映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
【本】花いちもんめ。
2008年05月24日 / 本
著者 松田寛夫 発行 1985年 講談社
松江城や宍道湖など親しみある地名が出てくるということで手に取った。
出版後たちまち再版、三版を重ね、同じ年に千秋実、十朱幸代主演で映画化もされた。
アルツハイマーと診断された松江在住のもと大学教授(72才)が主人公。
まず診断がつくまでが長い。物忘れがひどいので、妻の勧めでしぶしぶ旧知の医者にいくのだが「年をとれば誰だってそげですが。私だってしょっちゅう、家内に文句いわれちょうますが」と笑い飛ばされる。それで「お父さん、よかったですねぇ」と妻が安心したのもつかの間、次の夏には職場を首になり、孫を連れて失踪してしまう。
この様に、いわゆる家庭医の認識不足から、病気が見逃されることは、今もよくあることだ。ついに専門医に見せて受けたアルツハイマーとの診断に不安を覚える彼は鳥取の痴呆(認知症)老人専門施設に同病の元同僚を訪ねる。著者は実地に取材した様子で、鍵のかかった大部屋で徘徊する老人達の描写は真に迫っている。
この他、施設の不足、大阪の精神病院での入院の実態、働き盛りの息子の会社や家庭の問題、嫁の献身が報いられず、肉親の非難を浴びる、老妻が心労で倒れて死ぬ、etcの問題を作家は入念に並べている。このあたり、「序の舞」「柳生一族の陰謀」などのシナリオライターとしての作者の実力がうかがえる。
ついに松江の実家に連れ帰り、嫁が看護に当たるが、過労で倒れる。最後は、息子が本気で病院を探し、30代の医師が年間数百万円の赤字で経営している岡山の私立病院にやっともぐりこませることで、何とか話のしめくくりがついている。
初刊から23年たった今、認知症への社会的認識も変わり、医療や介護の状況はある程度進歩したが、本人と家族の心理には大いに共通するものがある。
松江城や宍道湖など親しみある地名が出てくるということで手に取った。
出版後たちまち再版、三版を重ね、同じ年に千秋実、十朱幸代主演で映画化もされた。
アルツハイマーと診断された松江在住のもと大学教授(72才)が主人公。
まず診断がつくまでが長い。物忘れがひどいので、妻の勧めでしぶしぶ旧知の医者にいくのだが「年をとれば誰だってそげですが。私だってしょっちゅう、家内に文句いわれちょうますが」と笑い飛ばされる。それで「お父さん、よかったですねぇ」と妻が安心したのもつかの間、次の夏には職場を首になり、孫を連れて失踪してしまう。
この様に、いわゆる家庭医の認識不足から、病気が見逃されることは、今もよくあることだ。ついに専門医に見せて受けたアルツハイマーとの診断に不安を覚える彼は鳥取の痴呆(認知症)老人専門施設に同病の元同僚を訪ねる。著者は実地に取材した様子で、鍵のかかった大部屋で徘徊する老人達の描写は真に迫っている。
この他、施設の不足、大阪の精神病院での入院の実態、働き盛りの息子の会社や家庭の問題、嫁の献身が報いられず、肉親の非難を浴びる、老妻が心労で倒れて死ぬ、etcの問題を作家は入念に並べている。このあたり、「序の舞」「柳生一族の陰謀」などのシナリオライターとしての作者の実力がうかがえる。
ついに松江の実家に連れ帰り、嫁が看護に当たるが、過労で倒れる。最後は、息子が本気で病院を探し、30代の医師が年間数百万円の赤字で経営している岡山の私立病院にやっともぐりこませることで、何とか話のしめくくりがついている。
初刊から23年たった今、認知症への社会的認識も変わり、医療や介護の状況はある程度進歩したが、本人と家族の心理には大いに共通するものがある。
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私が介護していた時分義理の母「20年程」は「ボケ」「気が狂う」とかいって、今のように施設がなくて、精神病院のような所でした。神経がぼろぼろなるほどに体験して私の人生も終わりかと思うくらいでした。