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家の仔犬

       
         「家の仔犬」                 
                   4年5組     1954年11月26日


今、家にいる男の仔犬は、4週間位前、ロンが産んだ仔犬です。
産まれてから3週間位までは、ゆかの下で、母親のロンのお乳で大きくなりました。
だから、薄暗いゆか下から初めて出て来た時は、わけが分からないというように、きょとんとして、ロンの後からばかりついて行きました。
首の所が、えりまきをしたように、二重にふくらんでいました。
目と目の間の額に、茶色のしわのような筋が、2,3本ついています。
弟と二人で、タロという名前をつけました。タロはいつも元気良く、しょんぼりしている時がありません。まだ良く歩けないうちに、チョコチョコと庭のすみずみを走りまわると、すっかり満足したように、ロンの所へ走っていって、お乳を飲みました。

二日目の日に、私は外に出て、タロに朝のあいさつをしようと、台所のうらの、日当たりの良い場所を、一生懸命、仔犬をさがして歩きまわりましたが、すがたが見えません。すると、かんながぎっしり生えている中で、がさがさ音がして、そのすきまから、タロの顔が見えました。見ると、太いかんなの茎をがりがりかじって、根本からかじりたおしているのでした。私は「この前の映画で見たビーバーのようだなあ」と半分感心し、半分びっくりしながら、この可愛い仔犬をながめていました。

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母親のロンは3年前に飼い始めた雑種の犬。→2011-07-21「ルース台風」
(当時は犬は町を自由に歩いており、野犬刈りに備え、注射と首輪だけはしていた。
一度捕まって保健所に受け取りにいったこともある。)
タロの父親はだれで、他の兄弟はどうなったのだろうか、書いてないが。
5年後に大阪の親戚に貰われていった犬も「タロー」だが、果たしてこの仔犬だろうか。
「映画で見たビーバー」と言うのは、旭相互銀行か学校かで見た文化映画だと思う。

後段がのびのびとしていて好きである。ただやはり終りが唐突な感じが…。
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