とかくに人の世は・・・

智に働いてみたり情に棹さしてみたりしながら
思いついたことや感じたことを徒然に記します 
  nob

映画館で映画を~

2006年05月16日 | 寄席芸
 けったいなタイトルですが他に思い浮かばないので、ご勘弁を。映画館に行くのは何年ぶりでしょうか。近ごろ「映画」はテレビやビデオ、DVDで見るものになっていましたが、この作品はおそらくテレビ放映がまず無いだろうと思うので、我が身体を映画館へ運びました。中島らもさん原作、マキノ雅彦さん監督の『寝ずの番』、R15指定です。

 この映画、物語の舞台は大半がお通夜の場です。上方落語界の重鎮といわれる笑満亭橋鶴の臨終からはじまり、一番弟子、橋鶴のおかみさんが相次いで亡くなるという展開になります。本当は悲しくて寂しくてたまらないのだけれど、そこに集まってくる身内や一門の噺家たちが繰り広げる大騒ぎ。故人の在りし日のエピソードを面白おかしく語ったり、弟子たちが亡くなった師匠を担ぎ上げ、死人のカンカン踊り(この描写が出てくる噺「らくだ」が師匠の十八番ネタという設定)をさせたりという一般的には不謹慎とみられるような言動や行動をとります。挙句の果てには、R15指定になった原因であろうテレビでは絶対に歌えない艶歌(春歌)合戦を始める始末です。しかし映画を観ていて、可笑しくて笑える一方で胸がジンとなって目頭が熱くなってくる、これはまさしく松竹新喜劇の泣き笑いの手法ではないかと思ったのは私だけでしょうか。また、死者に対して「こんな送り方もアリなのかな」とも思いました。

 中井貴一さんをはじめ、師匠には監督の実兄である長門裕之さん、一番弟子に笹野高史さん、師匠の息子に岸部一徳さん、おかみさんに富司純子さん、元鉄工所の社長堺正章さんその他のキャスティングはもちろん良かったのですが、私はお通夜の席に必ず登場するおかみさんの遠い親戚の男性役で出演されていた蛭子能収さんが秀逸だったと思いました。無くてはならない役どころではないのですが、そう、ちょうどスイカにふりかけるお塩のような、あればいっそうおいしさを高める効果があったように感じました。

 劇中で長門さん演じる「地獄八景亡者の戯れ」、笹野さんの「愛宕山」、さすがに上手い役者さんだけあって下手な噺家より落語らしかったですね。思い当たる噺家さんは精進、精進。

 このうように落語がテレビドラマや映画でとりあげられることは落語の好きな人間としてはまことに喜ばしいことです。今年の9月には上方落語の定席「天満天神繁昌亭」がスタートします。上方落語のファンとしては定席オープンを今から楽しみにしていますし、落語の寄席が賑わうことを願っています。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« バラ色? | トップ | 国民年金制度 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
松鶴さん (エンドウマメ)
2006-05-16 19:48:12
中島らもさんが書かれた、六世・故笑福亭松鶴さんの

コト・・・なんですよね。 ハチャメチャな師匠だったそうで

宵々山で会う、伯鶴さんからお話はよく聞かせて頂きました。



強いて云うと、関西の人でやって欲しかった・・なぁ。

笹野さんの「愛宕山」は、凄く上手かったですが

だからこそ本当の関西弁でやって欲しかったです。
返信する
六代目 (nob)
2006-05-16 22:10:58
マメ様 いらっしゃいませ。六代目の「天王寺詣り」「酒の粕」「ひとり酒盛り」等々、好きなネタです。



マメさんは伯鶴さんとご親交があるんですか。コンサート会場では伯鶴さんをよくお見かけするのですが、言葉を交わしたことがありません。



もうすぐ歌マラソンですね。お知らせいただいたニューベルツのゲスト出演、楽しみです。20日の土曜日は是非行こうと思っています。
返信する

コメントを投稿

寄席芸」カテゴリの最新記事