プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< シャーロック 忌まわしき花嫁 >

2016年03月02日 | ☆映画館で見た映画。
大変申し訳ない。

……と、なぜかワタシが謝ってしまいそうになるほど、一見さんには申し訳ない映画。
これをいきなり劇場でやってはあきまへんわなあ。
テレビドラマ版が好きな人しか見てはいけない作りですよ。

劇場公開だし、原作のヴィクトリア時代だし、もっと普通の穏当な映画を作るんだろうと思っていたんですよ。
そしたら、――まあ、そぉですね。あのドラマを作った脚本家がそんな普通のことするわけなかったんですょ。

相変わらず好き勝手やってますわ。
脚本ペアがホームズが好きで好きでしょうがないオタクなんだろうから、
もうなんでも勝手にやりなはれ、というしかない。
マイクロフト役をやっているマーク・ゲイティスが脚本の片割れ。楽しくて仕方ないようだ。

テレビドラマシリーズも、わたしの好みとはだいぶ違うんですけどね……。
でも1、2、3とちゃんと見てるし、時期によっては再放送も見るし、人にもたまに薦めてしまう。
……好きなのか?これはやっぱり好きなのか?でもわたしはもっと穏当な作りのホームズ物を見たいんだよなー。

今回の映画でも――っていっても、テレビドラマのスペシャルとして作られたものなので、
そもそも映画を期待するのは間違いだったようだ。今後見る人はそこを気を付けて。
前半はわりと穏当に推移するんだけど、後半は現代とヴィクトリア時代を行ったり来たり、
現代部分はドラマを見てないと全くわからないから、全然見てなければ不満を感じると思う。
一見さんに申し訳ない映画という所以。

まー、そしてドラマを見てても相変わらず展開がアクロバティック過ぎてよくわからないんだよなー。
普段録画で見てるから、映画館で見ていて台詞が2度ほど追い切れず、無意識でリモコンを探してしまった。
巻き戻ししたかった。
後半は「ああ、やっぱりこうなるのね……」と諦めて見ていた。

とにかく穏当な作りではない。いつものアレなので、そこは諦めて下さい。



まあその辺を不問に付すとして、感想。


コワカッタよう!わたしはホラーは嫌いなんだ!
あれってまさにゴシック・ホラーじゃないか!クラシックな花嫁衣装を着た幽霊が、
迷路庭園で突然背後に出現なんて、思い出しただけで心臓麻痺起こすわ!
またあの花嫁衣装がすごい効果的。レースで顔を隠して。コワイ。
多分普通の人にとってはそこまでコワくはないかもしれないけど。

話のオチは、ドラマ見てなきゃわからないということを不問に付してもちょっとなあ。
これって原作にはない話ですよね?知性を感じさせる展開ではあるけれども、
知性で面白くなってるかというとそうでもない。んー、いまいち。

ファーストシーンでいつもの人たちがヴィクトリア時代ヴァージョンで出てきた時は、
ああ、みんなやっぱり老けたなあと思った。
元々おじさん系のマーティン・フリーマンは髭の似合うおっさんだし、現代版でかろうじて若者の範疇に
留まっていたカンバーバッチも、クラシカルスタイルのスーツだとはっきりおじさん。
メアリー、ハドソン夫人は言うに及ばず。

唯一変わってなかったのはモリアーティ教授かな。変な人な部分も相変わらず。
ホームズへの執着はどんどんアブナイ方向に行っており、行くんですか、やっぱりそっちに。

大変奇妙な変化をしていたのはマイクロフトで、映画では超大食漢、立ち上がれそうもないほど肥満体になっていた。
原作に近いと言えば近いが。やっぱり性格は相変わらずなのよね。
マーク・ゲイティスは自分がマイクロフトを演じるにあたって、どうして原作とあんなに違った
葛藤多き兄弟の設定にしたんだろう?

あと多分、「ノッティング・ヒル」のマックス、出てましたよね?
「ああ、このアングルでこの人絶対見たことある」と思った。少し下からあおって撮る。
車いすのベラの視点だから、下からなんだよね。なつかしいわー。


カンバーバッチもフリーマンも、ヴィクトリア時代と現代版では似て非なる人物を
うまく演じわけていたように感じられて、役者だなあと思った。
ワトソンはヴィクトリア時代の方が若干かっこいい。ホームズは新しい造型という意味で現代版の方は印象的だが。
でもやっぱりヴィクトリア時代の方が好きかな。
カンバーバッチのエニグマの映画、見逃したのが悔しいな。うちの近くで映画館でやったんだろうか。
テレビで再放送しないかな。
彼は舞台でハムレットもやってるらしい。ぴったりだね。少し年いってるが。


実は最初にちらっとメイキングが入り、上映後はもっと長い、主要人物のインタビューも含めた
メイキングが入る。役柄ではとてもヤな感じのマイクロフトが、ニコニコしていて微笑ましい。
わたしは楽しんで見たが、馴染みのない人からすればやっぱり蛇足であろう。


うーん。まあそうね。行こうかどうしようか迷っている人は……行かなくていいかも。
特に(わたしのように)シンプルな話が好きな人は行ってはいけないかも。
テレビドラマシリーズが気に入っている人は、かなり濃厚にリンクするので見て楽しいかも。





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