ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

荒磯柄の平絹

2012-07-13 19:09:04 | 着物・古布

 

「荒磯」と書いて「ありそ」と読む…と、先日お話し致しました。

元々いわゆる「名物裂」の中のひとつ。「名物裂」は、安土桃山時代に海を渡ってきた、

緞子(どんす)や金襴などの生地を、かの千利休が「茶器の仕覆」として使ったことから、

珍重された布地全般を言います。

緞子・金襴・間道・天鵞絨(ビロード)など、様々な布で、茶道具の保護するための「入れ物」として作られ、

引き絞るヒモまで美しいというものです。

いやあ、茶道の心得のまっっっったくない私が、仕覆のお話をしようと言うのが、土台ムリなオハナシ…

というより「暴挙」に近いわけなので、えーと、知ってることだけチョコチョコと…です。

 

で、柄と言いますと、何しろ高価な絹織物が多いわけで、当然金襴などは「有職紋様」タイプが多いわけですが、

間道(かんとう)などは、縞や格子ですから、豪華絢爛な柄ばっかりと言うわけでもないんですね。

この「荒磯」は、そういう柄の中のひとつというわけなんですが、もともとは中国から来た柄。

「荒磯」と言うからには「海」で、こんなに元気に飛び跳ねているのだから「イルカ」…いやいやそーじゃなくて、

通常は「和柄に使われる海の魚」だと「鯛」…と思うのですが…。

お魚さんをよく見ると「ヒゲ」がある…あるかな?ないじゃん…口の先にVに書いてあるのがヒゲ…らしいです。

これ、略しすぎ…。

 

       

 

実はこの「荒磯」も、どれもがみんな同じように描いてあるわけではありませんで、

私の持っている「木綿」の方、こちらのほうが、より細かいといいますか、大判風呂敷などに使われています。

あごの下(魚ってあごっていうのかしらん)のピロンとしたのがヒゲ。

 

     

 

一番らしいのは、借用画像ですがこちら、ちゃんとヒゲらしいですね。これも風呂敷。

 

     

 

これなら鯉に見える…かというと、私いつも「荒磯柄」を見ると「鯉」の前に「シーラカンス」を思い出すのです…。

 

ヒゲがある…ということは、鯛でもマグロでも、もちろんイルカでもなく「鯉」です。

となると…そう「磯」ではないんですよね。

これ、以前に書いたと思うのですが、川、もしくは池と飛び跳ねる鯉が、ナゼ「磯」なのかは、実はわかりません。

勝手に考えたことですが、中国というのはとても大きな国ではありますが、

海に面しているところは東側だけ。あとは川や池、湖です。しかしスケールが違う!

長江や黄河のような、向こう岸も見えないような大きな川で「川魚」を主として獲ってきたわけです。

ですから、中国でおめでたい魚といえば「川を上って龍になる鯉」ですが、

四方を海に囲まれ、海と見まがうような大きな川や湖もない日本では、めでたい魚といえば、海にいる「鯛」…。

そのアタリからの混乱かなと思うのです。

 

というわけで、単純ながら楽しい「荒磯柄」の、これは題名「じゅばんの解き」…だったのですが。

実際広げてみたら、確かに胴貫として使ったらしいペラペラの平絹(衿肩あきのあるもの)が二枚、

但し、長さはちぐはぐ、それとなんだったのかな?が゛少々、そしてこの荒磯柄。

しかーし、この荒磯柄が、1メートル、2メートル、4メートルが1枚ずつという、ナゾな長さの3枚だったのです。

どこにも切り込みがありません。全部で7メートルですから、もちろん胴貫じゅばんはできますが…。

「じゅばんの解き」でないことだけは確かです。

おまけに、荒磯の方は、大きな別段問題ナシの状態なのですが、

一緒に入っていた「衿肩あき」のあるほうは、なんたってもう、すごいツギアテと色変わり…。

右のような穴が何箇所もで、左のように裏からピンクの布で裏打ちしてあります。

色も白いところからグラデーションで?汚れてますし。

 

      

 

いやまぁよくぞここまで使ったものですわ。

以前、お茶をなさっておられる方から、お茶碗を包むのに、使い込んでとろけるようになった絹がほしい、

とご所望があり、胴裏につかわれていたものなど、もうヨレヨレの絹をお譲りしたことがあります。

これはねぇ…タシカニ、優しく包むにはいいかもの手触りですが…この汚れとツギではねぇ…。

我が家の使わなくなった「どんぶり」かなんか包んで、床下収納に入れますかね。 


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2 コメント

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Unknown (陽花)
2012-07-13 23:29:19
ホント、なぜ荒磯に鯉なのかと
不思議に思います。
ここまで薄くなるほど着こんであると
体に馴染むんでしょうね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-07-14 18:11:32
陽花様

海といわれても、違和感ありませんしねぇ。

もうシナシナを通り越して、
さわっただけで切れそうです。
質の悪い生地の部分もあって、
それは逆にゴワゴワで紙みたいです。
着込んだんでしょうねぇ。
返信する

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