視察2日目は、まずは、「廃除死刑推動聯盟」(死刑廃止連盟)のオフィスにお邪魔しました。
プロ・カメラマンのトシ・カザマさんが撮影した台湾の刑場(台湾では銃殺で死刑が執行されます。)の写真が出迎えてくれます。
トシ・カザマさんは、ニューヨーク在住のプロカメラマンです。
一流のファッション雑誌の表紙やプロミュージシャンのアルバムジャケットを撮影するなどのカメラマンとして成功しながら、
アメリカで少年死刑囚の写真を撮ってこられた方です。
そして、現在では、世界各地で死刑廃止を訴えておられます。
京都弁護士会にも、数年前にお越しいただき講演していただきました。
普通なら見ることのできない刑場が、トシ・カザマさんだということで特別に撮影が許可されたということです。
そして、これが廃止連盟のオフィスです。
立地条件はいいのですが、古い雑居ビルの中の一室、決してきれいなビルでも、大きなオフィスでもありません。
大勢の視察団が入ると座るスペースもありません。
あえてそんなオフィスに招待したのは、そういう小さな場所から死刑廃止に取り組んでいることを知って欲しかったからとのこと。
そして、死刑廃止運動をしていると心ない人に襲われるリスクがあるので、何よりも安全を考えてオフィスを選んだということでした。
オフィスの壁には、死刑冤罪から救済された3名のポスターが貼られていました。
ゆっくりと話を聞くために、オフィスを離れて近くのカフェに移動します。
このカフェも、死刑廃止連盟やいくつかのNGOが協力して運営し、市民運動に活用している場所だということです。
なんと!この日がカフェのオープン初日、慌ただしい中、対応いただき本当にありがとうございました。
カフェの内部はこんな感じ。
普通のカフェですが、私たちのミーティングとのためにレイアウトしてくれていました。
死刑廃止連盟のメンバーとの交流会です。
世論と死刑廃止の問題について話を聞きました。
確かに、台湾で世論調査をすると80%は死刑に賛成という意見になる。
ただ、その調査方法は「賛成」「反対」という二択で、しかも、凶悪な刑事事件が発生した後に調査されていた。
そこで、調査方法を変えれば結論も変わるのではないかと考えて、中央研究院と連携して独自調査をしてみた。
調査方法として、100項目に及ぶ質問をしてみた。
その結果は・・・
残念なことに85%が死刑に賛成ということで結論は変わらなかった。
しかし、100項目に及ぶ質問をしたことで、死刑に賛成する世論の背景・理由について分析することができた。
調査では、まず1問目に「死刑を支持しますか」という質問をした、すると88%は死刑を支持(死刑廃止に反対)していた。
ところが、仮釈放の終身刑を設けて、刑務作業で賠償するという制度を作ったら?という質問にすると、死刑を支持する人は71%に減った。
冤罪のことの質問をすると、死刑廃止に賛成するという意見が増えた。
100問目にもう一度、一問目と同じ「死刑を支持しますか」という質問してみた。
すると、98問の質問を経て、支持する(死刑廃止に反対)という人は82%になった(6%減った)。
このことから、一般市民は知識を得れば、死刑廃止の傾向が強くなるということがわかった。
【 代表の林欣怡さんです。】
簡単な二択の質問では、死刑について答えは出せない。
死刑廃止連盟では、この調査結果も踏まえて、各地で市民会議を開催し、議論を重ねていくということでした。
この後、お昼休みになり、カフェ自慢の美味しいカレーをいただきました。
本当においしかった!