「海のまち朗読館」では、4人までの少人数クラスで月に2回、御稽古を楽しんでいます。
4月から7月は、各自好きな物語を読みます。
8月は夏休みで、9月から3月までは、クラスごとに一つの作品を読みこんでいきます。
文学作品を、時代背景や作者の人生をたどりながら解釈し、どう読んだら伝わるかを工夫し、朗読作品として仕上げます。
そして、それを4月第1日曜日の「朗読リサイタル」でお客様に披露します(*^_^*)。
これから少しずつ、今読んでいる作品をご紹介してまいります。
まずは桔梗組。
こちらのクラスでは永井荷風の「にぎり飯」を読み始めたところです。
永井荷風は明治の東京で生れ教育を受け、留学も経験、慶應義塾大学文学部の教授もしながら小説を書いた作家です。
明治大正昭和と、時代の主流の中にいながらもハズした生活を続けたので、だんだんイロイロ苦しくなり戦争中は疎開先で困窮したりして、最終的には私の生まれる前の年に(関係ないか…)自宅にて孤独死されました。
ニューヨークやパリで過ごし、浅草の花柳界、銀座のモボモガカフェーに身を置いた、当時は並ぶもののないほど超おしゃれなおじさんの書く文章は、粋で軽やかで、それからけっこうナマナマしいです。
「にぎり飯」は、昭和20年3/10の東京大空襲、猛火を生き延びた二人の男女が、炊き出しのおにぎりを一緒に食べたことから始まる物語です。
どんな環境でも、男と女がいる限り、こういうことが起こるんだなあと…。
私としては、「ホッとする」物語です。
生きようと懸命になることが未来を運んでくるのかもしれません。
それは千代子と佐藤だけじゃなくて、パンパン屋になった元彼にとっても言えることなんだろうなあと…。
写真は、文化勲章を祝った、浅草ロック座というストリップ劇場の踊り子たちとのショット。
荷風先生、戦後はここの楽屋に入り浸っていたそうですよ。