ひかりとしずく(虹の伝言)

勉強会や講演会、上映会のレポートなど主に載せています。

日本国憲法を護ろう!

2013-07-10 | ともこレポーターによる記事
今月、参議院議員選挙がありますね。私は自民党の日本国憲法を改正しようという考えに反対です。所謂護憲派です。4月に知人に誘われ、今年1月に亡くなったベアテ・シロタ・ゴードンさんを偲んでの憲法についての勉強会に参加しました。AOA(AKITA OPEN ASSOCIACION)という会の方々は男女混合の20代後半の青年期から壮年期、働き盛り以上の大人な社会人の集まりでとても知的な会でした。

今年で選挙権を得てから26年・・・。若い時は政治に関心を持つなんて言うことが格好悪いことのように思っていました。学校の勉強でも社会は一番成績も悪く、興味が持てないでいました。子供を後ればせながら30で産み、育児をする中で出会った「母の友」の記事から、憲法9条が世界的に稀な戦争を放棄するもので、その後に世界の平和、人権を尊重したものが盛り込まれていて世界に誇れる平和憲法であるのかということを知りました。

私の父はとても優しい人でした。幼少の頃は素直に大好きでした。凝り性で趣味も多く、読書家な所や音楽好きな所など、私は結構父の影響を受けています。クラシックのレコードも聴いていましたが、特に好きだったのは50‘S、フォークソングで私もよく歌集を見ながら歌を歌い、「戦争を知らない子供たち」も歌いました。これが当たり前なのだと思っていました。平和を謳歌するのは喜ばしいことです。でも戦争を体験していなくても、歴史は学んで、危機感は持っておくべきですね。
私たちの子どもたちは、戦闘機が出てくるアニメ、敵をやっつけるヒーローもの、人を撃っていくポータブルゲームを日々目にし、そして世の中では理不尽なストレス社会に晒されています。気がつくと戦争へと向かっているかもしれません。

日本国憲法は第二次世界大戦に日本が敗戦し、勝利したアメリカなどの連邦軍からの命令で新しく作ったこと、アメリカのマッカーサー元帥の指示でアメリカの民生局の草案を元に作られたものなので、押し付けられたものだから変える、と言う声もあるようです。政府としては不本意だったかもしれませんが、自由な意見を言うと非国民とされた戦時中のようなことが起こらないように人権、言論の自由を守ってくれるもので、女性や子供の人権も入った素晴らしい憲法だと思います。戦争の無意味さ、残酷さ、狂気さを反省した国民には喜ばしいものだったはずです。戦争をしない国、非戦の精神、ガンジー思想の非暴力に通じますよね。

北朝鮮の不穏な動きに、戦力を自衛隊に持たせたい、強い日本を取り戻す、これが安倍総理の言う「日本を取り戻す」の本音なのでしょう。彼は政治運動のネット解禁イベント会場で戦車に乗って嬉しそうに笑顔で手を振っていましたし。

「女性の権利が守られない社会は、人も生きられない社会だ。」ベアテ・シロタ・ゴードン。彼女が、戦後の日本(日本の女性たちに)人権をプレゼントしてくれていた!そんなこととは露知らず、ウーマンリブの影響で勝ち取ったのだと思っていました。

「母の友」で憲法の記事を読んだ後、池上彰さんの『憲法はむずかしくない』を読み、日本の憲法の作られた経緯を少しかじっていたので、大変興味がありました。池上さんの本にはベアテさんの名前は出てきませんが、マッカーサー総司令官の命でアメリカ人の民生委員が憲法の草案を作ったとありました。『みんなの森』の中の「読憲のすすめ」にはベアテさんのこと載っていたのに、買っておいてずっと読んでいなかったようですね。

池上さんの本より
∵憲法とは、国の権力者が国民を脅かさないために守るべきもの。国家権力を制限して国民の自由と権利を保持するもの。
∵法律とは、世の中の秩序を維持するために国民ひとりひとりが守るべきもの。
∵イギリスには文章になった憲法(成文憲法)はなく、議会が過去の慣習や裁判の判例を守るようになっている。
∵日本にて憲法を作らせるにあたり、とてもスピーディだったと聞きました。これには、マッカーサーの思惑があり、アメリカはいずれ日本にやって来たときには力を敗戦当初よりなくなり、連合軍である他の国などが天皇を戦犯として責任追及をしようという動きから天皇を守る事が不可能になるとわかり、その前に天皇をトップとする憲法を作らせたのです。トップを失うと統一が難しくなると考えた為とのこと。
∵日本国憲法の前文には日本国内の平和だけでなく全世界の人々が平和に暮らすことを人権として認め、全力をあげて達成することを誓っている。このため、国際貢献活動を行っている。ただし、戦闘力を持たずに、どこまで危険な地に行けるのか配慮が必要である。(イラクでの支援活動中には日本の自衛隊を他国の軍が守ってくれていた。)

今回勉強会に参加して、改めてベアテ・シロタ・ゴードンという24歳の女性が憲法の草案作り荷関わっていたと知り、とても興味を持ちました。勉強会の後、彼女の本を読みました。ベアテさんはロシア系のユダヤ人の血筋でレオ・シロタというピアニストを父に持ち、その父の公演を日本でするというので短期間のつもりで日本に渡来し、その後15歳まで日本で過ごします。芸術家の父を盛り上げようと、社交的な家庭であり、出入りする日本の女性たちの苦労を見聞きしていたベアテさんは、日本の女性たちに心から幸せになって欲しかったのでした。

彼女が書いた条項の多くは、憲法ではなく民法で取り上げられるべきだと省かれました。却下されたものの多くは、今もなお、国民の間で裁判で問題になるなどしており、ベアテさんは来日公演会の質疑応答時にもそれらを知るにつけ、あの時にもっと強く通せたらと、後悔までもしてくれていました。少し変更されながらも残ったものには次のものがあります。

【母性の保護】
妊婦と乳児の保育にあたっている母親は既婚・未婚を問わず、国から守られる。彼女たちが必要とする公的補助が受けられるものとする。嫡子でない子供は法的に差別を受けず、法的に認められた子供同様に、身体的、知的、社会的に成長することに於いて機会を与えられる。

【家庭】
家庭は人類の基礎であり、その伝統は、善きにつけ、悪しきにつけ国全体に浸透する。それ故、婚姻と家庭とは、法の保護を受ける。個人と家庭とは両性が法律的にも社会的にも平等であることは当然との考えに基づき、かつ男性の支配ではなく両性の協力に基づくべきことを、ここに定める。(・・・個人の尊厳と両性の平等の見地に立って配偶者との間の仔細は決められる旨について記載。)

【養子縁組】
(両性の意思の反映である事について言及。)

【子の地位と機会について】
すべての子供は、生まれた環境にかかわらず均等にチャンスが与えられる。教育の無料化。

【教育】
民主主義と自由と平等及び正義の理念を教育する。

【子の医療】
治療の無料化、適正な休養、娯楽、成長に適合した運動の機会の必要性

最終的にカットされたもの

【児童労働の保護と最低賃金制】
学齢の児童、並びに子供は、賃金のためにフルタイムの雇用をすることができない。・・・中略・・・女性と子供、恵まれないグループの人々は、特別な保護が与えられる。

【就労について】
すべての日本の成人は、生活のために仕事につく権利がる・・・男女の同権についても言及。

本当にまだまだ、今の日本には多くの問題が残っています。男女共同参画の活動など、諸地域でも色んな活動やイベントがあり、考え直されているようですが、地方に行けば行くほど、父権主義的で、家事育児は女の仕事という考えが浸透しています。同居世帯では家長としての権威が無い事を言われたくない若い世代の男性が妻に思いやりの無い態度を取るなど。

自民党が改正のいの一番に96条を持ってきています。改正を2/3よりも少ない半数の賛成で出来るように変えておいてから、24条、男女平等を更に引き下げる方向にあるようです。
個人主義より、家族に重点を置いた考え方になれば、家長主義、家族の役割がパーソナリティとなって、封建的な思考パターンに戻ってしまうと思います。

今の社会問題“家族の崩壊”を各家庭の責任と見なしているのです。離婚、単身赴任、家庭内暴力の増加、老々介護、子どもの不登校・・・。両性平等規定の見直しを行い、男性は企業戦士、女性は家庭に、という何て逆行した社会を目指しているものか。古い「男は男らしく、女は女らしく」の再構築。男女共同参画社会基本法が1999年にでき、ようやく育児、介護政策の充実、労働時間の短縮、性別役割意識の改善が図られて来たところだというのに。

男女平等の本質について、しっかり家族間でも話し合うべきですね。“平等”という意味が全く何もかも同じというものでは、ないはずです。決め込まないで個人の特性を活かした方法が本当の“ジェンダーフリー”だと思います。

日本国憲法作成について、アメリカの民生員が草案を作ったこと、ましてや24歳の女性が関わっていた事などはトップシークレットでした。それから、参考にされた憲法がドイツのワイマール憲法が主だったことも。

ベアテさんの本で知りましたが、アメリカは男女同権について、法律上では遅れているのです。彼女が帰国後アメリカに行った市川房枝女史の通訳としてあった際の箇所にあります。

アメリカで結婚後、彼女は日本の音大生の暮らしを世話する為にイベント(コンサート)を行うことをきっかけに、ジャパンソサエティー、アジアソサエティーなどという日本に始まり、外国の芸術、文化をアメリカの人々に紹介する仕事に就きます。これは数ヶ国語を話し、芸術家の本偽を見抜くセンスを持っている彼女にとってまさに天職だったと思います。
ベアテさんの夢
異文化交流をもっと世界に波及すべき。世界の一流のパフォーミングアーティストを集めたキャラバンで世界中の都市を廻り、全世界を結びたい。アートは世界共通の心(ハート)を持っている。

ベアテさんは日本の女性たちへのメッセージ
家の中にずっといないで、自立心を持ちなさい。経済的なという意味だけではないが、外に出て社会に揉まれながら、想像力とコミュニケーション能力を磨くべきである。母となっても、そういう人間の方が子供に良い影響を与えられるでしょう。何かに夢中になっている人ははつらつとしている。職業についている女性についても、家計のためにだけ働かず、自分を大切にして、個人の権利を充足させるべきである。
日本のNPOの活動はまだ初期段階と言えるが、自分たちで行動し、手作り感がある。これから楽しみである。ここに関わって社会貢献をするなど、奨めます。


こんなに私たちを心配してくれていたベアテさんがくれた素晴らしい憲法、自民党に知らない間にちょっとづつ改正(改悪)されないように、憲法を読みましょう。有権者が憲法の中身をしっかり理解して、自分たちの権利を主張しなければ、何も起こらない。国家が大きな力で国民の権利を奪わないように、一人ひとりが監視することが大切である。もう人任せは止めましょう。
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