アナウンスのスクールで読みを学ぶのをあきらめた私は、ある日新聞で、
ラジオ局の、女子大生の番組アシスタント募集の小さい記事を目にしたんです。
みんなで大きな声でボイトレなんて絶対無理だったし、恥ずかしそうに小さい声でぼそぼそ原稿を読むことしかできず、スクールでは全く目立たなかった私ですが、
「募集人数が一人なら、一人で読むんだよね、それならできるかもしれない」などと勝手なことを考えて、履歴書を送ったんですね。
数日後、電話がかかってきて、担当のアナウンサーの方とお話ししました。
「放送研究会にはいっていますか?」
「いいえ、はいっていません」
「高校で放送部とか、演劇部にいましたか?」
「いいえ」
「へえ、応募してきた人はみんな何かしゃべる活動の経験があるんですけどね。どうしてなにもされなかったんですか?」
「え~っと、そういうのはちょっと、恥ずかしくて、できないんです、、、」
これはダメだわ、と思いました。
そうですよね、ふつうは経験のある人が応募するものですよね。
それから、好きな音楽とか、趣味とか、どんなテレビを見ていますかみたいなおしゃべりを5分くらいして、電話は終わりました。
結局それで、私は採用されました。
なぜかはわかりませんでしたが、あとで聞いたところ、「アナウンス活動をしたことがなかったから」というのが「決め手」だったそうです(;O;)
そういえば原稿読みのテストとか、自己PRとか、何もしませんでした。
「そういうのは、仕事していれば自然にできるようになるから、今できなくても構わないよ。みんなそうだよ」
「そ、そうですか、それにしても、なにか、準備しておいた方が良いことはありませんか」
「特にないよ、普段通りでいいから」
「・・・・・・」
応募者は百人以上、みんな各「アナウンススクール」在校生ときいたときは、クラクラしました。
あの、教室に入りきれないほどの人数で、高い授業料を払って遠くから「アナウンスを勉強してオーディションに合格する」ために通学し、3時間ほど座って2,3分だけテキストを読み、「もっと気持ちを込めて読みましょう」と教わることに「意味がある」と信じていた少し前の私。
「アナウンスを勉強するより、普通の学生生活や社会人生活をしている方が、結果的に上手な喋りができるようになる」と現場で言われるなんて、想像もできませんでした。
かくして私は、「読みやフリートークなど、どうするのが良いのか何もわからないまま」3時間の生放送を担当することになったのです。
~to be continued
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