弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
弁護士の活動、日々感じたことを弁護士目線でレポートします
弁護士をもっと身近に・・・

カリフォルニア死刑廃止住民投票

2012-11-11 20:05:59 | インポート

   

11.6 カリフォルニア州で死刑廃止の是非を問うた住民投票で、

廃止に賛成 47.3%  廃止に反対 52.7%という結果になりました。

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オバマ大統領が再選された大統領選とともに、カリフォルニア州でProp34と呼ばれる死刑廃止法案の成立に関して住民投票が行われました。

死刑制度を廃止して、極刑を仮釈放なしの終身刑とするという法案です。

背景には、死刑を維持するために年間40億ドルの費用がかかると言われていることや、州の財政難などの問題がありました。

アメリカでは死刑判決を下し、執行するには、極めて手厚い制度的保証がなされなければならないとされており、その制度的保証のために莫大な費用がかかっています。

その費用が州財政を圧迫していることや、むしろ、この費用を被害者救済に向けるべきではないかとの問題意識から、死刑廃止法案が検討されています。

   

アメリカでもっとも大きな州の一つであり、死刑判決、死刑囚も極めて多い州であっただけに、廃止となると影響が大きく、アメリカだけでなく、世界中から注目を集めていました。

カリフォルニア州には、世界中から存置、廃止両方の立場の人々が集まり、様々な意見表明、議論が繰り広げられたようです。

残念ながら、死刑廃止という結論には至らなかったものの、975万人もの人々が投票し、死刑問題について考えたということにはとても大きな意義があったと思います。

  

何度否決されても、あきらめることなく何度でも、何度でも問題提起を繰り返し、

その議論の中で、情報を公開し、事実を知り、自分たちの問題として考えていくことが重要だと思います。

  

フランスでも、廃止までに、何度も国会で死刑廃止法案は否決されています。

韓国でも、何度も廃止法案が否決されていますが、また法案は出されようとしています。

小さなところでは、昨年度、京都弁護士会でも死刑廃止決議は否決されましたが、そこに、
「京都から死刑制度の廃止をめざす会」 
が生まれました。

 

議論を呼び起こし、積み重ねるためには、挑戦的な問題提起が必要です。

   

   


ラジオ大阪「たまの法律目線!はよ、相談しなはれ!」収録してきました。

2012-11-07 18:36:01 | ニュース

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ラジオ大阪(OBC1314Hz)で放送中(毎週水曜日19:00~19:15)の

「たまの法律目線!はよ相談しなはれ!!」 の収録をしてきました。

   

今回、私が取り上げたテーマは、

「先端犯罪、科学捜査」 (11月28日オンエア) と、「労働災害」 (12月5日オンエア)

 

「先端犯罪、科学捜査」では、

問題になっているPC遠隔操作事件での誤認逮捕や冤罪の問題を取り上げ、警察が先端的なサイバー犯罪についていけなかったことは同情できるけれど、犯人じゃない人が自白していたことは「どやねん!」と疑問をぶつけてきました。

日本ではこういう問題があっても第三者機関で検証することがなく、国会も調査委員会を設置しない。

一票につながらない仕事には議員は積極的になってくれないという実情を話してきました。

   

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また、東電OL事件や足利事件はDNA鑑定で冤罪が判明したけれど、間違った有罪判決もDNA型鑑定から生まれたことや、日本で一人しかできないようなビデオ画像の犯人と被告人の同一性識別が裁判での証拠となっていることを取り上げ、科学捜査を安易に信用してしまうことの危うさを訴えてきました。

そう! 今日、東電OL事件で無罪判決が出ましたね!!

  

「労働災害」では、

お笑いタレントのスギちゃんが収録中の事故で怪我をしたことを取り上げ、どういう場合に労働災害になるのかをお話ししてきました。

  

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帰宅中にスーパーに買い物によったら? 一杯飲みに行ったら?
サービス残業中の事故は? などなど。

芸人さんたちの微妙な契約関係も、パーソナリティーの笑福亭たまさんに教えてもらいました。

   

番組はradico.jp でも聞くことが出来ますので、ぜひ、聴いてみてください。

バックナンバーは、こちらから聞いていただくことが出来ます。

http://www.profecto.jp/about/ad.html#radio

   

   


人間ドック受診! 大丈夫かな・・・・2012.11.06

2012-11-06 23:37:44 | 健康・病気

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事務所の近くにある 四条烏丸クリニック 人間ドック を受診してきました。

     

身長・体重、視力・聴力、血圧、心電図、血液検査と、このあたりは毎年の健康診断と同じ。

今年は、腹部のエコー検査、肺のCT検査、

そして私にとっては、最大の関門! 胃カメラ までしてきました。

  

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胃カメラは、10年ほど前に一度経験していましたが、そのときは細胞も採られて....

検査も苦しかったし、しばらく違和感が続きました。

今回も、何か見つかったら細胞を採取するというのでびびってました。 

カメラが喉から入ってくると..... やっぱり苦しい。涙が出てきてしまいました。

心と体のスイッチを切って、ひたすら検査が過ぎ去るのを待っていました。

とりあえず、胃カメラで見たところでは、荒れている程度で大きな問題はなさそうということでホッとしました。

細胞も採取されなかったし。  

   

最終的な検査結果は3週間後。

どうか、精密検査なんてことになりませんように 

   

検査が終わった後、クリニックでご褒美のお食事券をもらって、ランチブッフェに行ってきました。 

cocon烏丸にある「The Buffet Style SARA(ザ・ブッフェスタイル サラ)」というレストラン

検査の終わった反動で、デザートまで思いっきり食べてしまいました。

SARAのHPはこちら http://www.buffet.jp/sara/index.html

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茶源郷!! 和束町に行ってきました! 2012.11.04

2012-11-04 22:40:21 | まち歩き

    

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弁護士のことをもっと身近に感じてもらうために、

取調べの可視化が必要なことを知ってもらうために、

日本一の銘茶の産地「和束町」の開催された「茶源郷まつり」に京都弁護士会のブースを出してきました。

イベントでは、子どもたちに風船を配ったり、可視化マスコットキャラクター「カシカシカ」裁判員制度マスコットキャラクター「サイサイ」のぬりえやペーパークラフト、弁護士クイズをやってきました。

どれも子どもたちに大人気で、お昼過ぎには準備していったグッズはほとんどなくなってしまいました。 

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圧巻は、和束町応援歌 「お茶の心は深さで勝負」というロック!

Coming音都131 というバンドが歌っています。

お茶を入れながら、ロックを歌う!!  魂を感じます。

「ここさめ」ロックンローラーと対決して欲しい・・・・・

みなさんも、ぜひ一度聴いてみてください。

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お茶を取り入れたカレーやラーメン、大判焼き、たこ焼き、コーヒー、だんご、ホットドッグにハンバーガーなどなど、おいしい出店もたくさんあり、おなかも大満足でした。

 

そして、取調べの可視化を実現するために、和束町の力こそが何よりも必要です。

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警察のみなさんに、白バイにも乗せてもらいました 

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とても楽しい秋のイベントでした。

茶源郷まつり、来年もぜひ来てみたい!!

 


「死刑制度と被害者保護運動」の報告です。 2012.11.2

2012-11-03 11:47:03 | 社会・経済

   

京都弁護士会 死刑制度調査検討プロジェクトチームの主催で、

成城大学法学部の指宿信教授をお招きして、「死刑制度と被害者保護運動」について講演していただきました。

 

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指宿先生からは、はじめにアメリカにおける死刑の現状についてのお話しがあり、

死刑廃止州が増えていること、死刑判決、死刑執行数が減っていること、

世論調査の結果ではこの17年で死刑賛成が86%から61%に減り、死刑反対が16%から35%と増えていることが報告されました。

被害者保護運動についても、アメリカで1960年代から始まった被害者保護運動のあゆみについて解説されました。

  

被害者学、社会学などの研究成果の報告があり、死刑廃止運動が近代理性主義的司法観の完結的な物語であるのに対して、被害者保護・権利運動は近代理性主義に基づく人権論に対する「挑戦」と位置付ける研究があるとの解説がありました。

  

また、被害者保護運動は、それ自体で支持されてきたわけではなく、1980年代から始まったペナル・ポピュリズムを背景としているとのことです。

安全と安定を保障できなくなった現代社会において、世論形成を支配してきたエリートに対する人々の幻滅を背景とし、”普通の人々”の観点から、刑罰制度にも発言がなされるようになり、犯罪被害者の発言が専門家の抽象的な発言を圧倒するようになってきたと分析されているのだそうです。

  

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上記のように、近代理性主義をめぐって対立するかの死刑廃止と被害者保護ですが、

修復的司法観(加害者と被害者の対話と和解)、治療的司法の導入、ペナル・ポピュリズムに対抗するために刑罰思想を教える法教育によって、両運動は止揚されることが可能なのではないかとの提言がなされました。

また、どのような社会を目指すのか、どのような社会構造を目指すのかということを考えなければならないとお話しされました。

そして、死刑廃止運動は、被害者保護運動とはまったく独立した政治運動として展開されるべきであるとまとめられました。

   

死刑存廃の議論は、特に被害者問題との関係で極めて感情的な議論になります。

今回の指宿先生の講演で、冷静に、論理的に考える道筋が示されたと感謝しています。

すばらしい講演でした。

 

指宿信教授のブログはこちらです。ぜひ、ご覧になってみて下さい。

http://imak.exblog.jp/