ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

続けて古本です。今日は着物系

2006-06-07 23:34:26 | 本・マンガ・絵

これは昭和29年の「主婦と生活」12月号付録です。
タイトルに「姿態美をつくる美容仕立ての」と書いてあって
「新しい和裁読本」となっています。「姿態美をつくる」という言い方も
かなり古典的で、要するにスマートに見えるとか、カツコよく見えるとか・・?
と言うことではないかと思うのですが・・・。
この本の最初のほうは、今までの本と同じで、普通の振袖や小紋など
「古典の美・・」とか「伝統の・・」とか、そんなタイトルで出ているのですが
そのあとのほうに「千円でできるきものショー」というページがあります。
物価は今とは違いますから、今なら「一万円でできる」という感覚でしょうか。

このページに出てくるのは、当然化繊とかウールとかで、
つまり安い材料を使って・・ということももちろんなのですが、
着物そのものをもっとカンタンに作って着ましょう、みたいな紹介も多いのです。
たとえば、二部式、下の写真ですが・・・モデルは司葉子さん。
ちなみに右は草笛光子さん、






ちょっとイマドキの二部式と違うと思いませんか?
最近の二部式にも二種類あって、ひとつは「おはしょり丈までしっかりあり、
作務衣の上着のように着るもの」、場合によっては帯もしめます。
もうひとつは、この写真の下の方、帯をしていない形で、
そのかわり帯代わりの同布で紐がついていて結ぶもの、
それでもこれほど短くはありません。
この写真の丈、お辞儀したら背中みえませんかねぇ。
で、ちょっと短いんじゃ・・と思っていたら、コンナのが・・・
モデルは関千恵子さん、





なんかもう、ねっ洋服みたいでしょっと言ってるようで・・。
本来の二部式は「普通の着物に見えるように」工夫したものでしたが、
これはもう最初から「別々で~す」とハッキリ見せ、しかも腰、細ォ・・。
このずっとうしろのページには、わざわざ外人女性を使って、
上を上着風に着せて「パーティー」などにも着られる・・と紹介しています。

今でもその類はありますが、普段の着物からこういうスタイルで、
しかも「新しい」と推し進めているあたり、やっぱり着物離れが
顕著だったのではないかと、そんな気がします。
もう一枚、どうぞ。





特別かわってないじゃない・・普通のアンサンブル・・。
に見えるのですが、この着物についているコメントは、
「在来の和服の形をそのままで、一反でできるスリーピース」、
和裁をご存知の方ならお分かりと思いますが、一反では着物と羽織はできません。
一疋ものを使うか、別布にします。ところができちゃう・・という、
それ以上何も書いてないので、仕方なく「作り方」のページをたどっていったら、
はっはっはと大笑い、この下の着物のほう、二部式なんですが、
上は「ベスト」・・・。袖なしです。しかも後ろは衿の少し下から別布。
いやもーおどろきました。ものがないので工夫した・・というのはありますが
最初から「ベスト式着物」です。どんなことがあっても「羽織」は脱げません!

この本は全体的に、着物素材でないものを使ったり、
おくみと衿にずーっと並べてピンタックをとった洋服風にしたり、
下前を前幅いっぱいにしておくみをつけずに、
上前だけおくみをつけた一反でできる「大振袖」とか(着づらいと思う)・・。
とにかくさまざまな二部式とか、用尺少なくとか、洋服地とか、
いろいろな工夫ものがのっています。ちょっと抵抗あるなぁ・・
と思うものもありますが、いまでも使えるものがあります。
そういうところが、着物は便利ですねぇ。
それにしても、みんなスマートだわ・・。

こんなにがんばったのに、ベスト式スリーピースはグッドアイデアとして
残らなかった・・・よかったぁ・・と思っちゃうのは私だけ?
でも、薄い素材で(すけないもの)作ったら、羽織きてても涼しいかも?
いつ着るんじゃ!


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (とんぼ)
2006-06-08 23:41:42
陽花 様

そうですよね。わざわざアンサンブルに見せたいがための「袖なし」、じゅばんはまんまですから・・みょうちきりんなかっこですね。



りさこ様

昔からのリフォームで2枚とか3枚の着物から一枚を作るってのもありますし、パッチワークなんて、実はアメリカよりはるかに歴史がながいんですよね。縫い物が楽しいというのは、聞くだけでうれしい言葉です。いつもりさこさ間の「お裁縫」を「おぉっ」と思いながら拝見しています。落ち着いたら・・HPできたら・・ぬうぞぉ・・って何を・・。



Fujipi様

おお、そういう年代でいらっしゃいますか。私の母はもう少し「古い」ですが、ワンピースなど、やはり腰できゅっとしめて、スカートはギャザーでしたね。記事のたっぷりかかる「サーキュラースカート」をはいてみたいといってまして、50過ぎてからはいてました。

あのミニの浴衣、それはそれでかわいいと思いますし、すずしいだろーなーと・・。でも着物って、全部隠すから「ちらっ」というのがいいんですけどね。それが古い・・といわれてしまうのでしょうね。
返信する
この時代・・・ (Fujipi)
2006-06-08 13:11:33
 母の青春時代だと思います。初期のロックンロールが流行っていたようですから、皆さんウエストはきゅっと細いのが流行だったのだと思います。母が10代の頃着ていたというスカートは、ウエストをぎゅっと絞ってギャザーがたくさん付いているものでした。



 その一方で着物も着ている人はまだ多かったのでしょうし、高度成長期にさしかかったところで、少し生活に余裕が出てきた時代と思われます。だから、「布を贅沢に使う」のではなく「工夫して、楽しく作る」文化(??)が生まれたのではないでしょうか?



 袖なしの着物は、ここ数年若い女性に流行っている浴衣のことを思い出させました。もっとも、今は「生地の節約」ではなく「露出」が目的ですが・・・(丈も短いし)
返信する
実践中? (りさこ)
2006-06-08 11:22:05
とんぼさま♪

わたしは手芸コーナーのワゴンセールのハギレから、着物、足袋、作り帯などを作ってるので、この記事のコンセプトに近いかもしれませんね。でも二部式は苦手なので、長襦袢と着物はスタンダードな形がよいですが…ハギレは布に制限があるので、反物のような裁断ができず、工夫する部分も多いです。縫い物も楽しいので、普段着は自分で縫ったものを着たいと思ってます♪
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はっはっはですね (陽花)
2006-06-08 09:57:59
とんぼ様



ほんとうに、はっはっはですね。

せめて袖なしの着物でも背中側も

同じ生地にしてほしかったですね。

そうしたら、割烹着でも上から着れば

わからないのにね。
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