男物のじゅばんです。黒っぽく写っていますが、実際はやや緑を含んだグレー、
色辞典で見ると「千歳緑」・・が一番近いようです。
そこに飛んでいるのは「たけのこ」「しいたけ「くり」・・。
それがまた上手なんです。こんな絵です。
色がついていないんですが、なんかおいしそうでしょう。
ちょっと太目たけのこ、カサ大き目のしいたけ、どっちも私の好物!
この合間に小さなクリがころころ転がっています。
なんとも楽しい柄ですね。これは洗い張りして仕立てて、
そのまましまわれていたようで、とてもプレスのきいた状態。
上質の羽二重で、落ち着いたいいツヤがあります。
よーく見ると色が褪せた部分もあり、新品ではないのですが、
とても綺麗です。ただし、裏が・・・。
糊アクが全体に出ていて、まだらのしみだらけ。
着るなら、裏をはずして洗って仕立て直し・・です。
女物のじゅばんに作り直して着るのもいいけれど、
こういういい柄を見ると「表」に出してあげたくなっちゃうのです。
もしそうなら、羽織にはちょっとたりないか・・・な?帯じゃもったいない?
袖なしの道中着なんかどうかなぁ・・。
と、そんなことを考えているときが一番楽しいです。
筍は「古事記」にもでてくるほど、古くからあるもの。
古事記のお話では「亡くなったイザナミノミコトをあきらめきれずに
黄泉の国へ行ったイザナギノミコトが、ウジがわき、醜く崩れた妻の姿を見て
恐ろしくなって逃げようとする、見ないという約束を破った夫に怒り、
イザナミが後を追わせるのが『黄泉醜女(ヨモツシコメ)』、
イザナギが髪飾りを投げると、それが山葡萄になり、
シコメがそれを食べている間に逃げるが、やがてまた追いついてくる、
そこで今度は櫛を投げるとそれが筍になり、また時間をかせぐ・・」
と言うお話、最後に「ヨモツヒラサカ」を越えるときに、
桃を投げつけたところ、シコメも鬼たちも逃げ帰ったということで、
桃には邪気をはらう力がある・・と言うことになりましたとさ。
筍は一番多いのは孟宗竹ですが、うちのバサマの好きなのは「淡竹(はちく)」、
毎年、親戚から送られてくるのを楽しみにしているのですが、
いくらやわらかくても「入れ歯」にはだんだんきつくなるらしく、
毎年届く「えんどうとの炊きあわせ」の筍が薄く小さくなってゆきます。
今年は筍の出来が良くなかったとのことで「はちく」もナシでした。
筍はもちろんのこと、竹と言うのは日本人にとって本当にすばらしい「素材」、
食べることはもちろん、ありとあらゆる場面で「竹」は便利に使われました。
この春に京都に行ったとき、久しぶりで竹林の中を歩きましが、
さわさわとなる笹の葉音、天を突くその高さ、根元にびっしりと積もった
古い枯葉、そこだけはきっと1000年前と同じ風景なのだなぁと、
とてもホッとしたことでした。
今日のシメの写真は、その竹林、さてころりん筍じゅばん、どーしよーかなー。
七輪というのも懐かしいですね。関西だと「かんてき」、採りたて新鮮なのをちょいと焼いて・・いいですね。これ、なんとか形にしたいと思っています。きりばめもいいですね、たけのこコロンと・・。
てっちゃん様
職人さんの激減、後継者の不足・・ほんとに危機的状況だと思うのですが、こればっかりは・・。せめて作品だけは大事に大事に・・。
昔、きりばめの9寸帯(6月16日アップ)でそんな野菜の柄を作りました
筍、栗、柿、柚子、蓮根、蕪、唐辛子、大根
・・・・しかし椎茸は・・
でも今じゃ、その職人さんも高齢の為、作れません、残念です
全てに置いて、昔の技術は素晴らしい
かるさんの上にも渋めでいいんじゃないかと・・。
とりあえず見事によごれた「ウラ」をはずします。
袖なしの道中着いいと思いま~す。
あると便利というか重宝だといつも思う
のですがいまだに私は持っていませんが・・・
きっと素敵なのになると思います。