ⅰ. あまね
夜が明けて間もない【空】では
点在していた青が急速に消えて
音も無いまま【雨】がぱらつき
それは確実に月曜日の朝を湿し
駅にゆく人が増えた舗道を湿し
あろうことかわたしまでも湿し
何と駅前ベンチを本降りに浸し
雨音の響きは【あまねのうた】
水の匂いの【ハミング】だとか
滴の弾ける【スキャット】など
音色に包み抱かれ束の間微睡み
石榴か木通のように夢を喰んだ
written:2017/10/25
【再掲載】
Ⅱ.あまね 短歌三首
めをとじて
ねむりがふちに
たたずめば
あまねのうたの
きこえこすかな
眼を閉じて眠りが淵に佇めば
あまねのうたの聞こえ越すかな
あめかほり
きりさめこさめ
ふりはじめ
あまねのゑみて
かけゆくすがた
雨香り霧雨小雨振り始め
あまねの笑みて掛け行く姿
ものかげに
かくれひつそり
うたいをる
はじらひおとめ
あめふりあまね
物陰に隠れひっそり謳ひをる
恥じらひ乙女雨降り雨音
written 2022/07/04