映画上映&監督講演会(京都弁護士会)に参加してきました。
映画は、アメリカの刑務所で、終身刑受刑者(ライファーズ)の更生を支援するアミティという支援団体の活動等を取材したドキュメンタリーです。
アメリカの終身刑には、仮釈放が認められる終身刑と認められない完全終身刑の2種類があるそうです。
年に一回仮釈放審査委員会で、仮釈放の審査が行われるということですが、実際には仮釈放になることはかなり難しいようです。
アミティというNPOは刑務所での更生プログラムで活躍しているのですが、
元受刑者によって組織、運営されています。
元受刑者が自分たちの経験を生かして、受刑者たちとの対話を通じて、問題性を掘り起こし、希望を与え、更生を支援している様子が映画で映し出されていました。
「サンクチュアリ」(安全な場所) がキーワードで、
受刑者にとって「あなたにとってのサンクチュアリは何か?」ということを問いかけていました。
「サンクチュアリ」にいることができれば、苦しむこともなく、犯罪に至ることもない、だからサンクチュアリを見つけようということのようです。
なるほど、犯罪を繰り返す人でも、ほとんどの人は刑務所では犯罪を犯すことはありません。
しかし、それでも社会に戻れば、再び犯罪を犯すことがあります。
そうなるのは刑務所は規律と監視が厳しいからということもあるのでしょうが、彼らにとって、刑務所は安全な場所で、社会は危険な場所だからなのかもしれません。
監督の坂上香さんも、アメリカの女性刑務所の取材から今朝5時に帰国され、その足で京都にお越しくださっていました。
深刻な虐待を受け続けた人が、そのまま大人になったときにどうなってしまうのか、
その結果として、すさまじい暴力をふるってしまう人になってしまうのではないのか、
そういう人に対してどうしたらいいのか
ということに関心を持って、ライファーズの取材を始められたそうです。
映画に出てくるライファーズは、仮釈放の認められている終身刑受刑者だそうです。
映画を作り始めたころ、仮釈放が認められずどんどん受刑期間が長期化していき、受刑者が希望を失っているという問題が生じていたそうです。
今の日本の無期刑と同じような状況ですね。
今回のアメリカ取材は、「ライファーズ」には登場させられなかった女性ライファーズを取り上げるために、女性刑務所に行ってきたそうです。
取材に行かれたときには、受刑者が映画を見るプログラムだったそうですが、とても感性豊かで、喜怒哀楽様々な反応があったそうです。
7人の女性ライファーズから話を聞くことができたそうですが、その全員が性虐待を受けていたり、夫などのパートナーから暴力を受けていたりしたそうです。
また、彼女たちがライファーズになったことによって、その子どもたちが経済的に困窮したり、性暴力を受けたりする過酷な状況におかれることになり、刑務所の中でも苦しみ続けている人がいたそうです。
日本でも、死刑を廃止した場合の代替刑や死刑と無期刑の中間の刑罰として終身刑が議論されることがありますが、アメリカのライファーズも、仮釈放という「希望」があるからこそ更生への意欲が生まれるようです。
日本での終身刑を考える上で、大いに参考になるのではないかと思います。