この日は10時に四条烏丸へ集合の喜六、清八、源兵衛三人。札所密度の高い京都市内。初老にちかい中年男三人（笑）は己の年齢も考えず猛暑の古都を一日で６カ寺、巡礼しようと企てたのであった。
まずは四条烏丸からバスで観音寺へ向かう。泉涌寺バス停で下車、徒歩１０分ほどで観音寺参道へと続く朱塗りの「鳥居橋」を渡る。バス通りから少し入るだけで街の喧騒からはほど遠いような静けさに包まれる。深緑の楓の中、本堂へ進み納経、御朱印をいただく。
観音寺の御本尊は空海が熊野権現より授かった一寸八分の観音像を体内仏として自ら彫刻された十一面観世音菩薩であることから今熊野といわれる。
さて次の札所、清水寺へは移動の都合上、タクシーを利用。京都でも有数の観光名所である清水寺は大勢の人で賑わっている。国内はもとより外国からの観光客も多数見受けられる。どちらかというと人混みは得意でない。いそいそと舞台へまわり本堂で秘仏の千手観音さまに納経、御朱印を頂く。清水の千手観音さまは左右の腕を頭上に高く挙げて化仏を戴く清水寺独自のもので「清水型観音」と呼ばれている。
音羽の瀧を横目に見て、たくさんの観光客から逃げるように３ケ所目の六波羅蜜寺へ向かう。
六波羅蜜寺には男前の地蔵さんがいらっしゃる。今日は観音めぐり、地蔵さんにはお会いせず納経を済ませ御朱印をいただく。ご近所の六道珍皇寺へ寄り小野篁が地獄と行き来したと言われている井戸を拝見してから祇園で昼食をとる。
祇園からバスで北上し鴨川を渡って革堂、行願寺。行願寺は三十三所で唯一尼寺である。納経、御朱印をいただく。納経所のおばさんに「三人で巡礼ですか。よろしおすな」とお声をかけていただき札所をあとにする。
さてお次は番外の元慶寺、花山法皇が出家されたお寺。革堂から市役所前まで歩き、地下鉄で御陵まで移動。
静かさや・・・と、つぶやきたくなるような深緑の境内を抜けてお参りを済ませ、この日最後の札所、六角堂、頂法寺へ向かう。
御陵から烏丸御池へ地下鉄で移動。頂法寺は聖徳太子の開基というから法隆寺や四天王寺とならぶ歴史を誇っている。またこの境内にある池のほとりで小野妹子が仏前に花を供えたことが生け花の始まりとされる。
鎌倉の時代には親鸞上人が毎夜比叡山から六角堂に百日間参籠りをされ、夢中のお告げによって浄土真宗を開かれたといわれている。ご本尊如意輪観音さんの前でこの日最後の納経。御朱印をいただき、無事巡礼できたことに感謝。心地よい疲れをお土産に本日はここで解散となった。
札打 ２０１２年７月25日
新那智山 観音寺
宗派 真言宗泉涌寺派
創建 天長年間（824～834）
御本尊 十一面観世音菩薩
開基 弘法大師
御詠歌 昔より 立つとも知らぬ 今熊野 ほとけの誓い あらたなりけり
音羽山 清水寺
宗派 北法相宗
創建 宝亀9年（778）
御本尊 十一面千手千眼観世音菩薩
開基 延鎮上人
御詠歌 松風や 音羽の滝の 清水を むすぶ心は 涼しかるらん
補陀洛山 六波羅密寺
宗派 真言宗智山派
創建 天暦5年（951）
御本尊 十一面観世音菩薩
開基 空也上人
御詠歌 重くとも 五つの罪は よもあらじ 六波羅堂へ 参る身なれば
霊麀山 行願寺（革堂）
宗派 天台宗
創建 寛弘元年（1004）
御本尊 十一面千手千眼観世音菩薩
開基 行円上人
御詠歌 花を見て いまは望みも 革堂の 庭の千草も 盛りなるらん
番外 華頂山 元慶寺
宗派 天台宗
創建 元慶元年（877）
御本尊 薬師如来
開基 遍照僧正
御詠歌 待てといわば いともかしこし花山に しばしと啼（な）かん 鳥の音もがな
紫雲山 頂法寺（六角堂）
宗派 天台宗
創建 用明天皇2年（587）
御本尊 如意輪観世音菩薩
開基 聖徳太子
御詠歌 わが思う 心のうちは 六の角 ただ円かれと 祈るなりけり
おまけ
巡礼ソング in それぞれの秋、清水寺
西国めぐり、この日が折り返しになりました。