ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

昔の帯結び・ひっかけ

2013-07-21 15:53:41 | 着物・古布

 

いただいたコメントで、帯の裏を少し折り返す締め方…のお話がありました。

古い記事、調べたら2008年に、これを書いていますが、余りに古いので再度掲載です。

写真は、当時のものをそのまま流用です。

 

裏の黒を少し見せる…というのは、折り返すということなんですが、

写真は江戸時代の帯締めを使わない結び方のひとつで「ひっかけ」といいます。

トップ写真が前から見たところ。角出しとともに、庶民に多く結ばれた帯だそうです。

ほんとにちょいとひっかけただけ…です。

 

コメントで頂いたのは、たぶん前帯に裏の黒部分がでるように…ということだと思います。

袋帯で、裏が黒いものでしたら最初に前帯分を半分に折らずに、

これから説明するように折ればいいわけですが、後ろは普通のお太鼓になるでしょうから、

そのときは「手」がきれいにでるように、注意すればいいわけです。

 

最初に片側の帯端を三つ折にします。昔の帯ってみんな柔らかいんです。

 

いつものお太鼓をしめるときのように、肩にかけます。(コレで実際締めたら、ちょっと長かったです)。

 

前に回し始めたら、胴の部分は上の黒の部分を7センチくらいにして、真ん中の柄部分を広げ、

普通の帯幅(昔は幅広です)にします。下側は少し中に折りかえるわけです。

 

肩にまわしたほうを下に、胴を回してきたほうを上にしてクロス。

これで結びます。右に行ってるほうを、下からまわして上に出します。

 

下から押し上げるように通していきますが、このとき黒、つまり裏が見えるように引き上げます。

上には表側が出ます。

 

どんどん引き抜いていって、仕上がりの下のライン、つまりお太鼓で言うところの

「たれ」の下のラインですね、その長さを決めます。

 

だいぶ上が長く残ります。ここできれいに広げて整えます。

 

仕上がりが左くらいになるように…上の余り部分から必要な長さ(写真ではお太鼓と書いています)をとり、

お太鼓のときのように帯枕に帯揚げをかけて入れます。

 

これで終わりです。

          

 

これで緩まないのかどうか…大丈夫みたいですよ。化繊帯では無理かもですが。

元々江戸時代は、いまよりもっとなんでもグズグズでゆるゆるですから。

 

これはひっかけですが、同じ引抜で角出しを結んでもたれは裏が出ます。

ただし、今のような帯では長さがないと結べません。今風の角出しになります。

 

昨日の黒繻子の掛け衿も、こういった帯び結びも、江戸の庶民に使われたものです。

今「普段着物」とか「おうち着物」といわれるものは、要するに家の周りせいぜい半径1~2キロ??

いわば「家事労働着」で、おでかけ、よそ行きには、いいものを着ます。

でも、江戸の昔は、みんな毎日着物で、みんなそんなに遠くへのおでかけなんてありませんでした。

せいぜいちょっとご挨拶とか神参りとか…そんな時は、手持ちの着物でこざっぱりしたのを

着ていたわけですね。今の暮らしの中で、掛け衿やこういった折り返しの締めかたは、

現代のおでかけに合うかどうか…です。縞のお召しや黄八丈などにこんな締めかたをして、

黒塗りの下駄など履いたら、ちょいとお出かけ…にもいいかもですが、

行く場所、目的、同行のお相手など、いろいろ考えてから…だと思います。

 

ちなみに、この締めかたをすると、歩くたびにうしろがユラユラ揺れますので、

「ちょっと、お太鼓がはずれてますよ」なんて「お直しおばさん」に出会うかもです。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
なるほど。 (猫族)
2013-07-21 18:58:50
結び方まで、写真つきで載せていただきましてありがとうございます。
後ろはこんな風になっていたのですね。
前ばかり見ていて、分かっていませんでした。
水戸黄門のお銀さんの結び方は、角だしになるのでしょうか?
帯締めって、していないんですよね。
今度、時代劇見るときはよ~~く観察してみよう。
毎日着物生活が出来るようになったら、結んでみたいです。
でも、お太鼓の柄はこの結び方だと、今のものとは逆になるんですよね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-07-21 22:27:43
猫族様

江戸時代には、何十種類もの帯結びがあります。
昔は帯締めを使わないほうが多かったですから。
前がこういう締め方のものは他にもあると思いますよ。
「お銀さん」は、テレビでほとんど見ていないのですが、
私がPCで見たのは「貝ノ口」でした。
鳥追いの姿ですとテレビ的には「角出し」になりますが、
鳥追いが全てアノ格好だったわけではありません。

この帯のように、最初から引き抜きで結ぶ帯、
ちょっと古い帯では、ちゃんとその部分だけ、
柄がさかさまになっているものを見かけます。
今のものなら引き抜かなければいいわけですから、
角出しそのものは、今の袋帯でも結べます。
引き抜きで締めたいときは「柄に上下がない」か
「あっても目立たない」総柄の袋帯にすれば締められます。

過去記事です。ご参考になるといいのですが。
こちらが昔の引き抜きの方。

http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/eb969db372fece18bbbdac87f5f6097b

こちらが今様です。

http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/bd86035a5adeb0fafe244d96666664dc

名古屋帯などの場合

http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/56f3045ac8aff29c4c1b18a8d0d499ea

時代劇には「ウソ」がたくさんあります。
見る側が、楽しく心地よく見るための工夫ですが、
水戸黄門や暴れん坊将軍などの、娯楽時代劇は、
話そのものが荒唐無稽ですから、
時代考証もなおのこと無視される場合が多いです。
リアルにすればするほど、画面がジミで汚くなりますから。
返信する
Unknown (天鼓)
2013-07-22 00:55:02
腹合わせ帯、というものでしょうか。
手持ちでも古着のもので、表裏とも花柄で、薄黄色と黒のものがあります。
短めの袋帯くらいの長さがあり、袋帯扱いでした。
黒繻子のもいいなあと思うのですが、さすがになかなか見つかりません。
作るのが早いくらいかも。

歌舞伎なんかでも、腹合わせ帯でちょっと折り返して裏も見せているの、たくさんありますね。
八百屋お七の絵とか、だいたいそういう感じでだらりの帯を結んでますね。
浮世絵で見かけるあの結び方は引っかけと言うんですね。
帯枕や帯揚げを使ってないような感じの絵もありますが、なくてもちゃんと締まってそうですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2013-07-22 01:15:18
天鼓様

はっきり決まっているわけではないようですが、
裏が黒いものは「鯨帯」といわれたようです。
表が明るくて裏がくらいものを「昼夜帯」、
違う柄のものや、どちらも使えるような色柄などを、
腹合わせと読んだようです。
今はごっちゃになってますが。

私も黒繻子だけの反物など見つけると買っておくか、
表の柄はさほどでもないけど、
裏はよさそうだと思うとつい手が出ます。
繻子は弱いので、届いてからダメかぁなんてのも
あるんですけどね。

お七のだらりは、まんま「お七結び」ですね。
コレも締めかたを書いた記事があったはず…。
昔はいまみたいに「カンペキ」をめざしませんし、
モノがなかったですから、帯揚もなしで腰紐のようなもので、
結んでいた場合もあったと思います。
帯時代も絹のすべるものより、すべらないものが
多かったと思いますし、緩んだらちょいと手をつっこんで、
きゅっと締めなおせる締めかたですしね。
いまよりずっとらくーに着ていたのでしょうね。
返信する
今頃で済みません(。>Д (貞奴)
2015-01-10 22:07:21
初めて拝見させて頂いております。
ずっと憧れていた結び方だったので、こ踊りしているトコロですヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ♪
初心者の質問で申し訳無いのですが、この結び方は裏が黒でないと良くないのでしょうか?

拝見して頂けることを祈って…
宜しくお願い致します。(_ _)
返信する
Unknown (とんぼ)
2015-01-10 22:42:08
貞奴様

はじめまして、コメントありがとうございます。
まぁ喜んでいただけて、書いてた甲斐があるというものです。

裏は黒でなければならない…ということはありません。
イマドキは裏が黒繻子の帯は自分で作りでもしないとありません。
だいたい表に柄があって裏は同系色か
全く同じ地色だと思います。無地がアクセントになりますから、
あまり黒にこだわらなくてもよろしいかと思います。
あと、長さがないと…引き抜きがやりにくいです。
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