すっかり県南の狛犬に魅せられてしまい、今回は白河に1泊してじっくり狛犬めぐりを!
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矢吹神社(西白河郡矢吹町)
御祭神:素戔嗚命(すさのおのみこと)、誉田別命(ほんだわけのみこと)、鎌倉権五郎景政
金属製の明神鳥居、参道は木立の中、クランク状に折れ曲がっている。
石工:真船卯右ヱ門
建立年:大正10年(1921)
大きくて堂々としている。阿像の足元の子獅子は、寝転んでお腹を上に安心しきっている様子。
石工:野田平業
建立年:昭和15年(1940)
平業さんらしい、鼻が大きくて表情は凜々しい。流れるようなたてがみと尻尾、透かし彫りの珠も健在!
石工:儀助
建立年:慶応元年(1865)
慶応と言えば江戸時代末期。シンプルな彫りだが、表情が豊かで温かみがある。可愛らしく見えるけど、3対の中では最も年期が入ってる。
鳥居をくぐって参道を進むと、年代の異なる狛犬たちに次々と会える。杉木立の中で、3対の狛犬たちが悪霊の侵入を許すまじ!と見張っているんだ。
4対目の狛犬は、石工:佐藤四郎、建立年:昭和61年(1986年)、まだまだ新しい。
それまでの社殿は昭和39年に火事で焼失、翌40年にコンクリート造りで再建したということ。
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日吉神社(西白河郡矢吹町)
御祭神:大山クイ命(おおやまくいのみこと)
11月に来たときには、もう夕方で暗くなってて、林のまわりをどんなに探しても参道の入口が分からなかった。今日は昼間だけど、やっぱり入口は分かりにくい!
木立の中に朱い鳥居が見えたような気がして、道ばたに車を停め、山道らしきところを進んでみる。階段を上がって右に折れると、そこは神秘的な空間…
石工:野田平業
建立年:大正15年(1926)
狛犬のすぐ下の台座に「白河市 彫刻師 野田平業作」、その下の大きな台座に「石工 獅子 野田豊吉 台石 根本末吉」と彫られている。「豊吉」は平業さんの本名。石屋が、狛犬の部分だけ平業さんに外注したということ。
平業さんの狛犬は鼻も大きいが、目も大きくてクリッとしている。ニカッと笑ったこのチビ獅子のなんと可愛らしいこと!
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羽黒神社(西白河郡中島村)
御祭神:日子波限建鵜草葺不合命(ひこなぎさたけうがやふきあえずのみこと、神武天皇の父)
参道の入口、鳥居前の狛犬。吽像はいるけど、なんと阿像がいない!台座だけが残されてて…
昭和初期の頃の阿像(左)と、その後ダンプにぶつけられ破損して修復された阿像(右)。その後さらに震災で倒壊。阿像はもう修復もできないくらいダメージが大きかったのか…
石工:小林和平
建立年:昭和8年(1933)
雲に乗り、たてがみも尻尾もクルクルと渦巻いて、この躍動感はまさしく和平さんの狛犬! ちびっ子たちの動きと目線がいい!
平成15年に設置されたという、真新しい狛犬。機械彫り…? そぐわない…
社殿前の灯籠
石工:小林和平
建立年:昭和19年(1944)
灯籠の上にも狛犬、高いところから私たちを見下ろしている。気づかないで素通りする人もいるかも…
社殿前の馬
石工:小林和平
建立年:昭和15年(1940)
足が短い、耳も付いていない。台座がすごく高いから、地震で落ちて破損してしまったのだろう。せめてもう少しそれらしく修復してあげられなかったのか…
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常瀬山善通寺(西白河郡中島村)
曹洞宗通玄派の寺院、本山は越前(福井県)の永平寺。創建は、文安元年(1444)。本尊は、木造坐像の聖観音。
境内の入口には、推定樹齢330年というエドヒガンザクラがあって、春には見事な花を咲かせるということ。
境内の樹木が伐採され、見晴らしと風通しがよくなったらしい。
墓地入口の地蔵菩薩像
石工:小林和平
建立年:大正15年(1926)
震災の後、また倒れて壊れないように鉄棒でガード。和平さんらしい、優しいお顔のお地蔵様だから「格好悪い!」とか文句は言わないんだろう…
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11月に妹が相馬に来てくれたから、今回は私が西白河へ。2日間の狛犬めぐりに付き合ってくれると言う。
泉崎村の「そば蔵 いずみ」で野菜天ぷら蕎麦をご馳走になる。こしがあって美味しい。もりがよくて、全部食べきるのが大変なくらい。おまけに、コーヒーとアイスが無料サービス!
家の近くにこんなにたくさん狛犬がいて、みんな違う表情をしているんだって、改めて気づいたという話。この狛犬は格好いいね、このちびっ子は可愛いねとおしゃべりしながら、楽しい時間はあっという間に過ぎる。さあ、午後は白河方面へ!