タイトルに困りますので、だはは。
ふつーに、ふつーに…今日は「補正」のお話をしようと思います。
きれいに着るために…まずそこからですが、きれいに着る…ということは、どういうことかしらん?
これも人によりけりなのでしょうけれど、私にとって「きれいに着る」ということは、
少なくとも、シワひとつなく、ではありません。馴染むように着る、自分に合うように着る…ですかね。
最近はたまにしか見かけない着物姿ですが、ぱっと見て、あ、いいな…と思うのは、
その人流の着こなしをしている人だと思うのです。
いや、この「着こなし」という言葉も、抽象的で難しいですね。
「こなす」は、単に「やる」ということだけでなく、例えば何か読むなら文章の意味を深く理解するとか、
道具なら使い勝手を知るとか、作業なら間違いなく要領を掴んで進めるとか…。
元々は「食べ物が胃の中でこなれる」というような、細かくして吸収することもいいますから。
つまりは「自分のものにしている」…イコール自信もって着てる、とでも言いましょうか。
別段、シワひとつなく着ているわけではないけれど、とても自然…とでも言いましょうか。
人間って勝手なもので「なんでもない」「違和感ない」そういうものは、あまり目に入りません。
例えば、前からスーツ姿の男性がきたとします。よく見かけるようなごく普通のサラリーマン。
そういう人は特別目に入りません。記憶にも残りません。
でももしその男性のスーツが赤と白のボーダーだったら、ワイシャツの袖がカフス全部出るほど長かったら…
逆にものすごく「イケメン」だったら、好きな俳優さんに似ていたら…「あらっ」と気がつくし、印象にも残りますよね。
つまり「当たり前のこと」というのは「それがおかしくない」ということで、眼に入らないわけです。
なんかヘンだったり、逆にすごくステキだったりすると、それで眼を引かれるわけですね。
だから「違和感ないから印象に残らない」のが第一目標で、
着こなせたら「ステキ」で印象に残る…が第二目標?
よく「女優の○○さんのように」という目標をもたれる方がいます。
コメントでいただいた杉村春子さん、コメントでは杉村さんは「花柳章太郎さんの楽屋に通い、
着付けや所作を見て学んだ」と、おっしゃったそうです。
花柳章太郎さんは、新派の大御所ですが、女形としての美しさはほんっとにため息でます。
あたしは女なのにぃ~なんておもったりして。
この花柳章太郎さんの着付けを担当していたのが「根津昌平」さんです。
水谷八重子さんの着付けも担当した方です。
この人のお話を聞き書きしてまとめたのが、こちら「きもの語り」です。
着付師一代 きもの語り | |
クリエーター情報なし | |
河出書房新社 |
私はこの本でたくさんのことを「なるほどなぁ」と教えていただきました。
ただし、この方の着付けはあくまで「主は舞台衣装」です。
だから「役どころをきちんと演じられるように、衣装を選び、その役になりきるために着付ける」です。
当然のことですね。だから「見た目に美しく」というのはあたりまえで
人間の凹凸のある体にキレイに着付けるためには「コーラの瓶を茶筒にする」と書いておられます。
ほんとにそうなんですね。でも、そのために補正が必要だ、というのは、私は私流で…と思います。
補正というのは、いまならパッドを巻くとか、腰布団を差し込むとか…つまり、へこみをなくすためのアイテム、
それを体につけてボディメイクをする…ということです。
洋装では当たり前のように、ブラとガードルで「胸をよせてあげて」「腰を締めてお尻をあげて」ですね。
洋装の場合は、いわゆる90・58.90みたいな?ボディが理想ですが、
着物の場合は「茶筒」が理想ですから、洋装の理想ボディと比べたら、
実は「脱いだらすごいんです、ブサイクで」になります。
私は、昔、着物で過ごしていた人たちは、毎日詰め物をしていただろうか…と思うわけです。
おそらくそんな手間隙はかけなかったと思います。
元々長年の着物暮らしで、DNA的に、日本人は「胴長・寸胴・短足」…。
すらりと柳腰…というのは、胴長でメリハリのないボディのことだったわけで…当時なら私はミス・きものじゃっ!
それに、ダラデレと着ているのが当たり前の状況でしたから、今のように「美ボディ」を作るなど、
あまり気にしなかったであろうとおもっています。
で…根津さんは、まず着付けをする相手が「男性」であり(水谷さんは女性ですが)、
舞台で映える美しい姿、ということで、一般に着物を着るときも「補正」を提唱されるわけです。
今の女性はコーラ瓶より更に「メリハリ・ボディ」ですから。
なので、私はこれも「この方法は自分で選べばいいこと」と思っています。
若ければ若いほど、やっぱりカタチよく着たいですからね。
私のように、年齢のおかげで衿元もゆったりが合うし、帯も下目に締めてもちょうどいい、
しかも体型は「自前補正」のお肉たっぷり…となると、補正ねぇ、ま、いっか…という気分なのですが…。
ただ、この本に書かれている補正は、あくまで「今の体型はこうだから」という、基本的なことです。
私は、かつて胸が貧弱で(えぇ、モチロン今も!)、胸というより首からオナカまで全体に肉がない…。
「夜霧の滑走路」と呼ばれておりました。果てしなくまったいら…。
では、胸だけでも今でいうところの、BカップだのCカップだのならよかったかというと、
着物の場合の胸は「盛りあがって平ら」が理想です。
つまりブツ、そのものは大きくないほうがいいし、垂れていないほうがいい…です。
母は「横浜でビンボ暮らししたおかけで、やせてしもた」と言っていましたが、昔は豊満ボディでした。
着物を着るときは、胸にさらしを巻いていたそうです。
私のガリガリ・ボディを見ては「誰に似てんやろ」…知らんわい。
なので、私はさらしは巻かなくてすんだのですが、ネックは鎖骨のあたり。
「胸に手を当てて」といわれたとき、右手で左胸のバストの上辺りをおさえますね。
親指の先が首の下のぐりぐりくらい。この手のひらの範囲に肉がない…と、どうなるかといいますと、
着物を着るとここがへこんで、おばあさんのように老け込んで見えるのです。
母は「そこが浮くとババくさくなる」と、私にじゅばんを着る前に、うすーいガーゼをぽんぽんとたたみ、
巾は10センチくらい、長さは30~35センチくらいだったでしょうか、厚みはさほどありません。
それを「V字」に折って、じゅばんの衿からみえないように隠して、胸に乗せるようにと言いました。
この「胸元の補正」については、根津さんも「補正」を書いておられます。「鳩胸にせよ」と。
腰は細かったのですが、ついでにお尻にもオナカにも肉がない…、
嫁に出るときには、まぁいずれ太くもなるだろうと女並の身幅で来たのですが、
いまや「太く」をとおりすぎて「デブっとく」なりまして、前巾を出すアリサマ…。
胸もそこそこムダ肉がついて、みぞおちなんぞつかめる…し。
それでも、私の「胸の手のひらのあたるところ」は肉がありません。
少々は大きくなったブツをブラで上げても、逆に、バストと、肩までの間が谷になってしまう。
同じ胸の谷間でも、えらい違いです。
なので、体型が少々変わろうとも、胸のV字ガーゼで来たのですが、
最近は肌じゅばんにポケットをつけて、そこに半円形のパッドを入れています。
補正用パッドというと、厚手を思いますが、この「胸パッド」は、薄くてOK。
今はそういうパッドつき肌じゅばんや、和装スリップも売っているのでもってもいますが、
私は普通の肌じゅばんにポケットをつけ、パッドは古い洋服の「肩パッド」流用…でへへ。
これできたのですが、最近の「お肉の余り具合がひどくなって」…着物を着ると、
衿元云々より、脇のタレ具合が気になり始めまして…。ついに今後は和装ブラ…。
洋装はバストを「寄せてあげて」、ですが和装は「広げて押し上げて」です。
だからあの防弾チョッキみたいなカタチの「全体に押さえる」ブラが必要になるわけです。
なので、引力の法則にしたがって、元々ナイに等しいブツとともに、垂れてきた脇のお肉が…。
あぁぁもぉぉぉです。これ…ですね。昨年のブログ誕生日に使った写真の部分です。
向かって左の脇、まるで「タラチネ」ですが…実は中身はありません。
ただ、着物が浮いているだけです。これは、ブラなしで着て、そのまま右(向かって左)に、
体を傾けてお辞儀をしたので、肉のないあたりの着物があまって、それがたるんだわけです。
(だいたい衿巾がきちんと折れとらん。やっつけで着ても、ここだけは…の部分ができてません。あーらら)
同じときに撮った写真、あまり深くお辞儀をしていないし、体も正面向きなので、脇はそれほど余っていません。
かわりに中のじゅばんが動いて、向かって右の半衿がひっぱられてますね。
着物は逆に向かって左が、余り分、よれてます。
よくまぁこんなんで写真撮ったわ、ホンマ。鏡くらい見なはれ、です。
でも、と私は思うのです。私くらいのトシになったら、別に男性の目をきにするわけじゃなし、
むしろ「だらしない」とか「不潔」とか、そういうほうを気にします。
脇がテレンと垂れて、いかにも胸の「ムダ」肉が、着物の中で押し合いへし合いしてます…は、
ときとしてだらしなく見えてしまうかもです。この写真を撮ってみて思いました。
こうならないように意識して着る…和装ブラをつける場合、つけない場合を、チョイスしないとなぁと…
着慣れているつもりが、年とともに悩みはカタチをかえて、忍び寄ってくるのですなぁ。
私は道具もほとんど昔ながらの腰紐や伊達締めですが、たまにコーリンベルトも使います。
まぁちょっと気合を入れて着るときですね。
ただ、私は元々着物素材にはゴム素材は「基本的には」合わない、と思っています。
ゴムというのは、伸びる…だからラク、ということですが、きつく使えば逆に苦しくなります。
ウエストゴムのスカートはラクだ、と言っても、そのゴムがきつければ、苦しいですよね。
つまり「伸びる」けれど、元に戻ろうとして「締まる」からです。だから使うならゆるめで。
それと困るのは、例えば腰紐の変わりに使うと、座位から立ち上がるときにうっかり裾など踏むと、
ヒモで締めているときより、簡単にずるっと出てきてしまいます。
だから、ゴムを使うとは「締め具合」をしっかり確かめて、自分にとっての締め具合を決めることです。
それと、コーリンがありがたいのは、伊達締めを締めて抑える衿の合わせ目が、横に引っ張られるので、
衿が開きにくい…ということです。これも締め具合を決めておくほうがいいですね。
私は、いちいち着ている着物の厚みやら、そのときの自分の体型やらで、調整が面倒なので、
コーリンのいいところ、つまり衿を両方から「衿元がしまる」方向に引いてくれる…
というところだけを使いたいので、ゴム素材が部分使いのコーリンを使っています。
これは呉服屋さんに勧められたものです。少しゴムが付いていて、多少伸び縮みしてくれるので、
苦しさはありません。残りはただの紐なので、しっかり締まります。
補正具というのは、使って整えたい場合、別にブサイクでもいい場合、部分的な悩みの場合、
それぞれの場合によって、これもまたチョイスすればいいと思います。
着方や、パッドでないものでも、補正は可能なこともあります。
杉田久女の句に「花ごろも 脱ぐやまつわる 紐いろいろ」というのがあります。
お花見から帰ってきて着物を脱いだとき、いろんな紐や伊達締めが体にまとわり付いて…という、
女性特有の情感…ということもありますが、明治大正という、まだまだ女性の地位が低かった時代、
いわば「生きていく上での、しがらみ」…を、あらわしているとも言われています。
あ、句の内容はともかく…「花ごろも 脱ぐやごろごろ 補正具のヤマ」は、やっぱり艶っぽくないなぁ…。
というわけで、また途中の感じですね。
着方についてもまた書きたいと思っています。 本日これにて。
着物を着る時はいつも羨ましく思って
いました。
最近は鎖骨と胸の間両手が入ります。
どんどん下がってきます。(悲)
嫁が着付け教室に通っています。帯を前で結ぶんだそうです。道具もあるとか。腕が回らなくなってきてて辛いので、良いかも思ったのですが・・・やはり慣れでしょうか。
惜しくないような帯は二部式にしています。
それにしてもなんでもよくご存知ですね。これからも色々教えてくださいませ。(ペコリ)
きちんと補正するのとしないのでは全然ちがうと言われるのですがなんか面倒。
めったに着物を着ない者にとってはそこからハードルが高くなるような気がするんですがねえ~
画像に出しておられたコーリンベルトはよさそうですね。
これはなんという名前で売られているものでしょうか?
普通のコーリンベルトは使っていますが、どうも引っ張られるんです!!!
やはり、鎖骨の外側にシワができますが、気にしません。普段着でいちいちめんどうなことはしたくないですもの。
でもたまーにやわらかものでキメたい時にも、つい胸元の補整を忘れてしまうのですσ(^◇^;)。。。
ぐずぐずに着てもだらしなく見えないようになるには、年季が必要ですね。10年20年後にはそうなれるようになりたいです。
体系の悩みは数々あれど、腰周りなどの補正をすると太いのが余計に太くなるのでようしません。
ってことは胸も太いわけでこれが困りものなんです。
和装ブラをしますがおさえきれません。
それを誤魔化すために
前帯の上側をうんとこさと引っ張り出して胸から離すようにします。
余程のときは、さらしを巻きますが、これは綺麗にきられるけれど 面倒だし動きにくいわけで
本当に胸まわりの悩みがつきません。
痩せたらましなのはわかってますが(笑)
着物だからと お人形さんのようにじっとしているわけではないのだからと 脇がぐだっとしてしまうのは仕方ないと 半分諦めてしまってます。
少しのゴム部分がほど良いテンションで紐部分はちゃんと結べますから~
和装ブラの前ファスナーがガタガタになって胸元の表にひびいたり
レースのがいいよ~と試したのですが化繊のレースが肌にあわず…
今はスポーツブラのワンサイズ小さいものを使っています。
よほどの礼装で無い限り補正無しです。
って自前のたっぷり補正がありますから
タオルで同じように時々しているのですが、鎖骨の下までにするとタオルの端が盛り上がって変に見えるので、肩まで上げると鎖骨の出たとこがもっと出てしまう…という困ったことになってました。
ガーゼなら、うまくずらしたりしたら鎖骨の下の欲しいところだけ補正できそうです。
ほかは、腰とウエスト周りもタオルで補正入れてます。
ウエスト周りはなくてもいいんですが、タオルを巻いておくと紐が当たらなくて楽なもので…。
襟幅は私もなかなか合わせられません。
お下がりがほとんどばち襟で、そればっかり着ていたせいもありますが、お写真と同様下前が細くなってしまいます。
広襟の方がふっくらして、感じはいいんですけど、難しいですね。
クリップ付きの紐、私も持っています。
どうも締めすぎるみたいで、だんだん襟が締まってきてしまうので、あまり使っていません。
コーリンは肩幅に合わせるくらいがよいと聞いて、たぶんコーリンもこの紐も締めすぎていたんだろうなとは思うのですが。
どの程度に締めておられますか?
私はとんぼさんより2歳ほど年上ですが、亡き義母が胸の大きい人で、晩年はとても垂れていて、なんと!帯の中に入れておりました(笑)
その分、帯は上にずれるのですが、それがまた品の良い顔立ちと立ち居振る舞いでなかなか素敵な着姿で大好きでした。
私は貧乳でぺったんこなので上半身はまるで男性が着物を着ているようです。娘から「お母さん胸に何か入れた方がいいよ」と言われてしまいます。(悲)
重力の法則にしたがって…ですよねぇ。
ハリなんてまるでなくなってます。
余分なところがおおくなってきました。
鳩胸は、スッキリ見えますよね。
私もうらやましいです。
結んで回すのは、帯の下さえきっちり結んでおけば
さほど難しくはありません。なれですかねぇ。
根津さんの本は、帯の締め方のコツなんて、
なるほどなぁとおもいますよ。