とかくに人の世は・・・

智に働いてみたり情に棹さしてみたりしながら
思いついたことや感じたことを徒然に記します 
  nob

恩返しの話

2006年01月31日 | つれづれ
 生きているといろんな人の世話になります。つまり恩を受けるということです。親の恩、師の恩、先輩の恩、友人の恩。「恩返し」という言葉があります。「恩を返す」不思議なことばです。せっかくいただいた恩を何故返さなければならないのでしょうか。受けっぱなしでは「恩知らず」ということになるからでしょうか。
 私はできるだけ「恩返し」はしないでおこうと思っています。恩返しをしてしまうと、その受けた恩を忘れてしまいそうだから。心から感謝するような恩は一生返したくない、そのことを忘れたくないから。

 こんなことをフワァーと考えていたら、随分昔に同じようなことを言っていたエライ人がフランスにいらっしゃったんですね。ラ・ロシュフーコー(1613~80)という人です。「あまりにも性急に恩返しをしようとするのは、一種の忘恩行為だ」ってなことをおっしゃっていたんです。そうだと思います。大事なことは恩を返すことではなく、受けた恩を忘れないことなのです。

 民話に「鶴の恩返し」というのがありますね。あれは鶴さんが人間に受けた恩は早く返してしまって何処か遠くへ行きたかったんだと思いますよ。だって怪我をしたのは人間がしかけた罠にはまったからなんですよ。

 大切な恩は返さず、忘れずに。どうでもよい恩はさっさと返してしまって忘れることにしましょう。

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