拓庵思考~妻との日々・映画と音楽の毎日

巴座ホーム社長の私的なつづれ織り【妻にだけ弾くギタリスト 猫6人の父になる】

合掌の日々

2012-09-29 22:19:16 | 日記・エッセイ・コラム

私の大学時代は少林寺拳法で始まり終わった。
とにかく死ぬほど練習をした。『このままやっていたら死ぬな....』と思うことも何度もあった。

ギターと音楽と文学と映画が生きがいだった私は格闘技も好きだったので迷わず少林寺拳法部の一員になった。体育会の当時の悪しき風習も嫌いではない。毎日が緊張感の先輩・後輩の上下関係ごっこもそつなくこなした。酒の席やコンパでも一番目立っていたと思う。『芸は身をこやす』....先輩やOBのものまねなどのパフォーマンスで緊張感で張り詰める宴会を笑いのうずにした。

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少林寺の本山は四国の多度津にある。私の大学は必ず本山で昇段試験を受けるべく本山合宿に参加していた。

合宿の最中に千葉真一主演の東映映画『少林寺拳法』を上映したことがあった。レンタルビデオが無い時代だったのでみんなで真剣に鑑賞した。もう32年前のことだ。

全国の大学が集まる大きな合同合宿の最後の夜に『お楽しみ会』がある。当然1年生が面白いことをやるのだが、私たちはこの千葉真一の映画のパロディをやった。同期からは反対意見も出た。『やばいよ。怒られるよ』『破門になるよ』『本山出入り禁止になるよ』...など戦々恐々でもあったが反対を押し切り思いっきりやった。結果は、かなりウケた。ウケてしまえばこっちのものだ。まったく怒られなかった。拍手喝采の嵐だ。怖い先輩たちからも「よし!よくやった!」と褒められた。

思えば私は中学時代の全校朝礼の校長先生の物真似で体育館の生徒・教師を笑いのうずにしてからとういうもの、高校時代も全校生徒・教師の前でやったパフォーマンスでウケなかったことはない。ちょっと自慢だ。サラリーマン時代の全社員表彰式でのスピーチもウケまくった。みんな笑う。大笑いする。

私は芸人なのか?よく「吉本に入ったほうがいいよ」と言われ続けてきた。
面白いもので妻もよくウケる。私たち夫婦はピンで大勢の前でスピーチやパフォーマンスをすると必ずどっとウケる。これは三人いる子供たちにも引き継がれているようで....我が家のお家芸なのかもしれない。

そんな時代に可愛がっていただいた大学の前の少林寺拳法部御用達の喫茶店マスターがお亡くなりになった。私はお通と告別式で受付を務めさせていただいた。懐かしい顔をたくさん見てるうちに学生時代に戻ってしまった.....たくさん殴られた先輩にも再会したがあまりの懐かしさに泣きそうになってしまった。後輩(市会議員や大社長や格闘道場指導者などなど)から昔の私の無茶ぶりの話しも妻の前で披露された....私たち少林寺の人間は合掌をする。それがあいさつだった。だが先輩とも後輩とも再会で合掌はしなかった。もうみんな普通の社会人だった。

黒いクラウンの霊柩車が静かにマスターの亡きがらを乗せて出発するとき先輩たちも後輩たちも心からの合掌をした。少し涙が出てすぐに引っ込んだ...いっしょに苦しいときをともにした恩師、先輩、同期、後輩に涙がでた。みな頭に白い毛が混じり....そして頭も薄くなり....

合掌で始まり 合掌で終わった少林寺時代。自分の中の特別なページの4年間だった。

 

                                       結手