赤黒く錆び付いた
鉄階段の踊り場で
埃にまみれて
渇ききった牛乳瓶と
並んで見上げた
天球の日光に
生命の気配が
希薄だったのは
秋の夜の窓硝子に
モザイク模様を刻んでいた
蛾の葬儀が
ようやく開かれるからだろう
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直進する時間
と
円環する時間
と
いう相容れない命題について形而上学的見解を論じなさい、Gabriel。
Gabriel?
教授、Gabrielは、二千年前の月曜日に、死にました。
ああそうだった、牛乳瓶に詰めたのだったね、ああ、可愛そうに、Gabriel。
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淡い空色の匂いがする
女性《おんな》の乳房《むね》に
抱かれて観たのは
鮮烈かつ不条理な詩篇の羅列と
天球を巡る太陽と月の精神融合とを
伝承する《ものがたる》
ドルイド尼僧の止まない喘ぎ《うた》
だった
――地の時代の終末と
風の時代の始元の
はざまに寄せて
photograghed
2020/10/12 , 11/17 , 12/20
written
2020/12/21