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平和共存あるのみ

これは20年前、60歳のころ文章教室で書いた文である。

2012年に地球が壊滅するとの当たらなかった予想や、相変わらずの日本人の未来への不安。八木先生の石坂洋次郎、太宰治への反応も面白い。

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            課題「若者」 

   ≪平和共存あるのみ≫

「近ごろの若いものは」とは、古今東西を通じて、人類の口癖であるらしい。

そのわけは、たぶん、自分の若いころには許されなかった、ゆとりのある暮らしができていることへのやっかみと、過去の苦労を顧みてのくやしさ、それに、自分の前途にはただ灰色の未来しか想像できないのに、彼らには希望に満ちた将来が約束されているかのように思われるからではなかろうか。


しかし、このごろの異常気象や自然災害、先の見えない年金問題その他を考えると、若い世代にはただ、大変だねえ、まあ頑張ってくださいよ、としか言えないのが、私の今の心境である。


一方で、「若い人っていいよねえ、好きだなあ」と言う人もいる。が、そんな人に限って若い人たちからは、敬遠されそうだ。というのも、彼らの頭にある若者は、小説や映画やテレビや新聞で作ったもので、現実とかけはなれていることが多いから。私も昔、その手の大人を相手にして、ひどい目に遭ったことがある。

彼女に言わせると、「若い人って、石坂洋次郎の小説に出てくるみたいなのばかりと思っていたら、太宰治の小説みたいだわね、あんたは」とのことだった。


一説によると、2012年に地球が壊滅的な打撃を受けるような天文学上の大事件がせまっているそうだ。ともかくそれまでは、お互いに折合いをつけて、若者も老人も、この地上でともに平和にくらして行きたいものである。050104

  文章教室 課題「若者」
  提出日2005年1月2005年1月19日

八木先生評
「老壮青がたがいにいがみ合っても、はじまりません。世代差は埋めようもありませんが、仲よく暮らしたいものですね。」

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八木先生は、具体的に言うと、「その手の大人」とは、大学2年生の私を賄いつき4畳半から追い出した主婦であるが、彼女が賛美した石坂洋次郎には「石坂洋次郎など話にならん」と言わんばかり、フン!という顔つきをされた。国文科卒の先生の卒論テーマが太宰治だとはすでに聞いていたが、彼女の「太宰非難」については、あまりにバカバカしいと思われたのだろう、言及だにされなかった。常にアンテナを張って古典・現代ものを問わず貪欲に読破される先生の若さは驚きだったが、残念ながら八木亜夫文章教室は幕を閉じたようだ。

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