ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

ひさびさに・・・着物です。

2005-11-19 00:23:04 | 着物・古布

とてもハデな柄ですが、着物です。子供の着物ではありません。
若い女性のサイズで、まぁ10代後半から20代前半くらい??
いまどきは考えられないような色柄ですね。大正から昭和初期・・でしょうか。

ちょっと前にもどって江戸のお話し・・。
着物の色柄は、江戸後期あたりから「粋」が優先されて、
そのころは、老いも若きも「ジミ」好み・・でした。
江戸の町では「四十八茶に百鼠」といわれるくらい、茶とグレーが流行りました。
茶だけでも48種類あった・・というわけです。
当時の世のファッション・リーダーは「役者」「芸者」「花魁」でした。
役者は名前を売るために自分の色柄を決め、それで着物や手ぬぐいを作って、
身につけたり、お得意様ご贔屓様に配ったりしたわけです。
呉服屋は、それを「○○茶」「○○もよう」など名前をつけて売り出す、
いまでいうところの「タイアップ」ってとこでしょうか。
江戸の女性たちは、こぞってひいきの役者と同じ縞柄だの、色目だのを
選んで身に付けたわけです。
下のもようは素材屋さんの「まさん房」さまからお借りしました。
「芝翫(しかん)縞」という縞模様です。ユカタなどでよく見かけますね。
これは「中村芝翫(なかむらしかん)」という役者が、自分の名前を「判じ物」で
表したもので「縞の4本線」と、その線の間のツタのからまったようなのは、
実は一個ずつは両端が丸まった金属製のもの、
たんすの「かん」と呼ばれる取っ手です。ホラ昔のタンスの取っ手って、
こういうのを横にした形で、黒い金属製で、タンスの前を歩くと
「カタカタ」と音がしませんでしたか?
つまり数字の4で「四→シ」「タンスのかん→カン」で「しかん」です。



もうひとつ、こちらは素材屋さん「極楽法典」さまからお借りしました。
「菊五郎格子」です。こちらも判じ物。おわかりですか?
「キ」は「きくごろう」の「き」、「呂」は「きくごろう」の「ろ(う)」、
では「く・ご」はどこ?これは間の縞、つまり線の本数で表してます。
縦の線がよく見ると字と字の間に5本、4本なんです。上の「キ」の字なら
字の左側が4本、右側が5本、足して9本、つまりこれで「九→く」です。
間の横の線は、どこも5本ずつ、これが「五→ご」、
全部あわせて「キ、九、五、呂」で「きくごろう」。あーやっとたどりついた。



こんな風に、粋といわれる柄や「芝翫茶」「利休鼠」など、
ヒトの名前のついた色が、大流行したわけです。
全般的に、ジミ、粋が主流でした。
明治になってもしばらくはその路線だったようですが、
やがて洋風文化なども入り始め、色柄は変化をしていったわけで、
「大正ロマン」なんていう名前で、今はリバイバルでけっこうありますね。
昭和に入ると「銘仙」というものが出て、これがまぁハデハデでして、
こんな柄ほんとに着たのか・・と思うようなポップな色柄がでてきます。
結局、単純に「少女・娘は華やかに」になったわけで、
子供の着物は愛らしく、若い娘さんの着るものは色も柄もハデになりました。
最初の写真の着物は、大きい風船ひとつは手のひらくらいあります。
こういう、色もはっきりとして柄も大きい着物を着た若い女性が、
闊歩していた頃を、リアルタイムで見てみたかったと思います。

と、こうしてみてみますと、イマドキの柄はなんておとなしいのでしょう。
まぁ、この風船柄を着たいとは思いませんが、
もう少しおもしろい柄、楽しい色の着物もあってもいいんじゃないかと思います。
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