とかくに人の世は・・・

智に働いてみたり情に棹さしてみたりしながら
思いついたことや感じたことを徒然に記します 
  nob

こんな噺「商売根問い」

2008年12月20日 | 寄席芸
野鳥に来てもらおうとピーナッツリースを作ってみました。庭の木に掛けてみましたが、さあ来てくれるでしょうか。ものの本によるとシジュウカラのなかまがピーナッツを好むということです。
リースを作りながら「ピーナッツ(南京豆)」と「鳥」という取り合わせで「商売根問い」という噺が浮かんできました。何をしていても落語のことですな。

・・・件の男、銭儲けの方法をいくつか思いつき実行するのですがどれもこれも失敗に終わり損をするという他愛のない噺です。ピーナッツ、南京豆、落花生ともいいますが、それを使っての商売というのは・・・。
その男、鳥捕りというのをやったんですな。雀のたくさん集まるお寺の庭に伊丹の名物「こぼれ梅」つまり味醂粕ですな、みりんの絞り粕を庭に撒いておく。そうすると集まってきた雀がその「こぼれ梅」を啄ばむんです。「こぼれ梅」は味醂すなわちお酒の類ですからそれを食べた雀は酔っ払ってウトウトする。そこで登場するのが殻つきの「南京豆」です。何かというとこれが雀の枕やそうです。これを庭にパーとばら撒く。雀がそれを枕にひと眠り。男がチリトリと箒で集めて回る。で一網打尽にして大儲け。とはいきません。雀が「こぼれ梅」を食べるまでは筋書き通りに運んだんですが、「南京豆」をばらまいたとたんに雀は飛んでいってしまって損をするという噺です。

ほかに鶯を捕まえようとして怪我をしたり、ガタロ(関西ではカッパのことをいう)を捕まえようとして逆に捕まえられるくだり、その時々によってまた演者によって商売の種類が変わってきます。いずれにしても儲けにならず損をしてばっかりです。

落語の起源というのは安楽庵策伝和尚が著した醒酔笑であるといわれるように、噺の多くは仏教における説話をもとにしています。このように「濡れ手で粟」では簡単に儲けられませんよ、という説教のひとつなんですね。

「商売根問い」という噺、独立して演じられることもありますが、「鷺とり」という噺の前半にくっつけられることもあります。

ひとつ、私は決して野鳥を捕まえようと企んでいるのではないことだけはつよく記しておきたいと思います。

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