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【本】ひとりでも生きられる

著者はこの本を出して一年せぬうちに得度して瀬戸内寂聴となったが、当時はまだ瀬戸内晴美だった。青春出版社1973年の版であるが、わずか3ヶ月で74版というから、人気沸騰のベストセラーだったわけだ。今見るとずい分古ぼけて、表紙が擦り切れている。しかし、図書館の薄暗がりの中で、なつかしい文字が私をひきつけた。実際のところ、人は誰もひとりでは生きられないが、このタイトルがまるで福音のように力強くひびくのは . . . 本文を読む
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湖岸に青春の歌を聞く

ひょんなことから、松江高校の寮歌を聞くことになった。 白潟公園を散歩していた5月の午後、書道家の記念碑の前に佇んでいると1人の男性が話しかけてきた。小柄だが姿勢はよい。石碑の漢文をすらすら読むところから、70代以上と見た。書道家の生年が私の父と同じでなどなど話しているうち彼が 「向うの詩碑はご覧になりましたか」 詩碑とは、去年8月に掲載した杉山平一の「旗」の碑。 その前日、富岡多恵子の「難波と . . . 本文を読む
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カラスノエンドウ

今日は24節気の芒種(ぼうしゅ)で小満と夏至の中間だ。 芒種とは稲などを植える日と言う意味。 ちなみに沖縄では梅雨のことを小満芒種というそうだ。 そろそろ、当地も入梅だろうか。 カラスノエンドウの黒い莢がはじけていた。 数日前はまだ莢のままだったし、その数十日前までは可憐な花をつけていた。 それは夏祭に出かける娘が、すらりと伸びた肢体に派手な浴衣 をまとったような感じがした。 人目を引く若い日は . . . 本文を読む
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