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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ 種村季弘「山師カリオストロの大冒険」

2012年05月10日 | ◇読んだ本の感想。
種村季弘の初期作品。

種村季弘、名調子ですねー。まるで講談のようだ。
こないだから種村季弘をツブしに取りかかったんだけど、少なくともこの2冊は、
わたしが彼に持っていたイメージとは若干違った。
こんなに饒舌な人だったっけ?と思った。嫌いじゃないけど。若いせいかな。
楽しんで書いてるんだろう。文章に勢いがある。

カリオストロと言えば、まず宮崎駿だったりするわたしは、
この本でいわゆる“カリオストロ”のアウトラインが把握できて有用だった。
……有用だったけれども、この本を読むと結局ヤツはただの詐欺師なので……
いまいちその胡散臭さを堪能出来なかったかな。


読んでいてつらつら思うに、……この人と澁澤龍彦って、同じ精神のポジとネガという感じ。
種村季弘の方が外向的で、その興味の方向も若干、明朗な面に向いているけれども。
対して澁澤龍彦の方は、より陰鬱なものに惹かれている人。
でも2人とも趣味の傾向は似ているし、種村が饒舌、澁澤が落ちついている、という
文章の雰囲気の違いはありつつも、やはり相似形な気がする。




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種村 季弘
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恩田陸によれば、種村季弘という人間は、
「まだ誰も全貌を把握出来ない巨人で怪人」だそうだから。
こう書かれる方もそれなりにそれなりな感じだが、書く方も書く方だと思う。

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