百聞は一見にしかず、と申しますから、実践してみましょう。
本日文章も長けりゃ写真も多いです。だはははは。
で、すみません、昨日「洗い張り」と書いたのですが、
少し戻って「解き」からやりますので、
洗い張りのお話しは「続く」でお許し下さい。
トップの写真は、以前売りますよーなんてカンタンに言ってしまって、
せっかくお客様が声をかけてくださったのに、
よくよく調べたら、シミだらけだったという、失礼してしまった一枚。
なんたって中もこんなに変色しています。
これを解いてみましょう。
これが私の「解き用七つ道具」…四つやんか、いえいえ、これにあと三つ、
下の衣装敷き、チラシで折った即席ゴミ入れ、最終的に使うガムテ、で七つです。
左のカッターは、着物が古くて湿気で糸が固まってどうしようもないときの用意。
ハサミの先もリッパーの先も入らないときは、
その糸の部分をできるだけ盛り上がらせて、てっぺんをカッターの刃で
そぉっと、ちょんちょんとたたくようにあてます。
これで切れたところを手がかりに進めるわけです。
ピンセットは一目ずつカットしたときの取れにくい残り糸を取ります。
リッパーはもう20年以上使っている「やや切れない」もの、
あわてて布まで切ってしまわないためです。(そそっかしいので)
ハサミはもっぱら「握りバサミ」、和裁にはこれです。
衿スナップの横に目印の名前の縫い取りがありました。
こういうものとスナップの糸は、リッパーが便利です。
ちょっと先走ってますが、これは袖部分、
こんなふうにあけてみると「力布」がついています。
こういうものと、例の「閂止め」などは、本当に細かくきっちり縫ってあります。
あまり針仕事は得意じゃなかったらしい人のものは、
とにかくめちゃくちゃキチキチに止めてあったり、
玉結びが三個も四個もあったり…それでなくともしっかり縫うところですから、
あまりひどいとイライラしますが、こうやって縫ってあるところは、
それだけ布にも負担がかかっていますから、あわてると布を切ります。
ゆっくり慎重にやってください。
衿がはずせました。四角いのがチラシで折った即席ゴミ入れ。
これを手元に置いて、どんどん入れていくわけです。
おわったらこのままポイです。
昨日も書きましたが、衿が取れたら、そこで一度作業をやめて、
糸くずの始末をつけましょう。あとあとの掃除がらくです。
そんな細かいこと、と思うでしょ。
でも着物を解くって、けっこう大仕事なんです。
いくら手順がわかっていても、場所はとるし、やることが細かいし、
糸くずは出るし…。だからできるだけ手順よく、始末が楽なようにやると
「ああ着物なんて解くの、もういや」なんてことが
少しは防げるカナと思うんですよ。
あっ特に洗っていない古着を解くとき、けっこう埃もでるんです。
袂の底をみるとすごいですよ。アレルギーとかあるかた、気をつけてください。
さて、今回は時間の関係でとりあえず衿と袖だけはずしました。
ここからいよいよ「伸子張り」にうつります。
伸子張りをするなら「羽縫い」をしなければなりません。
ちょっとまたわき道ですが、「端縫い」「羽縫い」どう違う??
私は正確な答えを知りません。母から習ったことでいえば、
「端縫い」は、とにかく四角い布をはぎ合わせること。
たとえばこんなの。脱帽です…。
そして「羽縫い」の方は、伸子張りをするために、
解いた布をすべてつなぎ合わせること、これは、身頃も袖もひろがって
羽を広げたようだからそういう、と教わりました。
正しいかどうかはわかりませんが、私はそのとおりに使い分けています。
では「羽縫い」ですが…本格的な洗い張りだと、全部をつなぎます。
つまり今度は「最初に裁ったときのように並べる」です。
家庭ではどうしても短くですから、昨日書いたように身頃一枚ずつ、
袖は二枚つなげて…とやります。今回はその袖を二枚つなげる…です。
さて、ここからがモンダイなんです。
羽縫いは普通の本縫いのように、二枚の布を合わせてぐし縫いではなく、
「突合せ縫い」をします。文字通り「布を重ねない」でつなげられる縫い方。
ちなみにプロに頼むと、今はロックミシンです。
私、実はこれをちゃんと習っていません。
母から聞いたのは、横伸びするものはきっちり縫ったら伸びないから、
「動く縫い方をする」でした。それが「千鳥がけ」とか「突合せ縫い」。
つまり「へぇーそーなんだ」と聞いていただけで、当然実践はナシ!
「突合せ縫い」というのはこんな縫い方です。
実際にはもっと細かくしますが、針のでるところや向きがわかりやすいように
大きく長くしています。
また裁ち切りだと見づらいので、布の「みみ」をつき合わせています。
上の矢印が最初に糸のでるところ。
下の矢印が次に針を出すところです。暗くて針がみえませんね。
次はまた矢印のところで布の下に針を入れます。
下から上に針を出します。
糸が出ました。
また左下にくぐらせて針を出します。
これを繰り返すとこうなります。
もう少しまともに細かくやりますと、こんな感じで、引っ張ると間があきます。
このほかにも突合せというだけなら、刺繍でいうところの「スカラップステッチ」
つまりバスケットとかボタンホールなども使えます。こんな感じ。
伸子張りのための羽縫いはなんで突合せなのかといいますと、
たとえば肩あきをつまんで縫ってしまうと、つままれた分だけ
盛り上がりますね。つまりその横の肩線とはまっすぐに揃わないです。
「伸子張りのときは布が縦にも横にもひっぱられる」わけで、
ゆがむときちんと張れませんし、出来上がりもゆがみます。
またちりめんのように大きく縮むものは、つないだとき横に伸びる余裕がないと、
そこだけ縮んだまんまになってしまいます。
だから、まず「平ら」になる縫い方と、
縫っても「伸びる」余裕を持たせられる縫い方、が必要なわけです。
私は肩アキは10センチくらいなので「ちどりがけ」をします。
ちりめんを横につなぐときは「突合せ縫い」、
紬などあまり縮む心配のないものの袖をつなぐときなどは、
手抜きで重ねて少し緩めのぐし縫いで、なんとかなっちゃいます。
私の伸子張りは、ほとんどが材料用で糊もつけませんから、
毎度大手抜きで平らに重ねて、ぐし縫いしちゃってます。
母がみたらおこるでしょうねぇ。
今、洗い張りに出すと「ロックミシン」で帰ってきますから、
いったい本当はどうやって縫うのが正解なのか…。
でもね、私思うんです。お客様からの大事な預かりものならともかく、
自分のもの、家族のものなら、伸子を表からやっちゃうように、
ちゃんとできたらなんでもいいんじゃないかなって。
大事なのは、布を大切に扱うキモチで、それを伝えることじゃないかって。
突合せ縫いは、実際時間がかかって面倒です。
でもやらなきゃなりませんよー。
では、実際の伸子張りはまた「続く」で…。
ひっぱるなーあたし。
本日文章も長けりゃ写真も多いです。だはははは。
で、すみません、昨日「洗い張り」と書いたのですが、
少し戻って「解き」からやりますので、
洗い張りのお話しは「続く」でお許し下さい。
トップの写真は、以前売りますよーなんてカンタンに言ってしまって、
せっかくお客様が声をかけてくださったのに、
よくよく調べたら、シミだらけだったという、失礼してしまった一枚。
なんたって中もこんなに変色しています。
これを解いてみましょう。
これが私の「解き用七つ道具」…四つやんか、いえいえ、これにあと三つ、
下の衣装敷き、チラシで折った即席ゴミ入れ、最終的に使うガムテ、で七つです。
左のカッターは、着物が古くて湿気で糸が固まってどうしようもないときの用意。
ハサミの先もリッパーの先も入らないときは、
その糸の部分をできるだけ盛り上がらせて、てっぺんをカッターの刃で
そぉっと、ちょんちょんとたたくようにあてます。
これで切れたところを手がかりに進めるわけです。
ピンセットは一目ずつカットしたときの取れにくい残り糸を取ります。
リッパーはもう20年以上使っている「やや切れない」もの、
あわてて布まで切ってしまわないためです。(そそっかしいので)
ハサミはもっぱら「握りバサミ」、和裁にはこれです。
衿スナップの横に目印の名前の縫い取りがありました。
こういうものとスナップの糸は、リッパーが便利です。
ちょっと先走ってますが、これは袖部分、
こんなふうにあけてみると「力布」がついています。
こういうものと、例の「閂止め」などは、本当に細かくきっちり縫ってあります。
あまり針仕事は得意じゃなかったらしい人のものは、
とにかくめちゃくちゃキチキチに止めてあったり、
玉結びが三個も四個もあったり…それでなくともしっかり縫うところですから、
あまりひどいとイライラしますが、こうやって縫ってあるところは、
それだけ布にも負担がかかっていますから、あわてると布を切ります。
ゆっくり慎重にやってください。
衿がはずせました。四角いのがチラシで折った即席ゴミ入れ。
これを手元に置いて、どんどん入れていくわけです。
おわったらこのままポイです。
昨日も書きましたが、衿が取れたら、そこで一度作業をやめて、
糸くずの始末をつけましょう。あとあとの掃除がらくです。
そんな細かいこと、と思うでしょ。
でも着物を解くって、けっこう大仕事なんです。
いくら手順がわかっていても、場所はとるし、やることが細かいし、
糸くずは出るし…。だからできるだけ手順よく、始末が楽なようにやると
「ああ着物なんて解くの、もういや」なんてことが
少しは防げるカナと思うんですよ。
あっ特に洗っていない古着を解くとき、けっこう埃もでるんです。
袂の底をみるとすごいですよ。アレルギーとかあるかた、気をつけてください。
さて、今回は時間の関係でとりあえず衿と袖だけはずしました。
ここからいよいよ「伸子張り」にうつります。
伸子張りをするなら「羽縫い」をしなければなりません。
ちょっとまたわき道ですが、「端縫い」「羽縫い」どう違う??
私は正確な答えを知りません。母から習ったことでいえば、
「端縫い」は、とにかく四角い布をはぎ合わせること。
たとえばこんなの。脱帽です…。
そして「羽縫い」の方は、伸子張りをするために、
解いた布をすべてつなぎ合わせること、これは、身頃も袖もひろがって
羽を広げたようだからそういう、と教わりました。
正しいかどうかはわかりませんが、私はそのとおりに使い分けています。
では「羽縫い」ですが…本格的な洗い張りだと、全部をつなぎます。
つまり今度は「最初に裁ったときのように並べる」です。
家庭ではどうしても短くですから、昨日書いたように身頃一枚ずつ、
袖は二枚つなげて…とやります。今回はその袖を二枚つなげる…です。
さて、ここからがモンダイなんです。
羽縫いは普通の本縫いのように、二枚の布を合わせてぐし縫いではなく、
「突合せ縫い」をします。文字通り「布を重ねない」でつなげられる縫い方。
ちなみにプロに頼むと、今はロックミシンです。
私、実はこれをちゃんと習っていません。
母から聞いたのは、横伸びするものはきっちり縫ったら伸びないから、
「動く縫い方をする」でした。それが「千鳥がけ」とか「突合せ縫い」。
つまり「へぇーそーなんだ」と聞いていただけで、当然実践はナシ!
「突合せ縫い」というのはこんな縫い方です。
実際にはもっと細かくしますが、針のでるところや向きがわかりやすいように
大きく長くしています。
また裁ち切りだと見づらいので、布の「みみ」をつき合わせています。
上の矢印が最初に糸のでるところ。
下の矢印が次に針を出すところです。暗くて針がみえませんね。
次はまた矢印のところで布の下に針を入れます。
下から上に針を出します。
糸が出ました。
また左下にくぐらせて針を出します。
これを繰り返すとこうなります。
もう少しまともに細かくやりますと、こんな感じで、引っ張ると間があきます。
このほかにも突合せというだけなら、刺繍でいうところの「スカラップステッチ」
つまりバスケットとかボタンホールなども使えます。こんな感じ。
伸子張りのための羽縫いはなんで突合せなのかといいますと、
たとえば肩あきをつまんで縫ってしまうと、つままれた分だけ
盛り上がりますね。つまりその横の肩線とはまっすぐに揃わないです。
「伸子張りのときは布が縦にも横にもひっぱられる」わけで、
ゆがむときちんと張れませんし、出来上がりもゆがみます。
またちりめんのように大きく縮むものは、つないだとき横に伸びる余裕がないと、
そこだけ縮んだまんまになってしまいます。
だから、まず「平ら」になる縫い方と、
縫っても「伸びる」余裕を持たせられる縫い方、が必要なわけです。
私は肩アキは10センチくらいなので「ちどりがけ」をします。
ちりめんを横につなぐときは「突合せ縫い」、
紬などあまり縮む心配のないものの袖をつなぐときなどは、
手抜きで重ねて少し緩めのぐし縫いで、なんとかなっちゃいます。
私の伸子張りは、ほとんどが材料用で糊もつけませんから、
毎度大手抜きで平らに重ねて、ぐし縫いしちゃってます。
母がみたらおこるでしょうねぇ。
今、洗い張りに出すと「ロックミシン」で帰ってきますから、
いったい本当はどうやって縫うのが正解なのか…。
でもね、私思うんです。お客様からの大事な預かりものならともかく、
自分のもの、家族のものなら、伸子を表からやっちゃうように、
ちゃんとできたらなんでもいいんじゃないかなって。
大事なのは、布を大切に扱うキモチで、それを伝えることじゃないかって。
突合せ縫いは、実際時間がかかって面倒です。
でもやらなきゃなりませんよー。
では、実際の伸子張りはまた「続く」で…。
ひっぱるなーあたし。
ずっと羽縫いの方を使っていました。
仕立上がったものは二三枚しかほどいた事は有りませんが、仮絵羽なら無数です。
小売屋さんではないので当り前ですが。
工房でも端縫いはロックミシンを使っています。
ベビーロックと言っておもちゃの様に小さなものですが十年を超えて長持ちしています。
湯のし屋さんなどの業者は二本糸ミシンしか使いませんが、珍しい一本糸ミシンです。
手で縫うのは大変ですね。
ロックミシンがけでした。
あの糸の解く先、上手に見つける
方法があるんでしょうか。
たまにスルスルと解けると気持ちが
いいのですがね。
初めて耳にすることばかりで
ポカ~ンとしています。
こういうことを知らないで
高い着物を着ていても
あんまり格好よくないですね。
まだ解く予定の着物があるので
参考にさせていただきます!
続きが楽しみだなあ~♪
今更ながらに、もっと母のしていることを
みておけばよかったと思っています。
今聞いてもいいんですが、イマイチ…なので。
手縫いはほんとに、時間がかかります。
一反全部なんて、考えただけで…。
昔の人ってすごいですね。
私もロックミシンは持っているのですが、
それを引っ張り出してまで…という
これまた横着モノです。
だいたい1本か2本ロックだと思うんですが、
えーとたしか、みみから一番遠い、
下の横向きの縫い線が、縫い目を止めている糸
だったとおもうんですが…
それをちょっとひっぱって一箇所切ると、
あとはすーっと解けるんじゃなかったかと…。
私もうろ覚えです。3本ロックになると、
解くのもちと面倒なんですよ。
あれを切って糸をとるのも結構面倒ですよね。
既に私の頭の中にも、母の後姿程度の
おぼろげな記憶しかないこともあります。
ついこの前まで、みんな家庭で、
やってたことなんですけどねぇ。
この前、30代の女性に「障子の貼り方」を
話したら、えっ、一枚でベタッと貼れるでしょ
といわれてしまって…あぁイマドキは、
そうなのよねぇと。
私なんてふすまの張替えまで、
手伝わされましたよ。