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映画「激突!」


1971 米 90分 監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演 デイヴィッド・ウィーバー 鑑賞1月5日 「午前十時の映画祭」@松江SATY東宝 原題:Duel

スピルバーグ20代前半の初監督作品で、故森田芳光監督も好きだったそうだ。

非常に単純な構成だ。登場人物といえば、乗用車を運転する平凡な男とそれに因縁をつけて迫り来るタンクローリー。(運転手は観客には腰から下しか見えない。)

両者の間に一言の会話もなく、2台が抜きつ抜かれつしているうちに、緊張が高まりゆく。ポッポッポッと煙を吐きながらやって来るタンクローリーの姿は、恐怖をそそるとともに、そのダサい姿がどことなく愛嬌もあり、おかしくて笑いたくなる。

出だしの足音から始まり、終わりのシーンに至るまで、ほとんど言葉を用いずこれだけ表現する技量には感服のほかない。映画とは本来こういうものではないか?並々ならぬ才能をうかがわせる第一回作品だ。

脚本は先日このブログでけなした「ある日どこかで」の Richard Matheson(1926-)だとのことで「そうとは知らず、ごめんなさい」とおわびしなくては。「地球最後の男」「縮みゆく人間」「夜の訪問者」などの作者でもあるそうだ。

余談だが、スピルバーグの作品では「未知との遭遇」(1977)も好きだ。「シンドラーのリスト」(1993)「カラー・パープル」(1985)は、社会性のあるテーマだが、暴力シーンが多く、安心して楽しめるとはいえない。かれは本来童心に満ちた作家だと思うのに、アカデミー賞への野心とか、ユダヤ人としての義務感とかの雑念が混じってこうなったとも思える。「太陽の帝国」(1987)は、童心に満ちた少年が過酷な現実に適応してゆく過程を描いており、私の「安心映画」基準には、辛うじて合格か。

→「ある日どこかで」2011-10-15
→「森田芳光氏を悼む」2011-12-21
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