私は妹の運動会以外、学校というものに行ったことがない。生まれて間もなく障害を負ったし、学校も遠かった。60年前はそんなものだったが、仕方なく、というよりも自然に読み書き、算数ぐらいは、誰に教わることもなく身についた。そういう私が学校規模とか複式学級の功罪など語れるはずがない。
だが、私が宮古島に来て3年半あまり、学校規模適正化問題の報道を見てきて、単純に教育問題といえないところに根があるように思える。それは宮古島市の行政や教育委員会の最初から小さいところはなにがなんでもつぶすという姿勢だ。それが今回の宮国博教育委員長の発言に如実に表れているようだ。
来間中学の廃止案の市議会上程にしても、これほどあっけなく出てくるとは住民の方々の誰もが思っていなかっただろう。まさに闇討ちのあったようなものだ。下欄にあげた「行雲流水」の論旨もわからないものではないが、反対の理由が「地域の声を聴くべきだ」というのが、そんなに物足りないことなのだろうか。
先日私は「標的の村」というドキュメタリー映画を観た。高江の名はよく聞いていたが実際にどういう情況なのかはほとんどわかっていなかった。オスプレイの訓練ヘリパット。高江の集落を敵の住民に見立てての訓練、訓練のあった翌朝はニワトリが殻のない、ぶよぶよの卵を産むという。そして長い間ヘリパット建設阻止行動をつづけてきた高江の叫びが「住民の声を聞け」というものだ。
日本政府はもちろん、沖縄県からも見捨てられ、孤独な戦いを続けている高江と、今回の来間のことが私には重なってしまう。それとこれとは違うと言われるかもしれないが、こんな強引なやり方を許せば、宮古島の軍事要害化もあっという間に進められてしまう。統廃合の対象になっている住民は連帯すべきだ。(普)
地域住民との合意困難/来間中廃止議案
行政の責任として決定/市議会9月定例会質疑
来間中学校を廃止するための条例改正案について答弁する宮國委員長=5日、市議会議
開中の宮古島市議会(平良隆議長)9月定例会は5日、上程議案に対する質疑が行われ
た。質問は来間中学校を廃止するための条例改正案に集中。複数の野党議員が地域住民との合意がない段階での廃校方針決定を時期尚早と批判した。それに対し教育委員会の宮國博委員長は現状での地域住民との合意は困難との認識を示し、「複式学級の状態が続くことは耐えられない。行政の責任として決めた」と早期の教育環境改善が必要と教育委員会が判断しての決定と説明した。
2014年4月1日から下地中学校と統合させるため来間中学校を廃止する条例改正議案について亀浜玲子氏は、1973年の文部省通達で学校統廃合を行う場合には地域住民の理解と協力を得るよう努めることが求められていることを指摘。地域合意がなされてない今、提案すべきではないとして教育委員会の考えをただした。宮國委員長は同通達については、「今の宮古とは社会的背景が違う」と住民合意は必ずしも必要ではないとする認識を提示。地域の理解を得たいとの思いはあるとしながらも、説明会では考え方の違いから「論議が堂々巡りとなった」とした上で、「反対意見があることを踏まえても委員全員で統合を進めるべきとの判断になった」と語った。
亀浜氏が、住民が納得するまで地域での説明会へ何度でも通うとしていた宮國委員長発言と今回の決定との整合性について質問したのに対しては「地域の人たち全員がOKとなるまでには長い時間が掛かる。ある程度の時期で行政の責任としてやろうと決めて、それを見識のある議会に伺いを立てるというのが今の私たちの立場。あと100回通っても合意に至るという場面がつくれる自信がない」と発言した。
新城元吉氏は今回の教育委員会の決定について「方針の押しつけで民主的でないのでは」と指摘。それについて宮國委員長は「代議制の議会での決定が最終的な決定となる」と市民の代表である議会に諮ることは民主的な手続きと主張した。
上里樹氏は、複式学級解消が必要との考えを示す宮國委員長にその理由をたずねた。それに対しては「複式学級を作って良いのは特段の理由があるとき。宮古島に特段の理由を見つけることはできない」と答えた。
同議案を提案した理由について下地敏彦市長は「子どもたちにより良い教育環境を作ることが私たちの責務。だから上程した方が良いと判断した」と語った。亀浜氏の質問に対する答弁。
下地博盛氏、長崎富夫氏、前里光恵氏も同議案について市当局の考えをただした
http://www.miyakomainichi.com/2013/09/54353/ 行雲流水 2013,0914