ひっさしぶりの着物話題です。
写真はこのあとお話しする友人のお孫さん、3歳の時のもの。
着物は女物じゅばん利用、東レシルックです。
昔は総じて豊かではありませんでしたから、何かと「おさがり」は重宝しました。
私は一人っ子ですから、私がおさがりをもらうことは、あまりありませんでしたが、
私の服や着物は、おさがりとしていとこや他人様でも喜んでもらえたものでした。
少し暮らしにゆとりが出てきてから、他人同士ではいつのまにか「おさがり」が、当たり前ではなくなりました。
あるとき、母がそれまでと同じ感覚で、私のお下がりを近所の女の子に…と持って行ったら
「ウチは古着もらうほど困っていない!」と断られたのだそうです。
世の中が変わっていくのだと思い、母はそれ以来、くださいと言われない限り、
私のお古は親戚にしか送らなくなったと言ってました。
今の若い方は、上手にメルカリだのバザーだのを利用しているようで「おさがり」も様変わり…ってとこでしょうか。
昔はそういうものがありませんでしたからねぇ。
さて、友人にお孫さんが生まれました。双子ちゃんです。女の子と男の子。上にもう一人います。
おめでとう、とメールしたら「そりゃいいんだけど、来年上の子が七五三(ということは入学式も)
双子はまだ小さいので、少し先延ばしして秋になったらお宮参り、
来年の初節句は、男の子にはパパさん側がすると言われた」とのことで、
それはありがたいけれど、ばぁばは年金暮らしだというのに、お金がヒラリーンと飛んでゆく…と嘆いていました。
ただ、お雛様は収納もこまるので、いらないとはいってくれたのだけれど、
男の子が買ってもらうのにそうはいかないかなと、どしたらよかろ…と悩んでいる様子。
たいへんだねぇ、ほんとに。
で、言いました。これは以前どこかのサイトで見たのですが、上が女の子で妹が生まれたというとき、
「妹が生まれたから、これは二人のお雛様だね」というように、「誰のもの」ということを限定しないで、
「我が家のお雛様」というようにするといい、そうでないと少し大きくなってから「お姉ちゃんにはあるのに」と
そういうことが起きるからと。なるほどね…です。
今でもお嫁入りにお雛様を持って行くのかどうかわかりませんが、そのときはそれぞれに小さなものとか
お雛様らしい飾り物などを持たせ、最初のお雛様は「実家の物」にしておくとよいと。
そんな話をメールしておきました。
七五三のご相談は承ることにしましたが、双子ちゃんもすぐに「七五三」です。
幸い、おねぇちゃんの七五三の着物があるので、女の子はそれが使えるでしょう。
7歳のお祝い着も、いずれは下の子に使えるようにしておくかどうか…。
女親の実家ってつくづく損よねぇ…とは、以前から言っていたことですが、
着物なら「おさがり」十分通用しますから、この先もなにかと「大事にとっておく」ことになるのでしょう。
いずれいろいろ相談に行くからとのことで、涼しくなるのを待っているところですが、
七五三の着物も、現代では事情が変わってきています。
七五三用の、7歳で着る着物は「四つ身」です。
四つ身は「袖丈×4、身丈×4、+縫い代」で作りますが、作り方は見ごろとおくみを分けずに、
「つまみおくみ」で仕立てます。おくみと分けて断つものは「本裁ち四つ身」と言いますが、
元々が大人になるまで着るのは無理ですから、あとあとの「くりまわし」を考えれば、
こまかく裁ってしまわない四つ身のほうがお得かと思います。
まぁ最近のお子さんは発育がいいですから、小さい子の着物に縁の薄い私には、
はっきりしたことは言えないのですが…。
さて、今回「先の話なんだけど」と言いつつも、友人は「四つ身でも絵羽じゃない方がいいと思う」と…。
私もそう思います。つまり「総柄」、小紋柄のことですね。
七五三の着物、今はレンタルでも「絵羽柄」が主流ですが、
絵羽柄は、あとあと縫い直しをして何かにする…というときに使い勝手が悪いわけです。
総柄なら、なにか別のものにするのにも直しやすいですから。
以前総柄の振袖、のお話しをいたしました。柄によってはなかなかいいものです。
ちょっと贅沢にするなら「絵羽付小紋」くらいにしておくくらいでしょうか。
友人のお孫さん、おねぇちゃんのほうは、おめめパッチリでかわいらしい女の子なのですが、
最近「なんかピンクや赤より、紺や青のほうが似合う感じがしてきたの」ということ。
なので「じゃこっちかな」と、候補に挙げているのがこちら。
これで振袖にしたら、けっこうおしゃまでお姉さんっぽくなるんじゃないかと思っているのですが。
紺が似合うなら、黒地もいいよ…と言っておきました。
黒地だと、過去にアップししたもの、こんなのがあります。
また来年のことになりますので、しばらく探してみようと思っています。
昔なら、晴れ着一式として全部正絹は当たり前でしたが、今は着物を着ない時代です。
子供のものですから、本裁ちの着物になるまで(関西だと十三参りのとき)は、
じゅばんなど化繊で十分ではないかと思っています。帯もつけ帯のほうが、本人は楽ではないかと。
着慣れないものを着て一日過ごすのですから、体に負担にならないようにと考えてあげることも、
必要ではないかと思っています。3歳なら「ぐずりだしたら脱がせちゃっても」なんてこともありますけれど、
7歳ではねぇ…。
そういえば、男の子のほうは?と聞いたら「これから先のあれこれ全部、男の子は父親側が…って、
言ってくれている」とのこと。それなら私も心配しないで済むのですが、
男の子のほうは、3歳もやるとしても、着物なら全部レンタルのほうがいいと思っています。
それこそ男の子用の羽織袴なんて、1回こっきり…のものになるでしょうし、
今は「これはお父さんが七五三の時に着たものでね」なんて、伝える時代ではなくなっていますからねぇ。
いずれにしても世の中が変わり、価値観もかわり、元々の「神仏への感謝」なんてことは
どうも薄れてきていて、地元の神社ではなく有名なところに行くとか、前撮りして写真を残すとか、
ちょっとイベント化しています。それもまた「そういうことができる時代になった」と考えれば、
親も子も幸せなことではありますが…。
ともあれ、友人にとって最大限負担をへらせるように、時間をかけてみていこうと思っています。
長女、次女、三女の私まで、すぐしたの四女は
小柄だったのでほとんど新しい洋服、五女は
年齢があいているので多分新しい洋服だったと
思います。なのでいまだに私は姉から頂く事が
結構あります。
食べ物にしろ着るものにしろ頂けるのはそれだけ
自分に福があるんだと母が言っていたので私は
喰い福、着福があると喜んでいます。
私は一人っ子でしたから、母も「おまえはもらい福が少ない」なんて言っていました。
私「もらい服」だと思っていて、
おかぁちゃんがつくってくれるからいいよ、なんて、
トンチンカンなことを言ってましたっけ。
お下がりはありがたいものでしたのに、いつのまにか
迷惑なものになってしまって。
まぁ暮らしも豊かになりましたし、子供には自分の好みのものを着せたいと思う親心はわかりますけどね。
着物はそれっきりにはしてほしくないですねぇ。