル2階 足立修一法律事務所内
Tel:082-211-2441
Fax:082-211-3331
E-mail:info@abomb-hiroshima-tribunal.com

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■被告人
フランクリン・D・ローズヴェルト大統領
ハリー・S・トルーマン大統領
ジェームズ・F・バーンズ国務長官
ヘンリー・スティムソン陸軍長官
ジョージ・マーシャル陸軍参謀総長
トーマス・T・ハンディ陸軍参謀総長代行
ヘンリー・アーノルド陸軍航空隊総司令官
カール・スパーツ陸軍戦略航空隊総指揮官
カーティス・ルメイ第20爆撃軍司令官
ポール・ティベッツ中佐(エノラゲイ機長)
ウィリアム・パーソンズ大佐(エノラゲイ爆撃指揮官)
チャールズ・スィーニー大尉(ボックスカー機長)
フレデリック・アシュワーズ中佐(ボックスカー爆撃指揮官)
レスリー・グローヴズ少将(マンハッタン計画・総司令官)
ロバート・オッペンハイマー(ロスアラモス研究所所長)


判決要旨
レノックス・ハインズ判事団長が事実認定を行い、起訴状の内容をおおむね認めた。カルロス・ヴァルガス判事が法的結論を述べた。

まず、共同謀議者として起訴された次の9人の被告人、すなわち、フランクリン・D・ローズヴェルト大統領、ハリー・S・トルーマン大統領、ジェームズ・F・バーンズ国務長官、ヘンリー・L・スティムソン陸軍長官、ジョージ・C・マーシャル陸軍参謀総長、トーマス・T・ハンディ陸軍参謀総長代行、ヘンリー・H・アーノルド陸軍航空隊総司令官、レスリー・R・グローヴズ少将(マンハッタン計画・総司令官)、ジュリアス・R・オッペンハイマー(ロスアラモス科学研究所所長)の全員に対して、極東軍事裁判所条例5条ロ(通常の戦争犯罪)、5条ハ(人道に対する罪)につきすべて有罪。

次に実行行為者として起訴された被告人11人について、すなわち、ハリー・S・トルーマン大統領、ヘンリー・L・スティムソン陸軍長官、ジョージ・C・マーシャル陸軍参謀総長、トーマス・T・ハンディ陸軍参謀総長代行、ヘンリー・H・アーノルド陸軍航空隊総司令官、カール・A・スパーツ陸軍戦略航空隊総指揮官、カーティス・E・ルメイ第20航空軍司令官、ポール・W・ティベッツ中佐(エノラゲイ機長)、ウィリアム・S・パーソンズ大佐(エノラゲイ爆撃指揮官)、チャールズ・W・スウィーニー大尉(ボックスカー機長)、フレデリック・L・アシュワーズ中佐(ボックスカー爆撃指揮官)の全員に対して、極東軍事裁判所条例5条ロ(通常の戦争犯罪)、5条ハ(人道に対する罪)につきすべて有罪。

※正式な判決文は来春をめどに出る予定です。


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勧告
当法廷は以上の判決理由及び結論に基づきアメリカ合衆国に対し以下の勧告を行うものである。

アメリカ合衆国は、1945年8月6日及び同月9日の原爆投下が国際法に違反すること認め、核兵器の投下は国際法上違法であるという宣言を文書として国立博物館に永久に保存し公開しなければならない。


アメリカ合衆国は、広島・長崎で被爆したすべての被爆者及びその親族に対し、公式に謝罪し賠償を支払わなければならない。


アメリカ合衆国政府は、核兵器を使用した唯一の国家として二度と核兵器を使用しないこと約束しなければならない。


アメリカ合衆国は、核兵器を全面的に廃絶し、また地上から核兵器を廃絶するためのあらゆる努力をしなければならない。


アメリカ合衆国は、関係の場所に原爆被爆者慰霊碑を建立し、また原爆投下は国際法に違反することを教育制度の中で国民に教えなければならない。

「以上」。


■■引用終了■■










★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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毎日新聞がアッキーよいしょ記事~問題点が指摘されているのに恥ずかしくないのか

2007-06-19 02:43:15 | メディア(知るための手段のあり方)
 週刊新潮でさえ、というと新潮にしかられるかも知れないが、同誌でさえ【ホワイトハウスを驚かせた「勘違いアッキー」の大暴走」】という記事を書いて、様々な問題点を指摘した安倍夫人の昭恵氏について、毎日が手放しのよいしょ記事(←クリック)を大展開した。

 【安倍首相の地元、山口県が梅雨入りした日の朝、毎日新聞社を訪れた昭恵さんは、青と白のギンガムチェックのスーツに真珠のピアス、白いハンドバッグといういでたち。背筋をピンと伸ばして歩く姿が印象的だ】という書き出しで始まる本文、

【「主人が来年、首相であるかどうかというのが、今の時点では、分からないみたいで。アハハハハ」。つられて大笑いしたが、本来、笑える話ではない。ただでさえ、年金記録のずさん管理問題などで内閣支持率が急落している。一気に政局が流動化しかねない問題を、さらりとかわしてしまった。しかし永田町の誰しもが思っていることを笑い飛ばし、場を明るく変えてしまう力をお持ちのようだ】、

【昭恵さんはフットワークの軽さでも定評がある。公邸を飛び出し、「自分の行きたい所、見たい所」を訪ね、積極的に市民との交流を続けている。ミャンマーに学校を建てるボランティア活動にも参加する。幼いころから聖心で奉仕の精神を学んだことがきっかけだ】という提灯情報、

【自分の夫が連日、マスコミの批判にさらされるとなると……。どうお考えだろう。「どなたでもそうだとは思いますが、あまり気持ちいいものではありません。でも、こういう立場にいたら仕方がないとは思っています。なるべく、気分の悪くなるものは読まないようにしています」。今度は照れ笑い。しかし、一瞬だけ目の色が曇った】という批判封じ…。

自民党機関紙「自由民主」ですら、やらないのではないかと思われるほどの持ち上げぶり+批判封じ込めぶりだ…。

参院選を前にこのような提灯記事を書かせた毎日新聞幹部の見識を疑う。









 




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産経が年金記録紛失で政府が1年前から対応協議との特ダネ?!~この情報は見出しになるのでは?

2007-06-18 05:57:32 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 産経が【検証 年金攻防】という企画をしており、(下)は、「社保庁に官邸激怒 犯人捜し…国民の目厳しく 」という見出しで書かれていた。ところが、内容を見て驚いた。【年金記録紛失問題は首相官邸にとって古くて新しい問題だった。民主党の長妻昭衆院議員がこの問題を最初に国会で追及したのは昨年6月。まだ小泉純一郎前政権だったが、当時の首相秘書官らは「年金未納問題よりもずっと深刻だ」と考え、ひそかに対応策を協議していた。昨年9月に安倍政権に代わり、この話はうやむやとなり、顧みられることは少なくなった】というのだ。

 えっ、それって、特ダネではないのか?というか、もし、既に特ダネとして書かれていたとしても、このことを伝えるのに、こんなにさらっと書いて良いのか?その当時、分かっていたら、なぜ、政府は対応策をとらなかったのか、という視点を常に入れるべきではないのか?しかも、「検証」と銘打った記事の中でだ?あまりに読者を馬鹿にした記事ではないのか?

 例えば、社民党が北朝鮮拉致問題を実は発覚する1年前から知っていたという情報があったとしよう。産経は、その情報を拉致問題検証記事の中でさらっと取り上げるだけにするはずはないだろう。どでかく1面トップで来るだろう。

 なぜ、今回の年金問題の特ダネ情報はさらっと流すのか…。

 ところで、ネット上で、朝日批判はよくされるが、産経批判はあまりされないのは、なぜなんでしょうか…。
 




 




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なぜ、犯罪被害者のみがクローズアップされるのか~戦没者、戦時被虐殺・被虐待者のことは忘れるのか!

2007-06-17 11:05:36 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 犯罪被害者の人権というと何か「特別に」守らなければならないような風潮になったのは、いつからだろうか? そして、確かに犯罪被害者の人権を擁護することは大切だが、それはあくまでも①その被害者の被害回復、②今後同様の被害が起きないような予防、という2つの観点からなされるべきものであるはずなのに、被害者の復讐心を満足させることが犯罪被害者の人権を擁護することになるかのようなムードがつくられたのは、なぜだろうか?

 例えば、公害被害者、薬害被害者、経済的困窮を理由として亡くなる多くの自殺者などの方々と、犯罪被害者とは、別の次元で考えなければならないのだろうか。イタイイタイ病で苦しみ人、アスベスト被害で肺ガンになった人、じん肺で苦しむ人、これらの人の気持ちは犯罪被害者のようには保護されなくてよいのだろうか。

 確かに、犯罪被害者の「敵」は分かりやすい。だから、復讐心をぶつけやすい。テレビを見ている人も感情を移入しやすい。犯行の手口は卑劣で、怒りを呼ぶものであることも多い。

 しかし、例えば、薬害被害で亡くなった方の遺族の復讐心が、犯罪被害者で亡くなった方の遺族の復讐心よりも保護されなくてよいという理屈があるのだろうか?

 そして、国家が加害者である場合、私たちは、声高に、加害者(担当官僚)を死刑にしろ、と叫ぶことがないのはなぜだろうか?

 政府は犯罪被害者対策に熱心に取り組み、自民党の新憲法案には、犯罪被害者の人権が盛り込まれている。なぜ、「犯罪被害者」のみがクローズアップされるのだろうか?

 国家が犯罪被害者に寄り添うことにより、市民の目を国家の犯罪から反らそうとしている。これが実態なのではないだろうか。つまり、国家が犯罪被害者を利用しているわけだ。

 もし、国家が本気で犯罪被害者対策を考えているならば、なぜ、第2次大戦で殺した自国や他国の多くの市民に、手厚い対策をしないのか。無謀な戦争を起こし、負けると分かっていて戦争を継続したという未曾有の犯罪行為について、なぜ、国家は真剣に取り組まないのか?

 共通の敵をつくることで国家がいかにも市民に寄り添っているように見せかける、こんな単純な手口に騙されて良いのだろうか?

 年間1万人の交通事故死亡者を本気でなくそうとはしていない政府、3万人の自殺者の対策には具体的な対応をしようとはしていない政府、自衛隊を存続させるために無用な不安を煽る政府、そういう政府がなぜ犯罪被害者対策には熱心なのか?よ~く考える必要があるのではないだろうか?   

 そして、もう一つ考えなければならないことがある。いま、光市の母子殺人事件で、被告人を死刑にしろ、とか、弁護人はトンでもない奴だ、と叫ぶ方々の中には、殺人マシーンである自動車を運転している人、あるいは、将来、運転するつもりである人も多いと思う。

 あなたの「死刑にしろ」という叫びとあなたの(将来の)運転行為は、矛盾しないのだろうか? 年間1万人が亡くなるマシーンを操ることは、殺人常習者を世に解き放つことと、社会に与える危険性という意味では、どう違うのだろうか?

 
※写真は、「イタイイタイ病患者を診察する萩野医師」(ここ←より)。


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※「橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなた、取り下げるべきだとアドバイスします!」
※「集団リンチは許されない~光市母子殺人事件~死刑は国家を予防措置実現義務から解放するものでしかない」








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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橋下弁護士の口車に乗って光市事件弁護団の懲戒請求をしたあなた、取り下げるべきだとアドバイスします!

2007-06-16 13:01:31 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 橋下弁護士がテレビの番組で、光市母子殺人事件にからんで、誰でも懲戒請求できるとコメントしたことから、弁護士会に懲戒請求が相次いでいるらしい。しかし、橋下弁護士は、安易な懲戒請求が違法行為となり、損害賠償の対象となることの説明はしなかったのだろうか。もし、しなかったとしたら、橋下弁護士は不法行為を煽る行為を行ったのであり、橋下弁護士こそが懲戒の対象となるべきだと思う。【追記:その2その3その4その5あり。それぞれをクリックして下さい】

 平成19年4月24日、最高裁第3小法廷は、懲戒【請求をする者は,懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように,対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負うものというべきである。そうすると,同項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合において,請求者が,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒を請求するなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成すると解するのが相当である】としている(ここ←クリック)。

 橋下弁護士は、懲戒請求をしても、光市の弁護団が懲戒されるとは思っていないはずだ。もし、本気でそう思っているなら、弁護士失格だ。弁護人は、一見、不合理だと思われることでも、被告人がその主張をしてほしいと望むのであれば、法廷で主張することもある。そのこと自体が懲戒の対象となるならば、弁護活動に多大な支障を来すことになる。

 おそらく、橋下弁護士に煽られて懲戒請求した人も、本気で懲戒されるとは思っていないだろう。軽い抗議のつもりで懲戒請求しているのだろう。

 そのような懲戒請求は、明らかに違法な行為であり、光市母子殺人事件の弁護団が損害賠償請求をしたら支払い義務を負うことになるだろう。

 そして、多くの懲戒請求者はそのことを知らないまま、懲戒請求したのだろうが、知らなかったと言って、責任を免れるわけではない。

 もちろん、上記最高裁判決に触れることなく(?)、懲戒請求を煽った橋下弁護士の責任が大きいのだから、直ちに懲戒請求を撤回すれば、法的にも損害賠償義務は軽減される。

 専門家として、直ちに、懲戒請求を撤回されることをお奨めします。

 なお、私の事件そのものに関する見解は、ここここで書いたとおりです。

 









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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-アベさんとコムスンでつくる美しい老後の国-橋本勝の政治漫画再生計画第75回

2007-06-16 11:51:17 | 橋本勝の政治漫画再生計画
【橋本勝さんのコメント】
 昨年の統計によれば日本は、世界1の長寿国の地位を保っている。でも、いつまで続くのかなと思わざるをえない。あっという間に平均寿命は下がるのである。平和憲法のもとでの順調な経済成長で、1億中流社会ともいわれた日本は安全で暮らしやすい国でした。その国民が安心して生きていけるはずの日本の仕組みが、ガラガラとくずれている。そんな今の日本を象徴するのがお立ち台の上で握手する安倍首相と折口会長の姿。つい先日、老後の暮らしの支えとなる年金、その記録が5000万件も消えてしまっていることが発覚。そして訪問介護の最大手コムスンが、不正請求していたことが明らかになった。社会的弱者を金儲けの対象としか考えない事業が、招いた当然の結果である。庶民の暮らしの不安をよそに、改憲して戦争できる国づくりに熱心な首相と、金儲けがすべての会長のもとでは、たくさんの人たちが、老後の人生を謳歌し、楽しく歌い、踊っていられるわけがない、苦しみと不安から、叫びと怒りの声を上げる老人たち、ああ、こんな日本にダレがした。


【ヤメ蚊】
 お立ち台の上に立っている人が、お立ち台の上にいない人を人としてみないようになってきているのが問題ですよね。ここまでされたら、お立ち台をひっくり返してもいいのだけど…。











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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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土屋弁護士に対する容疑は完全なでっち上げだ~選挙前に有権者の目をごまかす禁じ手

2007-06-15 07:58:22 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 読売新聞によれば、【在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中央本部(東京都千代田区)の土地・建物の移転登記問題で、東京地検特捜部は14日午後、朝鮮総連側代理人で元日本弁護士連合会会長の土屋公献(こうけん)弁護士(84)の自宅(練馬区)や事務所(中央区)を電磁的公正証書原本不実記録の疑いで捜索した。緒方重威(しげたけ)・元公安調査庁長官(73)が代表取締役を務める投資顧問会社の前代表取締役だった公認会計士の事務所(千代田区)も、捜索対象となった。特捜部は、土地などの売買は差し押さえ逃れの仮装取引で、強制執行妨害にあたる疑いもあるとみて捜査を進めている】、【朝鮮総連は整理回収機構から不良債権の約627億円の返還を求めた訴訟で、18日に判決を控えている。朝鮮総連が敗訴すれば、本部の土地・建物が差し押さえられる可能性がある。特捜部では、出資者の存在がはっきりせず、購入資金調達の見通しがないなど売買の実態がないのに移転登記したことは、差し押さえを免れる目的で、財産が譲渡されたように仮装する強制執行妨害の可能性があるとみている】という。

 確かに、この取引は、元公安調査庁長官がからんでいるなど、気になる点があるのは間違いない。

 しかし、犯罪として捜査対象になるかといえば、それは、まったくならない。

 なぜか、それは、そもそも、売買なんていうのは当事者の合意だから、代金は後払いで登記だけ先行させることは問題にはならないし、強制執行妨害っていったって、実際には、6月18日に判決が出るまでは、客観的に犯しようがないからだ。

 完全なフレームアップだ。①6月18日に判決が出た後で、なお、②代金の受領がないまま、③登記を元に戻さず、その結果、強制執行を妨害することになるならば、場合によっては、検察・警察が介入する余地があるだろうが、①~③が満たされていない状況で、捜査が先行したのは、「国策捜査」としか言いようがない!

 整理回収機構といえば、死刑廃止などに尽力していた安田弁護士を同様の容疑で長期間勾留させたことがあるが、今回の事件は、①~③を満たしていないだけに、さらに、明白かつ悪質な人権弁護士潰しだと思う。

 土屋公献弁護士を支援し、東京地検の国策捜査に反対する声をお願いします!


※画像はこちらより。










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辺野古沖調査再開~駆けつけることができない人は、資金援助を!

2007-06-14 06:21:09 | 有事法制関連
 海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」派遣という形で「国民」に牙を剥く体質が明らかとなった辺野古沖米軍基地事前調査が、6月9日から再開したらしい。連日、体を張って、基地建設に反対している人たちのお疲れも大変なものだと思う。そこで、沖縄の弁護士にどこにカンパをしたらいいか、相談した。ボンベを背負って自ら潜って阻止活動をしたこともある彼は、次のような手紙を送ってくれた。

■■引用開始■■
 一時中断した防衛施設局による調査が6月9日から再開され、現場では激しい攻防が繰り返されています。
 海上保安庁による取締が厳しく、言いがかりとしか思えない海上検問を繰り返して反対派の船の航行を妨害したり、防衛施設局雇われ業者からの一方的な被害申告に基づいて、反対派から事情聴取をしようとしたり、無茶苦茶です。
 私も何度も現場から呼び出され、けっこうしんどい毎日です。明日も早朝から現場に行かなければなりません。
 本土の方々に少しでもこの状況が分かっていただければ嬉しい限りです。
■■引用終了■■

そして、彼は、最新の辺野古のパンフレットを同封し、そのパンフレットで紹介されている「アセス監視団」「ヘリ基地反対協」をカンパ先として推薦してくれた。特にヘリ基地反対協は、船の燃料費や維持費などで相当経費がかかっているらしい。

ぶんご派遣が伝えられたとき、私は、怒りの余り、現場に乗り込みたいと決意表明したが、多忙から実現できないままになっている。せめて、現場に行ったつもりでカンパをしたいと思う。

両団体の活動に共鳴された方はぜひ支援してほしい!カンパ先は、上記サイトをご参照下さい。

※写真は、『現況調査(事前調査)』関連資料~沖縄県は、「調査」海域使用同意を撤回し、那覇防衛施設局は、アセス法違反の調査機器設置作業を中止せよ!」の一部。










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「だって、僕がやったんじゃないんだも~ん」年金記録漏れ問題対処の幼稚さ~大人になれよ

2007-06-13 06:49:52 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 子どものころ、長年の不祥事が発覚したときに、現役の責任者が責任をとらされることに違和感を感じたことがある。というのも、現役の責任者が任についたときには、その不祥事はすでに発生しており、むしろ、不祥事が発生したときの責任者の問題なのではないかと思ったからだ。それだけでなく、責任者は直接はその不祥事を知りうる立場になかったのだから、その不祥事を犯した者の直接の上司などが責任をとるべきではないのだろうか、とも思った。

 安倍が菅直人元厚労大臣に責任があるとか、中川が歴代大臣に責任をとらせる必要があるとか、安倍が【社会保険庁の年金記録不備問題の原因や責任追及について「まず実務的に(責任が)どこにあったかという議論は当然しなければいけない。その後、政治的な責任はどこにあったかを考えるべきではないか」と述べ】るとか(産経)っていうのは、その類の議論だ。

 しかし、それでは、不祥事はやっぱりなくならない。本当に、歴代大臣や直接の上司などにきついお灸をすえることができれば、まだ、よいが、そのような実質的に意味のあるペナルティを課すことは、難しい(歴代大臣なんてほとんど無理)。

 そして、肝心なことは、現役トップが責任をとることによって、初めて、常に現役トップが内部の不祥事について敏感になって業務を行ったり、積極的に前任者時代の問題点の洗い出しなどを就任段階で行ったりすることが期待できるようになるという点だ。

 ここに思い至るに至って、私が子供時代に考えていたことは、まったく、的はずれだったことが分かった。

 参院選を控えて、責任を転嫁したくなるのは分かるが、メディアはそれを簡単に認めていいんだろうか。まずは、現役大臣が辞任をすべき事態だと思うが…。







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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これが1929年ジュネーブ国際協定だ!~翻訳文、NPJに掲載!

2007-06-12 19:55:57 | 有事法制関連
 1929年のジュネーブ国際協定について、早速、訳文を送っていただいた。そこで、News for the People in Japan に全文を掲載してもらった。上記トップページの5段めの右から2つめの列「資料」の一番上に掲載してある(直接ならこちら)。

★追記:その後、テキスト化されたものがここにあるとの情報をいただきました。さらに、その誤字などを修正したものがこちら(←クリック)に掲載されました。なお、戦後1949年のものはこちら

 負傷した捕虜に対する治療、家族への手紙を書く権利、補充部隊と同様の食料を食べる権利、補充部隊と同様の寝室を得る権利、逃走しても最大30日間の投獄しか課せられない…。

 じっくり読んでほしい。

 こういう扱いを敵国捕虜にもし、自らが捕虜となったときもそれを期待できるということを知ってさえいたら、あなたのおじいさんやそのお父さん、兄弟などは、玉砕しなくて済んだのではないでしょうか?

 ジュネーブ国際協定を兵士に教えないという忌まわしい犯罪に手を染めた者の責任をいまからでも、追及するべきではないだろうか!


※写真は「銃剣で突き殺される中国兵捕虜」(ここ←クリックより)















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旧日本軍及び当時の政府が責任をとるのは当然だ~ジュネーブ協定を教育しなかった罪は万死に値する

2007-06-12 04:45:58 | 有事法制関連
 旧日本軍や当時の政府の首脳が東京裁判で様々な名目で刑罰に処せられた。もちろん、死刑は行きすぎだと思うが、かといって、旧日本軍・政府の責任者が国際法的な責任を負わされるべきではなかったかといえば、そんなことはない。旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦や中国民間人に対する非人道的な行為は、全て、旧日本軍及び政府が軍人に対して、ジュネーブ国際協定(1929)の存在とその内容を教えなかったことに起因する。そんなことは戦争につきものだ、などという言い訳は通用しない。情報を流通しなかったことによって、幾多の民間人及び軍人が失う必要のない命を失ったのである。

 ジュネーブ国際協定(←クリック。ただし、英文。どなたか訳してくれませんか?)は、1899年のハーグ陸戦条約のうち、捕虜部門について充実させた規定だった。その内容は、「Prisoners of war are entitled to respect for their persons and honour. Women shall be treated with all consideration due to their sex.(捕虜は、人格、名誉を重んじられなければならない。女性は女性としてふさわしく取り扱われなければならない)」、「Imprisonment is the most severe disciplinary punishment which may be inflicted on a prisoner of war.The duration of any single punishment shall not exceed thirty days.(投獄することが捕虜に対する最大の懲罰であり、その期間は、一つの事由について最大で30日間を超えてはならない)」などというもので、捕虜の人格を重視するものとなっている。

 日本は、このジュネーブ国際協定について、署名は行ったが軍部、枢密院の反対により批准しなかった。しかし、太平洋戦争開戦後の1941年12月27日、アメリカ合衆国は当時の日本における利益代表国であったスイスを通じて、同国が本条約を遵守する意思があることを伝え、また日本の意向について問い合わせてきた。さらに、1942年1月3日には、英国およびその自治領が同様に利益代表国のアルゼンチンを通じて問い合わせを行った。これに対し、日本政府は、1942年1月29日、スイス、アルゼンチン外交代表に対し「適当なる変更を加えて (mutatis mutandis)同条約に依るの意思ある」との声明を発表している。=ウィキペディア「俘虜の待遇に関する条約」

 つまり、日本政府は、1942年1月29日以降、捕虜に対して、非人道的な取扱いをしないように、ジュネーブ協定を軍人に指導する義務があった。これは当時の国際法上の義務だった。

 しかし、日本政府及び旧軍は、この義務に反したばかりか、ジュネーブ協定の趣旨に真っ向から反する「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」という戦陣訓を教育したのである。

 この結果、日本軍人は、勝利さもなくば死、という殺伐とした認識で戦争に従事せざるを得なかったため、自らは玉砕戦術を従容として受け入れ、敵国人及びいわゆる従軍慰安婦に対しては残虐な行為を行うこととなった。もし、日本の兵隊がジュネーブ協定を知っていたら、火炎放射器で焼かれるような死に方を選ぶことはなかったし、逆に、自殺しろと沖縄の市民に手榴弾を渡すこともなかったはずだ。

 この国際協定違反という犯罪は、まさに、万死に値するものであり、その一点をもっても、A級戦犯に対する東京裁判が正しかったこと示している(死刑は行きすぎだが…)。これに比べ、そのような協定の存在すら知らなかったB、C級戦犯が極刑に処せられたのは、悲しむべきことで、その責任は当時の政府・軍部首脳にあるというほかない。

 そして、現在の日本でも、この勝利さもなくば死という思想は、形を変えて生き続けている。「私は犯罪を犯さない。だから、犯すような奴には人権はない」という形で、あるいは、「中国に攻められたら日本人は奴隷にされてしまう」というような形で。このような思想が、犯罪を犯した場合の適正なルールの存在の必要性に思いを馳せることを防ぎ、また、せっかく9条という先進的なルールを持ちながら軍隊のない国際社会を生み出すにはどのようにするべきか真剣に考えることを妨げている。

 いまからでも遅くはない。アッツ島で、サイパンで、硫黄島で、玉砕した兵隊の家族は、日本政府を国際協定違反で訴えるべきではないだろうか。例え戦争時においても開示すべき情報を開示することをしなかったことへの反省がないことが、今回の反戦活動監視作戦の決行へと連なっているのだと思う。 
 














★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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「密室では警察の思うがまま」~日弁連のシンポでの悲痛な叫びを日々忘れまい!

2007-06-11 18:53:12 | 適正手続(裁判員・可視化など)
東京新聞が6月9日付朝刊特報面で、日弁連主催のシンポジウム「えん罪を生み出す取り調べの実態」を取り上げている。そこで、明らかとなったのは、【机を叩(たた)いて脅し、「おふくろさんが泣いてるぞ」「カツ丼食うか」とたたみかける-刑事ドラマの取り調べ風景は、なんと実在していた】(東京新聞)ことだった。すでに【調べの全面可視化(録画・録音)や弁護士立ち会いが当たり前の各国が腰を抜かす日本式調べ。濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)を着せられた冤罪(えんざい)被害者たちの証言で、その実態が白日の下にさらされた】(同上)。

 このシンポの圧巻は、服役後、真犯人が明らかとなった「富山事件」の被告人のケースだ。逮捕される前の任意の取り調べが午前9時半から午後11時まで、しかも夕食抜き、これだけで拷問だ。

 しかも、強引に虚偽の「自白」をさせられた後、被害者宅の見取り図を描けと言われ、描けないでいたら、「刑事が『肩の力を抜け』と。力を抜いたら、僕の右手の上に刑事の手が乗って、刑事の手で見取り図を描いた」という。

 そして、アリバイを証言したバーのママさんの調書を35年間も隠し続けられた布川事件の被告人は、次のようにいう。「なぜ、裁判官は(警察や検察がつくる)自白調書を信用してしまうのでしょうね? 司法試験に通る人たちは、人間の弱さ、ウソの自白をしてしまう弱さを理解できないんじゃないでしょうか」。

 そして、記事では、だめ押しするように、先進各国で取り調べの可視化が当たり前となっている状況が紹介されている。日本の状況は、司法に携わる全ての者に責任がある。悪い奴らに人権はない、そういう議論が間違っていることを理解してもらう努力を日弁連はどれだけ行ってきたか?例えば、日弁連のホームページ上で、富山事件の偽りの調書を掲載してビジュアルに訴えるような努力をなぜ、しないのか?

 法務省が悪い、政府が悪い、と言う前に、自分達の努力の足りなさとなぜそのような事態に至るのかについての反省をする必要がある。裁判員制度導入を機に、取り調べの全過程の録音、録画を必ず実現するべく、弁護士会が一丸となって努力するべきではないでしょうか! 












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