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詩と物語を紡ぎます

雨水

2020-02-21 21:45:00 | uta
 令和二年二月十九日の空。
 午前十一時五十五分、太陽南中。

 二月の空は日に日に明るくなってゆく。
 かつて気象キャスターとして活躍された倉嶋厚氏は、それを『光の季節』とか『光の春』と呼んだ。
 ひかりに包まれて、梅が香っている。

 雨水の陽は白く明るく澄みにけり南中の空に梅の香ゆかし

 うすいのひは しろくあかるく すみにけり なんちゆうのそらに うめのかゆかし

花ぞ咲きける

2018-01-27 00:55:00 | uta
     花ぞ咲きける


戊戌睦月廿二日、昼前には関東南部の雪は本降りとなり、枯木に花咲くを見る。しかし、花咲の翁の姿も灰を撒いた痕跡も見当たらなかった。




雪降れば冬籠りたる草も木も春に知られぬ花ぞ咲きける

ゆきふれば ふゆこもりたる くさもきも はるにしられぬ はなぞさきける

紀貫之『古今和歌集・巻六冬歌323』




深深とaria奏でしG線の上にしんしん雪ぞ咲みける

しんしんと アリアかなでし ゲーせんの うへにしんしん ゆきぞゑみける




熱燗を酌みし花咲翁媼の月雪花をほろ酔ひて愛づ

あつかんを くみしはなさか おうおうの つきゆきはなを ほろよひてめづ


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 photographed:2018/01/22
 quoted:『古今和歌集 巻六冬歌』
 written:2018/01/22 〜 25
 elaborated:2018/01/24 〜 27
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つとめて

2017-12-20 05:00:00 | uta
     つとめて

  四年目の父祥月命日に寄す


三十分置きに眠りの破られて完全覚醒せし午前四時
さんじつぷん おきにねむりの やぶられて かんぜんかくせい せしごぜんよじ


洗顔し水汲みて居間に戻りたる我が眼の端に揺らめきし影
せんがんし みづくみてゐまに もどりたる わがめのはしに ゆらめきしかげ


耳の奥擬音喩ふる能はざる心の支へ頽るる音
みみのおく ぎおんたとふる あたはざる こころのささへ くづほるるおと


四年目の祥月命日線香をあげ涙ぐむ冬のつとめて
よねんめの しやうつきめいにち せんかうを あげなみだぐむ ふゆのつとめて


一頻り偲び溢せし涙眼に仙人掌由縁の緑優しき
ひとしきり しのびこぼせし なみだめに さぼてんゆかりの みどりやさしき


その時を慮れど導なし身罷りし事実重く背負いて
そのときを おもんぱかれど しるべなし みまかりしじじつ おもくせおひて


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written:2017/12/20
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Yahooブログ『ことの葉天氣堂』
https://blogs.yahoo.co.jp/tsu81ka7026sa91fjt

和歌『つとめて』
https://blogs.yahoo.co.jp/tsu81ka7026sa91fjt/15538393.html

併せてご覧戴ければ幸いです。
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桜紅葉

2017-10-15 18:05:00 | uta
       桜紅葉



薄明り水に映りし晩秋の褪せぬ色彩仄浮かび居り

うすあかり みずにうつりし ばんしゅうの あせぬしきさい ほのうかびおり





朝ぼらけ人も疎らに並木道桜紅葉のひとひらふたひら

あさぼらけ ひともまばらに なみきみち さくらもみじの ひとひらふたひら



淑やかに佇む女の霞み去り彩並木いとをかしけり

しとやかに たたずむひとの かすみさり いろどりなみき いとおかしけり



日々深み日々彩の鮮やかに路傍を染めし落葉いとほし

ひびふかみ ひびいろどりの あざやかに ろぼうをそめし おちばいとおし



written,elaborated:2017/10/15

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十五夜通信

2017-10-04 21:15:00 | uta

     十五夜通信

平成二十九年中秋の名月に寄せて詠める歌


明月は誰が為に非ず在るままの唯只管に夜を照らしむる

めいげつは たがためにあらず あるままの ただひたすらに よをてらしむる


この月の宇宙に観えざる朋へ送り給はむ『十五夜通信』

このつきの そらにみえざる ともがらへ おくりたまはむ 『じゅうごやつうしん』


2017/10/04
21:15 pm

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