情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

自衛隊の基地や官舎の前で出入りする人の写真を撮ったらどうなるのだろうか…

2007-06-10 18:13:47 | 有事法制関連
 久間章生防衛相は7日の参院外交防衛委員会で、自衛隊による市民運動家などの情報の収集活動について「盗聴とか尾行ならけしからんと言われてもよいが、公開の場に行って情報収集することは悪いことではない」と強調したと伝えられているが(日経)、ならば、自衛隊基地の出入り口、自衛隊官舎の出入り口で写真を撮ることもけしからんことではないのか?

 この問題について抗議行動を企画している方がいたら、ぜひとも、自衛隊基地前、自衛隊官舎前での写真撮影企画も取り入れて欲しい。

 まぁ、変なトラブルを起こしてもつまらないからフィルムは入れておかない方がよいかもしれませんが…。

 自分たちがされる立場にならないと、自分たちがしていることの意味が分からないなんて、政治家としては、最低だ。こんな防衛大臣を更迭しない安倍も最低の政治家というほかない。

 ところで、メディアの皆さん、もう少し頑張って書きましょうよ。皆さんは、第2次大戦中、戦意を鼓舞する記事を競って書くにいたったのは何故か、考えてみたことはありますか?私は、そうしないと戦地に送られる恐怖が背景にあったように思うのです。戦意を煽る記事を書くことで記者としての価値を軍に認めさせ、自分は戦地に行かなくてすむ…。もちろん、これは私の想像です。でも、まったく、そういう気持ちがなかったと断言できるでしょうか?いったん、そうなってからでは、ジャーナリストとしての良心を発揮することすら困難になります。だからこそ、今が大切だと思うのです。

 平和的な反戦集会の写真を集会に参加した人の意思に反する目的で無断で撮影することは明らかにプライバシーの侵害です。このことを自衛隊が組織的に行ったのです。このことを批判しないならば、自衛隊は次々と違法行為を行い続けるでしょう。いま、ジャーナリストとしての良心を発揮しないと、永遠に発揮できなくなるかも知れません。

久間大臣を更迭せよ!












★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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福島菊次郎「遺言」講演「戦争がはじまる」~事実を知らずして改憲を語るべからず

2007-06-10 14:15:53 | イベント情報(行かれた方はぜひご感想を)
 帰ってきた伝説の報道写真家・福島菊次郎さんの講演会が6月16日(土)に明治大学リバティタワーにて行われます。
講演会のほかにも写真パネル50点の展示と代表作のスライド上映があります。
詳細は以下のサイトでご覧ください。 
●日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(JVJA) http://www.jvja.net/
●講演会の詳細 http://www.jvja.net/fukusima%5Econtents.html
<福島菊次郎プロフィール>
1921年、山口県下松市生まれ。
1960年、上京、プロ写真家となる。
原爆、政治社会、軍事、環境問題などがライフワーク。
『文芸春秋』などの総合雑誌グラビアに3300点を発表。
『ピカドン ある原爆被災者の記録』『戦場からの報告 三里塚1967-1977』『戦争が始まる』などの12冊の写真集を出版。

賞歴:カメラ誌ベストテン賞(1952~54年)、山口県芸術文化奨励賞(1958年)、日本写真批評家特別賞(1960年)などを受賞。
1982年、自給自足の生活をめざし瀬戸内海の無人島に入植。
1999年、山口県下関に写真資料館を開館。
2000年、8月、同県柳井市に写真美術館を開館。

■■以上、現代人文社のウェブサイトより■■











★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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安倍って人はどうしてこう問題企業の広告塔になるのか~アパに続きコムスンも

2007-06-10 03:00:44 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 アパグループとの方々との楽しげな(?!)ワインの会の記念撮影(ここ←九リリック)に続き、コムスンの宣伝にも駆り出されていたことがネットで伝えられている安倍、その雄姿を留めておきます。

 話題のコムスンタイムズは、こちら

 ちなみに、安倍は折口会長との対談で、高そうな食事をしている。ギャラはいくらだったのか。

 最後に安倍と折口コムスン会長の絶妙の対談を引用しておきます。要介護者を増やさないための新事業を展開しようとする絶妙のやりとり…。これでコムスンから献金を受けていたら、安倍は実質的には収賄ではないのか?

 安倍【あとはやはり民間の方の機動力で「事業として成り立つ」ことが大切ですね。今まではそういう制度は全部、国が税金でやっていた。そうなるとやはり悪い意味での親方日の丸になりますし、頼むほうも頼みにくい。介護措置されるということですからね。介護保険制度が導入されて、みんな権利として使える。これが私は非常に大事な要素だと思います。そういう中で、コムスンは一生懸命やっておられる。ただ、これからの課題は今のペースで要介護者が増えていっていいのだろうかということです。介護保険制度が理解されればされるほど、利用率は高まります。ある意味ではいいことですが、厚生労働省の予想を上回って利用給付が増えてくると、介護保険料と税金に頼っていますから、成り立たなくなる危険性があります。大切なことは、安易に要介護者を増やさないように、予防に力を入れることです。その時にも、民間の介護をやっている人たちのノウハウを活かしてもらえたらと思います。】

折口【プロの介護士が行う介護力が発揮できる場所は、そこなのです。その人が、その人らしく生きられるようにすることをお手伝いする。つまり、持てる機能は使っていただく。そして最後のところだけちょっとお手伝いをする。正確には医療的な言い方になりますが、それがいわゆる「リハビリ」となるのです。介護会社が絡まなければ寝たきりになってしまう人も、定期的なケアをすることによって寝たきりにならないで済む。すると将来的にさまざまなコストも減ります。システマティックで、きちんとしたノウハウで行っていれば大丈夫だと思います。コムスンの理念でも「高齢者の尊厳と自立を守る」というものが一つのセットになっています。どちらかというと家族介護は尊厳を守るだけで、自立は守れない。お母さんが寝たきりになってしまうと、お母さんが大変、かわいそうとなり、どんどん寝たきりになってしまう。本当はサポートしてあげればお手洗いも行ける。ところがプロの技がないとそれも危険なわけです。ですからまだ歩けるのに「その場でいいよ」となってしまう。私たちは自立を守るということも大切なポイントにして、いわゆるリハビリに近い介護にあたっています。】









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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3選禁止画策は、やはり地方自治つぶしが狙い!~岩国米軍基地問題で政府が補助金を突然カット

2007-06-09 19:24:22 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 県知事、市長など首長の3選禁止は、中央政府の意思に刃向かう地方の民意を破壊するための手段だと指摘しましたが(ここ←クリック)、現に岩国では3選目の市長が米軍基地問題で政府に必死の抵抗をし、これを政府がなりふり構わず、潰そうとしている。並行して、政府としては、このような民意に支えられた市長の任期が長々と続かないように3選禁止を規定しようとしているのだ。

 まずは、市長の必死の訴えから…。

■■引用開始■■

「全国の支援を求む!」

 市長室の窓の向こうで市役所新庁舎の建設工事が急ピッチで進んでいる。昨年の12月下旬、当時の防衛施設庁から、突然、新庁舎建設に対する補助金約35億円のカットが通告された。17年度、18年度と2年間にわたって国の補助金を得た上で工事は順調に進み、最終年度に至り、突然補助金がカットされるとは、信じられないこと。国自ら約束を反古にし、信頼関係を崩すもので、到底納得できない。

 米軍再編の一環である空母艦載機部隊の厚木から岩国への移駐を容認すれば、いつでも相談に乗るという。言い換えれば、再編に反対している岩国市に露骨な圧力をかけ、無理やり容認を迫ろうとするもの。その効果は抜群であり、この補助金がカットされたのは市長の責任であるとして、19年度一般会計予算約660億円が3月市議会において否決されるという事態になっている。市民にも大きな不安が生じている。

 こうしたやり方は、市民や国民の幸福を図ることを目的とする国のとるべき手法ではない。これにより、多くの市民の信頼を裏切り、強い反感と怒りを買ってしまった。補助金と引き換えに、岩国のこころを捨てることはできない。圧力に屈せず、できる限り自前財源を確保するために、市民の募金活動を積極的に応援する。

 地方自治を守るために、全国の支援を求む!


岩国市長 井原勝介

■■引用終了■■

露骨な飴と鞭の政策…そして、抵抗派市長を潰すためには手段を選ばない卑劣さ!

本来、国会議員から導入すべき多選禁止規定を首長に導入しようとしたのは、こういう頑固な市長の任期を限定するためとしか思われない。

岩国市に応援メッセージと支援、さらに情報の流通を!そして、首長多選禁止で地方自治を破壊しようとしている自民党・公明党にノーを!

岩国支援は下記口座まで。

〈郵便振替〉
 口座番号 01310-2-96617
 口座名称 岩国市新庁舎募金の会 風

※写真は建設中の市庁舎




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-自衛隊は国民を監視するのだ-橋本勝の政治漫画再生計画第74回

2007-06-09 14:02:33 | 橋本勝の政治漫画再生計画
【橋本勝さんのコメント】
 陸上自衛隊の情報保全部隊が、国民を監視して調査書を、作成していたというニュース。驚くには値しません。やっていて当然なのです。改憲が実現し、自衛隊が軍として認められたら、いっそう国民の監視・管理は、しっかりしたものになるでしょう。国の安全と平和を守るためには、外の敵に備えるだけではなく、内なる敵にも、警戒を怠ってはならないのです。そんな軍の情報活動を、PRするためのステッカーを作ってみました。これをあなたの隣の、アヤシイ人物(反戦的な言動や、国家に批判的なことを言う)の家に貼り付けてやりましょう。それであなたも、立派な愛国者です。

【ヤメ蚊】
 ほら、あなたも早く貼らないと、貼られますよ…。







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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市場化テストによる「民営化」は偽装丸投げ請負ではないのか?~労働者の権利が侵害されていく…

2007-06-09 10:12:38 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 市場化テストなどという手法で民営化、というか、公務の請負が進んでいるが、これって大きな意味での偽装請負の一種、偽装丸投げ請負というべきものではないだろうか?戦後、労働者の権利が確立する中で、いったん、廃止された口入れ稼業、これが大手を振って、復活しようとしているとしか思えない。派遣法の制定以来、徐々に、使用者側にとって有利な制度に変貌されつつある中、戦後の制度改革について、触れた村田浩治弁護士の講演「非正規雇用の法律問題」(季刊・労働者の権利2007年4月号)を引用しつつ、考えてみたい。

 村田弁護士が引用するコレット(GHQ)労働課労働者供給事業禁止担当官のせりふは次のようなものだ。

「新しく実施される職業安定法は、今まで日本にあった人夫供給業とか親分子分による口入れ稼業というものを根本から廃止して、この封建制度が生んだ最も非民主的な制度を改正し、労働者を鉄か石炭のように勝手に売買取引することを日本からなくして、労働者各人が立派な一人前の人間として働けるように計画されたものである」

 こういう趣旨のもとで制度改革が行われた結果、「使用者の中には、労働者が労働ボスの支配から解放されたことによって、ボス支配の労働者の非効率性を認識したので、これからは自由な労働者にのみ依存するとも述べていた。自由な労働者への移行は労働者の労働意欲を向上させたが、その理由は、労働者は賃金全額を受け取り、賃金を労働ボスが受けることがなくなったからである」という事態が発生し、「調査によれば、労働者の賃金は平均20%から40%はすぐに上昇する」とされた(「GHQ日本占領史」32巻)という。

 ところが、「造船業や建設業などの労働需要が変動する産業においては、労働ボスの排除はなかなか進展しなかった。というのも、労働ボスは臨時労働者の最良の供給源であると使用者がみなしていたからです」(同上)。そのため、「労働ボスに対する締め付けの結果、労働ボスは自分たちを社長とし、手下を管理人や職長とする企業を組織して、合法性を装って仕事を継続しようとした」(同上)というのだ。そして、「労働者に対する義務負担を回避するため」「よしとする企業は、労働ボスが請負業者として認められる法律上の必要条件を満たすように、機会や設備を労働ボスに移転し、労働ボスを支援した」(同上)という。この結果、多くの請負業者の形態をとった労働ボスが生き残ることとなり、これに対処するため、職業安定法施行規則などで、脱法的な請負が禁止された。

 このような経過を踏まえて実現した禁止規定に反してなされたのが、昨年問題となった偽装請負だった。請負の注文主が請負業者の社員に直接指揮命令するなどしたために、請負ではなく、脱法的な派遣であるとして、問題となった。

 しかし、よ~く考えて欲しい。ある部門の一部に「請負業者」が労働者を派遣することが、違法とされるならば、ある部門を丸ごと、「請負業者」が請け負ってしまうことは、労働者をより害するものであり、より違法性が大きいのではないだろうか?

 つまり、工場のある部門の一部を請け負う形で、派遣することが偽装請負として禁止されるならば、工場のある部門を完全に請け負ってしまうことはもっと禁止されるべきことなのではないだろうか。

 しかし、ポイントは、私企業では、実際には、そういうことは起きないということだ。ある事業の重要な分野については、派遣は受け入れても、丸ごと請負に回すことはしない。なぜなら、それをしてしまうと、軒先を貸して母屋を乗っ取られる結果となるからだ。だからこそ、指揮命令を行う形の偽装請負が問題になるともいえる。

 そこで、市場化テストの問題に移る。これも、国や地方自治体の事業を請け負うことになるものだが、本来、私企業であればできない「部門の丸投げ」をしようというものだ。いいですか、あなたの会社は、なぜ、基幹部門の請負をさせないのですか?それは、先に述べたように、いったん、基幹部門を請負させたら、もはや、その請け負ったところが、思うままに事業をコントロールできるようになるからですね。

 なぜ、われわれ、納税者だけが、部門を丸ごと請け負わせようとしているのか?ひとたび、請負が決まると、その部門を担当する公務員はいなくなるため、その後、その部門の請負代金が値上げされても、もはや、嫌とはいえなくなり、結局、納税者は損害を被る羽目になるのは火を見るより明らかではないか?

 他の企業との競争があるから、心配しなくていい?そうだろうか?談合によって、高いレベルでの請負代金へと誘導されるのではないだろうか?

 皆さんは、タウンミーティング問題のときに、一回のタウンミーティング請負代金があまりに高額だったことに驚かれたのではないだろうか(ここ←参照)。そういう事態が市場化テストによって請負化された全公務において生じるのではないだろうか。

 そして、実は、労働者にとっても、より大規模な偽装請負というシステムが合法的に生まれ出されることによって、より搾取が拡大することになる。

 一時的に税金が節約できるという宣伝に騙されて、市場化テストによる民営化を認めることは、結局、労働ボスの再来を許すことになり、納税者も泣き、労働者も泣くことになる。

 そもそも、同じ労働者である公務員の人件費を削ろうとする前に、無駄な支出を抑える努力をさせることこそ、私たちが求めるべきことであるのは明白なのに、公務員がさぼっているなんていう記事を読むと、ついつい、公務員の人件費に目が行きがちだ。しかし、実際には、無駄なダム建設など節約できる事業は非常に多い。

 そこで、市場化テストに変わるよい節約方法を提案したい。ある部門の事業について、業務の過程から無駄を省けるかどうかを民間企業にチェックして節約方法を提案してもらい、その提案が正当なものであれば、それを導入することで、税金の無駄遣いをなくすという方法だ。これならば、労働者の権利を害することなく、税金の無駄遣いをなくすことができるのではないだろうか?

 もちろん、その際には、警察・自衛隊といった暴力機関の無駄遣いもきちんとチェックしてもらいたい。

 

 

 



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自民党が共謀罪成立を公約から外す?!~実に喜ばしい(皮肉ですので安心されないように)

2007-06-08 07:46:05 | 共謀罪
 自民党が参院選に向け公約を発表した。このページ(←クリック)からPDFもしくはワードの文書を開けば、全文を読むことができる。ある方に示唆されて、この公約と、以前の自民党の公約、例えば、2005年衆院選の公約(←クリック)を比較してみた。すると、何と、自民党が共謀罪成立を公約からはずしていることが判明した。

 まずは、2005年公約から。

【073. 犯罪のない世界一安全な国づくり】
のところに、
【組織犯罪、サイバー犯罪、少年犯罪に対処する関連法整備を推進する】
というのがある。


これに対し、今夏公約は…。

【36、犯罪のない世界一安全な国づくり】
のところで、
【・サイバー犯罪に適切に対処するための法案の早期成立を図り、安全・安心なインターネット空間づくりを推進する。】
とあるのみ。

少年法は「改悪」されたので、公約からはずれるのは当然としても、組織犯罪対策立法について公約から外したのは、何か思惑があるのだろうか。

みんなで、自民党に電話して、自民党は共謀罪(改めテロ等謀議罪)を成立しないことを公約とするのか、って聞いてみませんか?


※漫画はこちらから。








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
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税金一億円かけた自民党広告キャンペーン~アッキーの出演料は?

2007-06-08 07:24:09 | メディア(知るための手段のあり方)
 皆さん、もう書いていますが、やるだろうな、と思っていたことを安倍がやってくれました。各新聞社の一面を使った税金による参院選挙向け広告。温暖化防止の名目なのに、「(電球から)日本を明るくしよう」というその露骨さに、あまりに有権者を舐めきっている傲慢さを感じた。小さい文字を読んでも、どこにも、節電電球が普通の電球よりも明るくなるなんてことは書いていない。つまり、看板に偽りありの広告なわけだ。

 その費用、一億円。赤旗によれば、【広告が掲載されたのは「朝日」「毎日」「読売」「日経」「産経」の全国紙五紙と「中日」「北海道」「西日本」のブロック紙三紙で、ほぼ全国ネットの大規模なもの】で【広告を企画した環境省地球温暖化対策課によれば、費用は年間三十億円の同チーム予算から支出されたもので、過去の同様の広告の費用からみて今回の広告費は一億円程度と考えられる】という。

 しかし、本来の広告料金は、
読売:5423万円(一色カラー全面広告)
朝日:265万7000円×15段+572万円(一色カラー料金)=3985万5572円
というわけで、一億円では収まりそうにはない…。

電通が関与した政府広告安売り料金が設定されているというわけだろう。

この一億円があれば、年金記録漏れ問題に当たる職員の残業代が仮に高めに見積もって一時間4000円とみても、2万5000時間捻出できる。2万5000時間あれば、1万人の調査はできるのではないだろうか。

しかも、気になるのは、アッキーが出ていること、彼女自身、出演料をもらっているのか、あるいは彼女はもらっていなくても、彼女のアドバイザーなどが何らかの名目で出演料をもらっていないのか、国会議員やメディアの皆さん、この点もきちんと追及して欲しい。










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戦争を実行することがいかに民意に反することか~自衛隊による市民監視活動が示す軍隊の正体

2007-06-07 07:06:58 | 有事法制関連
 自衛隊が、イラク派遣に関連して、290もの団体・個人を監視対象として、情報収集を図っていたことが明らかとなった。このことから、①自衛隊自身が、戦争を実行することがいかに民意に反しており、スムーズに実行するためには反対運動を抑え込む必要があることを認識していたこと、②自衛隊(というか、軍隊一般)は放っておくと自分たちで勝手に活動範囲を拡張してしまう危険な組織であることが明らかとなった。情報収集した資料はこちらこちらこちら(←こちらより)。

 まずは、共同配信ニュース(中国新聞)から。

■■引用開始■■

 共産党の志位和夫委員長は六日午後、国会内で記者会見を開き、陸上自衛隊の情報保全隊が、自衛隊の活動に批判的な全国の市民団体や政党、労組、ジャーナリスト、宗教団体などの動向を調査し作成した「内部文書」を入手したと発表した。

 イラク自衛隊派遣に関連し監視対象となっているだけでも全国四十一都道府県の二百九十団体・個人に上り、高校生も含まれている。情報保全隊は、部隊を外部の働き掛けから防護するために必要な情報収集を主な任務としており、監視活動が本来任務の範囲内かどうか、議論を呼びそうだ。

 文書は計十一部、百六十六ページ。陸自東北方面情報保全隊が収集した情報を週単位で一覧にまとめた「一般情勢」など(二○○四年一―二月)と、情報保全隊本部が作成した「イラク派遣に対する国内勢力の反対動向」(○三年十一月―○四年二月)の二種類。

 それぞれ一週間ごとに、全般情勢のほか「革新政党」「新左翼等」「諸派および反戦市民(マスコミ)」「労組」などの活動状況を要約。デモや反対集会、ビラ配りなどの詳しい状況や参加者の写真なども含まれる。

 志位氏は「国民のあらゆる運動を監視し、詳細に記録していたことを示している。個人のプライバシーに対する侵害行為で、憲法違反だ」と強調、鈴木政二官房副長官に中止を要求した。

 鈴木氏は「初めて見る資料であり、安倍晋三首相に伝え対応したい」と述べたが、塩崎恭久官房長官は記者会見で「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べ、法令の許容範囲との認識を示した。

 ジャーナリストらに関しては取材状況や報道内容、市町村議会では決議の経緯なども分析されていた。共産党は「自衛隊関係者」から直接入手し、文書に基づき調査した結果、信ぴょう性が高いと判断した、と説明している。

■■引用終了■■


そして、自衛隊側の言い訳。


【塩崎恭久官房長官は記者会見で「法律にのっとって行われる調査活動や情報収集は当然、受け入れられるべきだ」と述べ、法令の許容範囲で問題はないとの認識を示した。法的根拠については「防衛省設置法4条に『必要な情報の収集整理に関すること』と書いてある」と指摘した】(産経

【防衛省の守屋武昌事務次官は6日夕に記者会見し、「自衛隊イラク派遣に反対運動が高まっており、隊員や家族の心配に応える体制をつくるため、この種の資料を作成した」と述べ、市民団体などを調査した文書の存在を認めた。今後、実際の文書が流出したかどうか調査に乗り出すという】(時事

 守屋次官は【「社会情勢の中で、イラク派遣がどう扱われているか調べることもある」と説明。秘密保護などが目的の情報保全隊の任務として、問題視する指摘に対しては「必要な情報収集だ。違法性は一切ない」と強調した】(同上)


 防衛省設置法4条とは、次のようなもの。

第4条 防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる。
1.防衛及び警備に関すること。
2.自衛隊(自衛隊法第2条第1項に規定する自衛隊をいう。以下同じ。)の行動に関すること。
3.陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること。
4.前3号の事務に必要な情報の収集整理に関すること。
(以下略)

 つまり、塩崎長官の言う、必要な情報の収集整理とは、あくまでも、防衛、警備、自衛隊の行動、組織そのほかに関する情報の収集整理であって、市民をスパイすることを認めているわけではない。

 違法な行為をする側は、何でも拡大解釈して問題ないと説明するだろうが、それを「はい、そうですか」と市民側が納得してしまっては、旧軍の暴走の再来を許すことにつながる…。

 そして、自民党が、市民に対するスパイ活動を批判し、自衛隊幹部を更迭することができないなら、やはり、自衛隊に対するシビリアンコントロールは利いていないということになる。

 守谷事務次官は、この情報収集目的について、【自衛隊イラク派遣に反対運動が高まっており、隊員や家族の心配に応える体制をつくるため】だと説明した。つまり、反対運動を抑え込むための組織・システムを自衛隊内につくるための資料だということだ。憲兵隊をつくろうということだ。

 もし、久間大臣及び自衛隊幹部の更迭がないならば、軍隊とは戦争を実行するためには、反対する市民団体を押さえつけることを躊躇しない恐ろしい組織であることを自認することになる。

 自衛隊は旧軍とは違うといったって、所詮、軍は軍…。自衛隊が存続している間、徹底した情報公開をさせなければ、シビリアンコントロールは絵に描いた餅と化すのは間違いない。

※写真は、憲兵隊として、政府に不都合な者を殺した甘粕大尉=被告席右端(こちら←から)。

なお、甘粕が大杉らを殺害した時、新聞は次のような記事を掲載している。

【「大杉夫妻の殺害は、一片憂国の至誠からやったものと見ることもできる。その考えがまちがっていても、いなくても、またその行為が合法的であっても、なくても、犯行の動機は正しく国家的であり、道徳的である」(「東京日日新聞」)】(上記ウェブサイト)

今回の事件で各社はいかなるスタンスをとるのだろうか…。








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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ヘーゲルが克服した復讐の法に立ち返ることは、正義に反する~裁判官はそれほど愚かではない!

2007-06-06 01:29:15 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 いま、山口県の母子殺人事件のこともあり、被害者の刑事手続き参加は、当然必要なことのように報道されている。しかし、被害者の刑事手続き参加は、実はあまりに、裁判官を馬鹿にしたシステムではないだろうか。最高裁は、このシステムについていかなる立場をとっているのだろうか…。一度この問題には、ここで、触れたが、別の角度から、再度、取り上げたい。

 そもそも、被害者が手続に参加することに意義を見出すのは、参加することによって、刑が重くなると考えるからだろう。しかし、これって、裁判官を馬鹿にした話だと思う。
 というのも、被害者が参加して被害感情を訴えたときの方が、被害者が裁判所に来ない時よりも重く罰するとするのは、例えば、被害者が裁判所に来ることができないの理由として、加害者をいまだ恐れている場合や精神的に一歩も外に出ることが出来ない状態である場合を想定すると明らかに不合理だからだ。

 ヘーゲルは言う。

「犯罪にたいする復讐の法(権利)は、不正義だとはいえないが、現実の法的行為としておこなわれるとすれば、正しくはない。権利を侵害された当事者にかわって、裁判所という独自の現実的空間をもつ共同体が、当事者への侵害を法律への侵害ととらえて登場し、犯罪の追及と処罰を引きうける。そのとき、追及と処罰は、主観的で気まぐれの報復とは別種の、法(正義)の真の復元たる刑罰に転化する。客観的に見れば、それは、犯罪の克服によっておのれを再建し、みずからの有効性を実証した、法律の復元であり、犯罪者の主観に即していえば、犯罪者が法律の存在を自覚し、それが自分のためにあり、自分を保護してくれるものとしてあることを確認する、という形での法律の復元である。犯罪者は法律の裁きを受けるなかで、それこそが正義の実現であり、法律は犯罪者たる自分のなすべきことをなしているだけだ、と認識するのである」(法哲学講義)

 被害者参加に賛成している法律家は、このヘーゲルの言葉を一度噛みしめてほしい。










★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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行ったこともない部屋の見取り図を手首をつかまれて描かされた~いつの話?2002年、富山県警

2007-06-06 00:43:57 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 
 

 警察の取調は、時に行きすぎるから、ビデオやテープに撮る必要があると日弁連は言い続けてきた。強姦事件で有罪とされた後、真犯人が見つかった事件で、何と、冤罪となった人は、行ったこともない強姦現場の見取り図を警官に両腕をつかまれて描かされていたことが分かった。犯人とされた男性は、そういうものが証拠となって有罪という認定を受けたのだ…。

 取調が密室であれば、こういう問題は避けられない。警官といえども必ずしも善人とは限らないし、善人といえども、常に善人であるとは限らないからだ。このような悲惨な事態を繰り返さないためには、この事件を多くの人に伝え、取調の録画・録音を求める声を一斉にあげることが重要だ。読売は一面と社会面で大展開しているが、ウェブ上にあった社会面を引用する。なお、冤罪で服役した男性は、6日18:00~20:30、弁護士会館(霞ヶ関B1出口)で開催されるシンポで体験談を語る予定だ。


■■引用開始■■

 富山県氷見市の男性(39)が2002年、県警に誤認逮捕されて服役した婦女暴行・同未遂冤罪(えんざい)事件の公判で採用された一連の証拠書類が明らかになり、捜査当局による「自白」捏造(ねつぞう)の事実がわかった。

 男性が知らないはずの被害少女宅の克明な見取り図が作製されていたほか、男性宅から押収された凶器のナイフも、被害少女の証言とは異なっていた。男性は6日、日本弁護士連合会が都内で開くシンポジウムに参加、取り調べの実態を証言する。

 公判で証拠採用されたのは、婦女暴行事件(02年1月)の被害少女(当時18歳)の自宅と少女の部屋の見取り図、現場で足跡が採取された靴の絵、男性の供述調書など。

 男性は02年4月15日に婦女暴行未遂容疑で逮捕され、5月5日、いったん処分保留で釈放された後、同日、婦女暴行容疑で再逮捕された。見取り図や靴の絵は、5月20~27日にかけて、警察官への供述調書に添付する形で描かれた。見取り図は現場とほぼ一致し、「任意に作製した」として男性の署名と指印もある。しかし、男性は、見取り図を描いた翌日に捜査員と同行するまで、少女宅を訪れたことがなく、「取調官に両手首をつかまれ、描かされた」と話している。

 一方、この少女は事件から8日後の県警の事情聴取などに「男がギザギザの刃が付いたサバイバルナイフのような大型ナイフを持っていた」「チェーン様のもので縛られた」と説明。

 これに対し、県警が男性宅を捜索して押収したのは果物ナイフで、その後、ビニールひもが男性宅の納屋で見つかった。逮捕後の男性の供述調書には「気が動転した少女の記憶違い」「ひもを2重にし、鎖状にして縛ったものを用意した」と押収物に沿った内容が書かれていた。結局、起訴状ではこれらが凶器とされ、同年11月の判決も同様の認定のまま有罪を言い渡した。

 富山県警捜査1課は「当時の捜査について細かいことは答えられないが、見取り図や靴の絵を誘導して描かせたようなことはしていないはずだ」と話している。

■■引用終了■■


警察の仕事が大変なのはよく分かる。大変だからこそ、密室にしてはならないのだ。













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米国最高裁も陪審員を死刑にためらう候補者を無理由(専断的)忌避することは違法とする~判例紹介

2007-06-05 08:01:57 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 裁判員を選任するにあたって、検察官も弁護人も4人までは、理由なしで審判員として不適格とすることができるが(専断的忌避)、その判断をするための質問として、死刑の適用をためらうか、警察官を信用するか、というものが考えられていることの問題点について、4回、触れてきた(ここここここここ)。

日本が見習ったアメリカでも、専断的忌避については、公正な裁判を確保するための手段としては疑義をもたれていることも一部紹介したが、それを裏付ける最高裁判決の日本語訳があることを教えてもらったので、紹介したい(小早川義則「デュー・プロセスと合衆国最高裁(1)残虐で異常な刑罰、公平な陪審裁判」)。

それらは死刑制度に関するものだ。

そこで、判例を紹介する前に日本で予定されている質問について確認したい。それは、死刑の適用が問題となる事件については、

①「起訴されてる●●罪について法律は、『死刑または無期懲役または●年以上の懲役に処す』と定めています。今回の事件で有罪とされた場合は、この刑を前提に量刑を判断できますか」という質問を裁判官にさせることができる。

②そのうえ、「できない」と答えた場合、「証拠によってどのような事実が明らかになったとしても、絶対に死刑を選択しないと決めていますか」

と聞くというものだ。

ポイントは、これらの質問を前提に、専断的忌避ができるということだ。つまり、①に関する答えのみでも排除できることになっている。ここをしっかりと憶えておいて欲しい。


米国の最高裁のウイザースプーン死刑逡巡陪審員排除死刑違憲判決は次のようなものだ。

事案は、裁判官が予備尋問での冒頭で、「時間の浪費にならないよう、良心的忌避者を排除しましょう」と発言し、迅速に次々と47人の陪審員候補者が死刑に関する見解を根拠に理由付きで忌避された後で構成された陪審員による死刑判決の違法性が問われたもの。47人のうち、いかなる状況でも死刑を科さないと述べたのはわずか5人で残りは、ためらいを示しただけだった。

最高裁は、死刑判決を破棄した。

「本判決は、死刑に良心的なためらいがあることを表明した陪審員候補者を理由付きで忌避できる旨定めた州法の規定に従って、訴追側がそのような気持ちを示した陪審員候補者をすべて忌避し、残された候補者から選任された陪審員が被告人の有罪及び死刑を決定した事案につき、第14修正のデュー・プロセスに違反するとした指導的事例である」

もう一つは、ウィット死刑反対不明陪審員忌避死刑違憲判決だ。こちらも、刑罰としての死刑制度にためらいつつ、「自動的に」死刑判決に反対するかどうかが明らかでない陪審員候補者を訴追側が直ちに理由付きで忌避したのはウィザースプーン判決に反するとした。ただし、訴追側が、死刑反対の見解が極めて強く公平な判断ができない陪審員候補者を理由付きで忌避することについては構わないとした。

この二つの判例からは、日本において、②の答えによって忌避するのは、米国基準にも合致するが、①の答えによって忌避するのは、米国基準には合致しないということになる。

それでも、①の質問をすることを許していいのだろうか。

そして、日本の質問が訴追側に有利なものとなっていることも問題だ。つまり、日本の質問では、死刑に反対する人は忌避できるが、逆に死刑大賛成という人は忌避できない。

この点に関する米最高裁判例は次のようなものだ。

モーガン有罪確定後偏見陪審員排除死刑違憲判決。
「本判決は、陪審員選任の予備尋問時に陪審員候補者すべてに被告人有罪の場合員には必ず死刑を科すかの質問をすることを弁護人が求めたにもかかわらず、同旨の説示をすでにしていたことを理由に公判裁判官が拒否した事案につき、第14修正のデュー・プロセスに違反するとした」。

これらの米最高裁判例に比べ、いかに日本の質問があやふやな基準で公正さを害するとされ、また、一方的に検察官側に有利なものとなっているかがよく分かる。

弁護士会はこのような不公平な質問をさせることを唯々諾々と受け入れるのか!













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やっぱりそうだったか~破産制度改革を遂げた園尾裁判官は落研出身と判明(笑)

2007-06-04 23:32:06 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 
 
 東京地裁の破産部の運用を根底から覆し、自己破産事件を大量に裁く制度を確立し、多くの多重債務者を救った園尾隆司裁判官、彼は、弁護士会の後援会などに喜々としてとして登場し、駄洒落を飛ばす。どうも落研くさい、そう思っていた。その後、最高裁にいったと聞いていたが、何と、朝日新聞の落語パフォーマンスの記事で、お目にかかるとは…。しかも、落研出身であることまで明らかになった…。


■■朝日新聞引用開始■■

《裁判員をした妻はどうやって判決を決めたか夫に話していいの?》

落語で裁判員制度を説明する宇都宮地裁所長の園尾隆司さん=3日午後、東京・霞が関で09年に始まる裁判員制度になじんでもらおうと、宇都宮地裁の園尾隆司所長(57)が3日、東京・霞が関の法務省内で「落語」調で講演した。市民向けイベントの一環で、扇子を手に大きな身ぶりで、数百人いた聴衆の笑いを誘った。

 大学時代は落語研究会に所属し、2年に1度は落語家の独演会にゲスト出演する腕前だ。裁判中に小咄(こばなし)を披露し、傍聴人からたしなめられた過去もある。

 裁判員には評議の内容や事件関係者のプライバシーなどの秘密を守る義務がある。「口が堅いと信じていた亭主でも中身を外に言いふらしたら守秘義務違反です」。有罪か無罪かを判断する裁判員。しゃべっていいのか、いけないのか。求められるのは――。

 「結局、人をみる目なんです」

 難解な言葉を裁判員向けにわかりやすく言い換えることも課題のひとつ。「かみ砕きすぎるとこうなります」と二役を演じ分ける。

 証人「リバーサイドホテルに行きました」

 弁護人「川っぷち旅館に行ったんだね」

 証人「ディスコでブレイクダンスを……」

 弁護人「大衆踊り場で破滅踊りか」

 だじゃれも交えた約1時間。この日は着物も高座もなかったが、落語家らしく体を右に左に振りながら会場を沸かせた。

■■引用終了■■

う~ん、ネタの難易度も、相変わらずだぁ…。

こういう裁判官が増えるといいと思うんだけど…。
















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画期的な拷問禁止委員会の勧告書全訳その2~NGOなどによる暫定訳

2007-06-04 19:59:05 | 適正手続(裁判員・可視化など)
その1(←クリック)から続く

■■引用開始■■

取調べに関する規則と自白
16.委員会は、とりわけ、未決拘禁に対する効果的な司法的統制の欠如と、無罪判決に対して、有罪判決の数が非常に極端に多いことに照らし、刑事裁判における自白に基づいた有罪の数の多さに深刻な懸念を有する。委員会は、警察拘禁中の被拘禁者に対する適切な取調べの実施を裏付ける手段がないこと、とりわけ取調べ持続時間に対する厳格な制限がなく、すべての取調べにおいて弁護人の立会いが必要的とされていないことに懸念を有する。加えて、委員会は、国内法のもとで、条約第15条に違反して、条約に適合しない取調べの結果なされた任意性のある自白が裁判所において許容されうることに懸念を有する。

締約国は、警察拘禁ないし代用監獄における被拘禁者の取調べが、全取調べの電子的記録及びビデオ録画、取調べ中の弁護人へのアクセス及び弁護人の取調べ立会いといった方法により体系的に監視され、かつ、記録は刑事裁判において利用可能となることを確実にすべきである。加えて、締約国は、取調べ時間について、違反した場合の適切な制裁を含む厳格な規則を速やかに採用すべきである。締約国は、条約第15条に完全に合致するよう、刑事訴訟法を改正すべきである。締約国は、委員会に対し、強制、拷問もしくは脅迫、あるいは長期の抑留もしくは拘禁の後になされ、証拠として許容されなかった自白の数に関する情報を提供すべきである。

刑事拘禁施設における拘禁状態
17. 委員会は、過剰収容を含む刑事拘禁施設の一般的な拘禁状態に懸念を有する。革手錠の廃止を歓迎する一方で、「第二種手錠」が、懲罰で、不適切に用いられている申立があることについても、懸念をもって留意する。委員会は、刑事施設制度のなかに独立した医療スタッフが不足していること、被収容者に対する医療的援助が著しく遅滞していることについて懸念を有する。
締約国は、拘禁場所における状態の向上のために、また、国際的な最低基準に従って、実効的措置をとるべきである。とくに現在の過剰収容について措置をとるべきである。締約国は、拘束具について厳格な監視を確保し、とくにそれが懲罰として用いられることを防ぐために措置をとるべきである。さらに、締約国は、適切で、独立した、かつ迅速な医療的援助がすべての被収容者にあらゆる時に施されるよう確保すべきである。締約国は、医療設備やスタッフを厚生労働省のもとにおくことを検討すべきである。

昼夜間独居処遇の使用
18. 委員会は、2005年に成立した受刑者処遇法が昼夜間独居処遇の使用を制限する規定を設けているにもかかわらず、長期にわたる昼夜間独居処遇が継続して用いられているとの訴えについて深い懸念を有する。委員会は、特に次の点について懸念を有する。

a)  3ヶ月後の更新に制限がないというように、事実上、昼夜間独居処遇の期間に制限がないこと。

b)  10年を超えて独居とされている被拘禁者の人数。一つの例では42年を超えている。

c)  昼夜間独居処遇が懲罰として使用されているとの訴えがあること。

d)  昼夜間独居処遇とされている被収容者に対して、精神障害について不適切なスクリーニングしかなされていないこと。

e)  昼夜間独居処遇を課す決定に対して、通常の処遇に戻すための効果的な手続きの不足。

f)  昼夜間独居処遇の必要性を決定する際の基準の欠如。
締約国は、国際的な最低基準に従って、昼夜間独居処遇が限定された期間の例外的な措置となるように現在の法制度を改正するべきである。締約国は長期にわたる昼夜間独居処遇を受けている全ての事例について、当該拘禁が条約に反すると考えられる場合には、これらの者を(この状態から)解放するという観点から、心理学的に、及び、精神医学な評価に基づいて、組織的な(systematically)調査を行うことを検討するべきである。

死刑
19.最近の立法が死刑確定者の面会及び通信の権利を拡大したことに注目しつつも、委員会は、死刑を言い渡された人々に関する国内法における多くの条項が、拷問あるいは虐待に相当し得るものであることに深い懸念を有する。とりわけ、

a) 確定判決の言渡し後、独居拘禁が原則とされ、死刑確定後の長さをみれば、いくつかの事例では30年を超えていること、

b) 死刑確定者とその家族のプライバシー尊重のためと主張されている、不必要な秘密主義と処刑の時期に関する恣意性。とりわけ委員会は、死刑確定者が自らの死刑執行が予定されている時刻のわずか数時間前に執行の告知を受けるため、死刑確定者とその家族が、常に処刑の日にちが不明であることによる精神的緊張を強いられることを遺憾とする。
締約国は、死刑確定者の拘禁状態が国際的な最低基準に合致するものとなるよう、改善のためのあらゆる必要な手段をとるべきである。

20.委員会は、死刑確定者の法的保障措置の享受に対して課された制限、とりわけ以下の点に関して深刻な懸念を有する。

a) 再審請求中であっても、弁護人と秘密接見をすることが不可能である点を含めて、弁護人との秘密交通に関して死刑確定者に課せられた制限、秘密交通の代替手段の欠如、及び確定判決後の国選弁護人へのアクセスの欠如

b) 死刑事件における必要的上訴制度の欠如

c) 再審手続ないし恩赦の申請が刑の執行停止事由ではないという事実

d) 精神障害の可能性のある死刑確定者を識別するための審査の仕組みが存在しないこと

e) 過去30年間において死刑が減刑された事例が存在しないという事実
締約国は、死刑の執行をすみやかに停止し、かつ、死刑を減刑するための措置を考慮すべきであり、恩赦措置の可能性を含む手続的な改革を行うべきである。すべての死刑事件において、上訴権は必要的とされるべきである。さらに、締約国は、死刑の実施が遅延した場合には死刑を減刑し得ることを確実に法律で規定すべきである。締約国は、確実に、すべての死刑確定者が、条約に規定された保護を与えられるようにすべきである。

迅速かつ公平な調査、不服申立ての権利
20-2. 委員会は、以下の事項に懸念を表する。

a) 警察留置場における実効的な不服申立制度の不足。刑事被収容者処遇法が、そうした責務を有する独立機関を創設しなかったことは残念である。委員会は、2007年6月に設置される留置施設視察委員会に関する情報が不足していることに留意する。

b) 刑事施設視察委員会に、拷問等に関する調査について充分な権限が不足していること。

c) 法務省の職員が事務局を務めていることによって、刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会の独立性が不十分であること、また、被収容者及び職員にインタビューできず、またあらゆる関連文書に直接アクセスできないことから直接的に事案を調査する権限が限られていること。

d) 不服申立てをする権利に法的制限があること、また不服申立てをしようとする際に弁護士による援助を受けることが不可能であること。

e) 不服申立てを行ったことによって、また、賠償請求にかかわる時効によって却下された訴訟を行ったことによる不利益的影響を受けたとの報告があること。

f) 受理した申立数、着手されまた完了された調査の数、さらにその結果の数について情報の不足、これには侵害者の数とその者が受けた判決に関する情報も含む。
締約国は、警察留置場または刑事拘禁施設の双方における被収容者からの拷問等の申立てすべてについて、迅速、公正で、かつ実効的な調査を行う独立メカニズムを設置すべきである。締約国は、被収容者が不服申立ての権利を充分に行使できるように確保するために、拷問等行為についての時効の撤廃、不服申立てをするための法的援助の利用の確保、証人に対する脅迫からの保護措置の設置、及び賠償請求の権利を制限するあらゆる規定の見直しなどを含む、あらゆる必要な措置をとるべきである。締約国は、法執行官によって行われたことが疑われる拷問等に関する申立てについて、犯罪種別、エスニシティ、年齢、性別ごとの詳細な統計データを、また、関連する調査、起訴、刑罰、または懲戒処分についての詳細な統計データを提供すべきである。

人権教育及び研修
21.委員会は、条約に違反する尋問手続を記した取調官のための研修マニュアルが存在するとの報告に注目する。さらに、委員会は、人権教育、特に女性及び子どもの特別な人権についての教育が、組織的には、刑事拘禁施設の職員に対して提供されているだけで、警察留置場の職員、取調官、裁判官及び入管収容施設の保安担当職員に対する教育カリキュラムには十分に含まれていないことに懸念を表する。
締約国は、法執行官、特に取調官に対する教育カリキュラムに関するあらゆる素材が公にされるよう確保すべきである。さらに、裁判官や入管職員を含むあらゆる種類の法執行官は、特に、拷問、子ども及び女性の権利に焦点を当てた、自身の職務における人権の実現について定期的に訓練を受けるべきである。

賠償及びリハビリテーション
22.委員会は、人権侵害の被害者が救済及び十分な賠償を得るにあたって直面している困難があるとの報告に懸念を表する。委員会は、また、時効や移民に対する相互主義の原則など賠償の権利に対する制限についても懸念を表する。委員会は、拷問又は虐待の被害者が求め、また得ることができた賠償に関する情報が不足していることについて遺憾を有する。
締約国は、拷問又は虐待のすべての被害者が、賠償及びリハビリテーションを含む救済の権利を十分に行使することができるよう確保するために、あらゆる必要な措置をとるべきである。締約国は、国内においてリハビリテーション・サービスを設置するための措置をとるべきである。締約国は、委員会に対し、被害者に対して提供されたあらゆる賠償又はリハビリテーションに関する情報を提供すべきである。

23.  委員会は、第2次世界大戦中の日本軍性奴隷のサバイバーを含む性暴力被害者に対する救済措置が不充分であり、性暴力及びジェンダーに基づく拷問等禁止条約違反を防ぐために有効な教育的その他の措置がとられていないことに懸念を表明する。「癒しがたい心の傷」によって苦しめられていると、締約国の代表が事実として認めている戦時中の性的虐待のサバイバーは、締約国が公式に事実を否認し続け、真実を隠匿あるいは公開せず、虐待の刑事上の責任者を訴追せず、適切なリハビリテーションを提供しないことによって、継続する苦痛と再トラウマ化を経験している。
委員会は、教育(第10条)と救済措置(第14条)がともに、この条約において締約国に課されている義務のさらなる違反行為を防ぐための手段であると考える。締約国によって公式に否認が繰り返され、訴追されず、適切なリハビリテーションが提供されていないことはすべて、拷問等禁止条約において締約国に課されている、教育及びリハビリテーション措置を通じて防止することも含めて、拷問と虐待を防止するという義務に違反することにつながっている。委員会は締約国に、性及びジェンダーに基づく暴力の根本原因である差別に取り組む教育を提供し、また刑事免責を防ぐ措置を含め、被害者に対するリハビリテーション措置をとることを勧告する。

ジェンダーに基づく暴力と人身売買
24. 委員会は、法執行機関の職員による性暴力を含む、ジェンダーに基づく暴力及び拘留中の女性と子どもに対する虐待についての申し立てが相次いでいることに懸念を表明する。委員会はまた、締約国のレイプに関する法規の範囲が、男女間の生殖器による性交渉のみに適用され、男性被害者に対するレイプ等、その他の形態による性的虐待を除外する限定的なものであることに懸念を表明する。加えて委員会は、締約国において、国境を超えた人身売買が、政府によって発行される興行ビザの目的外使用によって促進され、そのうえ確認された被害者への支援措置が不適切なままであるために、人身売買の被害者が不法移住者として取り扱われ、救済措置をとられることなく国外に強制送還されるなど、依然として深刻な問題となっていることに懸念を表明する。委員会はまた、駐留外国軍を含む軍関係者による女性及び少女に対する暴力を防止しまた加害者を訴追するための効果的な施策が不足していることに懸念を表明する。
締約国は、ドメスティック・バイオレンス及びジェンダーに基づく暴力を含む、性暴力及び女性に対する暴力を根絶するために防止措置を導入し、また責任者の告訴を前提として、拷問あるいは虐待に関するあらゆる申し立てについて早急かつ公平な調査を実施すべきである。委員会は締約国に対し、興行ビザの利用が人身売買を促進しないよう利用を制限すること、十分に資源を配分すること、関連する刑法の適用を積極的に追求することなど、人身売買対策の強化を要請する。また締約国が、法執行官及び司法関係者が被害者の権利とニーズに敏感になることを確保するための研修を実施すること、警察に専門部署を設置して被害者のためのよりよい保護と適切なケア、とりわけ安全な住居、シェルター、心理社会的な支援へのアクセスを提供することを推奨する。締約国は、駐留外国軍によるものも含め、あらゆる被害者が司法裁判所に救済措置を申し立てできるよう措置をとらなければならない。

精神障害を持つ個人
25.委員会は、私立の精神病院で働く精神科指定医が精神的疾患を持つ個人に対し拘禁命令を出していること、及び拘禁命令、私立精神病院の管理・経営そして患者からの拷問もしくは虐待行為に関する不服への不十分な司法的コントロールに懸念を表明する。
 締約国は公立及び私立精神病院における拘禁手続きについて、実効的かつ徹底した司法コントロールを確保するために必要なあらゆる措置を採るべきである。

26. 委員会は、締約国に対し、条約22条に基づく受諾宣言を検討し、よって、委員会が通報を受ける資格を有することを認め、通報を検討することができるようにすることを勧奨し、また同時に条約の選択議定書の批准も検討するよう奨励する。

27. 委員会は、締約国が国際刑事裁判所のローマ規程の加盟国となることを検討するよう奨励する。

28. 締約国は 委員会に提出された報告書、委員会による結論及び勧告が、適切な言語で、公式のウェブサイトや報道機関、NGOを通じて、広く公表することを奨励されている。

29.  委員会は,締約国に対し,国際人権条約機関によって最近,勧告された「報告に関する調和的ガイドライン内の共通重要文書(the Common Core Document in the Harmonized Guidelines on Reporting)」(HRI/MC/2006/3 and Corr.1)の要求に沿って重要な文書を提出することを勧める。

30. 委員会は、締約国に対し、本文書パラグラフ14,15,16及び24に含まれる委員会による勧告に対する返答に関して1年以内に情報を提供することを求める。

31. 締約国には、2011年6月30日までに第2回報告書を提出することが勧められる。

■■引用終了■■


写真はこちら(←クリック)から。死刑廃止に向け活動する田鎖弁護士。








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画期的な拷問禁止委員会の勧告書全訳その1~NGOなどによる暫定訳

2007-06-04 19:58:08 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 先日、ここなどで、お伝えした拷問禁止委員会の勧告について、委員会の審査を受けた日弁連やNGOなどが協力して作成した日本語訳を入手したので、ご紹介します。まだ、ブラッシュアップ中で、暫定訳とのことですが、画期的な勧告の内容をできるだけ速くできるだけ多くの方に伝えるために、暫定訳だということを前提に以下、引用します。英文は、こちら(←クリック)にあります。

その1は、司法の独立に対する厳しい言葉と当然ながら代用監獄の早急な廃止など、その2は、取調の可視化、死刑の問題などが指摘されています。

■■引用開始■■

文書番号 CAT/C/JPN/CO/1
2007年5月18日
原文: 英語

拷問禁止委員会
第38会期
ジュネーブ 2007年4月30日~5月18日

条約第19条に基づいて締約国により提出された報告書の審査
拷問禁止委員会の結論及び勧告

日本

1.委員会は、日本政府による第1回報告書(文書番号CAT/C/JPN/1)を2007年5月9日及び10日に開催した第767回及び769回会議(CAT/C/SR.767 and CAT/C/SR.769)において審査し、2007年5月16日及び18日に開催した第778回及び779回会議(CAT/C/SR.778 and CAT/C/SR.779)において、以下の結論及び勧告を採択した。

A. はじめに

2.委員会は、日本政府の第1回報告書の提出、また建設的な対話を始めたこの機会を歓迎する。特に、委員会が提示した数多くの口頭質問に対して政府代表団が提供した説明や解説に賞賛をもって注目する。また、委員会は、政府代表団が大きく、それが多様な省庁の代表によって構成され、条約に基づく本会議における義務を重視する姿勢を見せていることについても歓迎する。さらに、報告書審査へのNGOの参加を歓迎する。

3.しかし、委員会は、2000年7月に提出期限であった政府報告書が5年以上も遅れて提出されたことを遺憾とする。また、委員会は、報告書が、締約国内でどのように条約諸規定が実際に適用されているかに関する詳細情報が不足している限りにおいて、第1回報告書準備のための委員会のガイドラインに十分に沿うものではないことに注目する。第1回報告書は、条約が保障する人権の実施について具体的事例や統計を用いた分析によらず、法規定に限られたものとなることが多いのである。


B. 積極的側面

4.締約国による大部分の国際人権条約の批准。

5.委員会は、以下の採択も歓迎する。
a)  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律(平成16年6月2日法律第73号)
b)  刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律。これは、(受刑者について「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律」として2005年5月24日に成立し施行され、2006年6月2日に改正された。

6.委員会は、刑事施設の透明性を高める目的及び、暴行の再発を防止するために、刑事施設視察委員会や刑事施設の被収容者の不服審査に関する調査検討会のような新しいメカニズムを設置したことに注目する。加えて、委員会は、2007年6月までに、留置施設視察委員会を設置することが発表されたことを歓迎する。

7.委員会は、現在、行動科学及び心理学、並びに人権基準を含むという、矯正局による刑事拘禁施設の職員に対する研修カリキュラムとその実施にかかわる活動を歓迎する。

8.委員会は、また締約国が人身売買と闘うためにとった行動,特に,2004年12月の「人身売買と闘う国内行動計画(the National Plan of Action to Combat Trafficking in Persons)」の採択,刑法並びに出入国管理及び難民認定法の関連規定の改正を歓迎する。

9.委員会は、報告書準備の枠組みのなかで、締約国が行った市民社会との協議を歓迎する。


C. 主要な懸念事項及び勧告

拷問の定義
10.条約1条が意味するところの「拷問」として説明されうるあらゆる行為は、日本国の刑法等によって犯罪として処罰可能であるという締約国の主張があったが、委員会は、条約1条に規定されている拷問の定義が、締約国の刑法に未だ含まれていないことに憂慮をもって注目する。特に、委員会は、条約の定義による「精神的拷問」は、刑法195条及び196条において明確に定義づけられていないことについて、また脅迫など関連する行為に対する刑罰が不適切であることについて、懸念を表する。さらに、委員会は、日本の法制度が、例えば自衛隊員や入管職員など、あらゆる種類の公務員、公的資格で行動する個人、又は、公務員若しくは公的資格で行動するその他の者の扇動により若しくはその同意若しくは黙認の下に行動した個人をカバーしていないことに懸念を表する。
締約国は、適当な刑罰を科する特別な犯罪として拷問を性格づけるあらゆる構成要素を含めることによって、条約1条に包含される拷問の定義を国内法に含めるべきである。

条約の国内適用
11. 委員会は,条約の直接適用に関する情報,特に,国内裁判所による適用例,並びに戦時における条約の適用についての情報の不足について遺憾とする。
締約国は,裁判所による条約の直接適用を確保するためにとられた措置及びその具体的事例に関する情報を委員会に提供すべきである。締約国は,戦時の条約適用に関する情報を提供すべきである。

時効
12.委員会は、拷問及び虐待とされる行為が時効の対象とされていることに憂慮をもって注目する。委員会は、拷問及び虐待とされる行為のための時効は、それら深刻な犯罪についての捜査、起訴及び処罰を妨げうることに懸念を表する。特に、第二次世界大戦中の軍性奴隷、いわゆる「慰安婦」の被害者による提訴が、消滅時効を理由に棄却されたことを遺憾とする。
締約国は、拷問行為の未遂、共謀及び加担を含む拷問及び虐待とされる行為が、時効にかかることなく捜査が行われ、起訴され、また処罰がなされるように、時効に関する規則及び法規定を見直し、条約上の義務に十分に従ったものとなるようにすべきである。

司法の独立性
13.委員会は、司法の独立の程度が不十分であること、特に、必要的な保証が欠如している裁判官の任期に関して懸念を表する。
締約国は、司法の独立性を強化し、特に裁判官の任期の保証を確保するために、あらゆる必要な措置をとるべきである。

ノン・ルフールマンの原則
14.委員会は、締約国の国内法及び運用において、一部の条項が条約第3条に適合していないことに懸念し、特に次の点について懸念を有する。

a) 2006年出入国管理及び難民認定法は、拷問を受ける可能性がある国ぐにへの送還を明確に禁止せず;加えて、再審査機関は条約第3条の適用を制度的に調査せず;

b) 難民認定の該当性を再審査する独立した機関の欠如;

c) 多数の暴行の疑い、送還時の拘束具の違法使用、虐待、性的いやがらせ、適切な医療へのアクセス欠如といった上陸防止施設及び入国管理局の収容センターでの処遇。特に、これまでに1件のみが入国管理収容センターでの虐待として認められているにすぎないことに委員会は懸念を有する。

d) 入国管理収容センター及び上陸防止施設を独立して監視するメカニズムの欠如、特に被収容者が入国管理局職員による暴行容疑について申立てできる独立した機関の欠如。また、第三者である難民参与員の任命基準が公表されていないことにも委員会は懸念を有する;

e) 法務省は難民認定申請者に対し、異議申立ての際の法的代理人を選任させず、非正規滞在者に対する政府による法的援助が事実上は限定的である事実を踏まえ、入国管理局職員による裁定を再審査する独立した機関の欠如。

f) 全ての庇護希望者の司法審査へのアクセス保障の不十分性と行政手続終了直後に送還を執行した疑い。

g) 難民申請却下後から送還までの庇護希望者の無期限拘束、特に無期限及び長期の収容ケースの報告。

h) 2006年入管法改正の際に導入された仮滞在制度の厳正性及び限定的な効果。
締約国は、移民の収容と送還に関連する全ての措置と運用は、条約第3条に十分に適合するように保障するべきである。特に締約国は、送還された場合、拷問の対象となる危険にさらされると信ずる十分な根拠がある国ぐにへの送還を明確に禁止し、難民該当性を再審査する独立した機関を設置すべきである。締約国は難民申請及び送還手続きにおける適正手続き(due process)を保障するべきである。締約国は入国管理収容施設における処遇に関する不服申立てを審査する独立した機関を遅滞なく設置すべきである。締約国は、特に弱い立場にある人々が送還を待つ間の収容期間に上限を設置し、書面による送還命令発付以後の収容の必要性に関連する情報を公開すべきである。


代用監獄
15. 委員会は、被逮捕者が裁判所に引致された後ですら、起訴に至るまで、長期間勾留するために、代用監獄が広くかつ組織的に利用されていることに深刻な懸念を有する。これは、被拘禁者の勾留及び取調べに対する手続的保障が不十分であることとあいまって、被拘禁者の権利に対する侵害の危険性を高めるものであり、事実上、無罪推定の原則、黙秘権及び防御権を尊重しないこととなり得るものである。特に、委員会は以下の点について深刻な懸念を有する。

a) 捜査期間中、起訴にいたるまで、とりわけ捜査の中でも取調べの局面において、拘置所に代えて警察の施設に拘禁されている者の数が異常に多いこと

b) 捜査と拘禁の機能が不十分にしか分離されておらず、そのために捜査官は被拘禁者の護送業務に従事することがあり、終了後には、それらの被拘禁者の捜査を担当し得ること

c) 警察留置場は長期間の勾留のための使用には適しておらず、警察で拘禁された者に対する適切かつ迅速な医療が欠如していること、

d) 警察留置場における未決拘禁期間が、一件につき起訴までに23日間にも及ぶこと

e) 裁判所による勾留状の発付率の異常な高さにみられるように、警察留置場における未決拘禁に対する裁判所による効果的な司法的コントロール及び審査が欠如していること

f) 起訴前の保釈制度が存在しないこと

g) 被疑罪名と関係なく、すべての被疑者に対する起訴前の国選弁護制度が存在せず、現状では重大事件に限られていること

h) 未決拘禁中の被拘禁者の弁護人へのアクセスが制限され、とりわけ、検察官が被疑者と弁護人との接見について特定の日時を指定する恣意的権限をもち、取調べ中における弁護人の不在をもたらしていること

i) 弁護人は、警察保有記録のうち、すべての関連資料に対するアクセスが制限されており、とりわけ、検察官が、起訴時点においていかなる証拠を開示すべきか決定する権限を有していること

j) 警察留置場に収容された被拘禁者にとって利用可能な、独立かつ効果的な査察と不服申立ての仕組みが欠如していること

k) 刑事施設では廃止されたのと対照的に、警察拘禁施設において、防声具が使用されていること

締約国は、未決拘禁が国際的な最低基準に合致するものとなるよう、速やかに効果的な措置をとるべきである。とりわけ、締約国は、未決拘禁期間中の警察留置場の使用を制限するべく、刑事被収容者処遇法を改正すべきである。優先事項として、締約国は、
a) 留置担当官を捜査から排除し、また捜査担当官を被収容者の拘禁に関連する業務から排除し、捜査と拘禁(護送手続を含む)の機能の完全な分離を確実にするため、法律を改正し、

b) 国際的な最低基準に適合するよう、被拘禁者を警察において拘禁できる最長期間を制限し、

c) 警察拘禁中の適切な医療への速やかなアクセスを確実にすると同時に、法的援助が逮捕時点からすべての被拘禁者に利用可能なものとされ、弁護人が取調べに立ち会い、防御の準備のため起訴後は警察記録中のあらゆる関連資料にアクセスできることを確実にし、

d) 都道府県警察が、2007年6月に設立される予定の留置施設視察委員会の委員には、弁護士会の推薦する弁護士を組織的に含めることを確実にするなどの手段により、警察拘禁に対する外部査察の独立性を保障し、

e) 警察留置場の被留置者からの不服申立てを審査するため、公安委員会から独立した効果的不服申立制度を確立し、

f) 公判前段階における拘禁の代替措置の採用について考慮し、

g) 警察留置場における防声具の使用を廃止するべきである。

■■以下、その2(←クリック)へ続く■■








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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