とかくに人の世は・・・

智に働いてみたり情に棹さしてみたりしながら
思いついたことや感じたことを徒然に記します 
  nob

ひとさま

2008年08月19日 | つれづれ
朝日新聞“あしたを考える”という欄に「夏に語る」という興味惹かれるインタビュー記事が掲載されていました。

水俣病の被害者、家族を支援し続けその生活や姿を綴り『苦海浄土』などの著書を発表した石牟礼道子さん。その記事から印象に残った部分を拾ってみました。

日本の近代化にともなって古い慣習が捨て去られ、戦後は民主主義が第一の大儀となったことについて石牟礼さんは次のように仰っています。

「人さま」を思いやる心取り戻して
・・・共同体には問題がいろいろありますけど、小さな共同体が失われ、きずなが断ち切れてきましたね。そうなると「他人のことはどうでもいい」と助け合わなくなった。人を殺しても平気な世の中になった。
近代化された標準語では他人、他者ですが、私が生まれた天草では「人さま」と言います。人さまを大切にする、隣人を大事にする、ゆきずりの人であっても縁を感じて大事にする。それが地方や村でもなくなってきていますね。代わりに博愛主義、人道主義が育てばよかったのでしょうが、育っていません。・・・



現代は「自己の権利を主張することばかりが民主主義だ」との間違った考えが敷衍していますね。今、社会の中で「情」という思いの領域が少なくなっています。「ひと様」と呼べる感覚、「他人(ひと)を先にする」という行いが少なくなっているのではないでしょうか。

川上に暮らすものは常に川下の住む人のことを考えて生活しなければならないのです。しかし往往にして「家族や仲間は大事だけれど、他人はどうでもいい」というふうになりがちです。

ここらで「人さま」を思いやる心を取り戻さなければとんでもない世の中になるんではないか。と自分に言い聞かせました。
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4 コメント

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心せねば・・・ (おまさぼう)
2008-08-21 17:25:37
言葉遣いで常々気になっていることがあります。
私は、「他人様」と書いて「ひとさま」と読んできましたが、テレビなどでは「たにんさま」と呼ぶことが多いようです。なるほど、昨今の人の意識を表しているのかも知れないとふと思いました。

狭い道や通路などで人と行き合ったりする時、除けてくれる人のなんと少ないことでしょう。こちらが除けると当然のごとく通り過ぎてゆきます。自転車に乗った若い男の子がこちらに軽く会釈してくれたりすると、どんな親御さんに育てられたのかと、すごくハッピーな気持ちになったりするくらいです。

スーパー等でも、周囲に注意を払ってない人が多くて疲れます。

ゴミ袋に串などの危険物をそのまま捨ててあったりするので、ゴミの収集員の方達が怪我をするという話を聞いたこともあります。

自分の行動の結果で人さまが傷つくのはたまらなく嫌なんですけど、それでも、知らず知らず、人さまを忘れた行動をしている時もあるような気がします。反省!
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気嫌よく (nob)
2008-08-23 10:43:28
おまさぼうさま、コメントをいただきありがとうございます。
「万事気嫌よく」桂枝雀さんがよく言うてはりました(あえて機ではなく気という字を使うてはりました)。

この頃は不機嫌な人が多いように思います。「損得」や「勝ち負け」が最優先される風潮なんでしょうね。

>狭い道や通路などで人と行き合ったりする時・・・
道を譲ったら負け、あるいは損やというような考えなんでしょうか。譲ったり、譲られたりしたらホン気持ちのエエもんですけどね。

>自転車に乗った若い男の子がこちらに・・・
こんな場面に出あうととてもうれしくなりますね。でもこれが特別なことではなく普通の出来事になると気嫌ようできるんですけどね。
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うんうん (巴焼き)
2008-08-29 21:43:19
仕事中、車で歩行者を先に行かせてあげたら、にこっと会釈をしてくれたり、頭を下げてくれると、本当にうれしくなります。子供やったらなおさらです。事故防止はこんなことから始まるのでしょうね。別にちょっと先に行ったってどうちゅうことはないんです。
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そうそう (nob)
2008-08-31 13:59:41
巴焼きさんありがとうございます。
ちょっとのことですが、なかなかできないことですね。安全運転、安全運転。

西国巡礼すすみましたか。
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