映画の感想など・・・基本的にネタばれです。
しづのをだまき
〔映画〕ヒョンスンの放課後
2004年 英国 94分 監督:ダニエル・ゴードン
A State Of Mind /11月16日 第七芸術劇場にて鑑賞
マスゲームの練習に励む13歳の平壌の少女ヒョンスンを
BBCが8ヶ月かけて取ったドキュメンタリー。
似たようなテーマの「金日成のパレード」(1989年ポーランド)
と比較すると、残念ながら、ぐっと見劣りがする。
「ヒョンスンの放課後」と言う日本でのタイトルは純真な
子供を主人公とした心あたたまる映画のようにひびくが、
原題の意味は「ある精神状態」でそれ自体が、痛烈な
皮肉である。
前作「奇蹟のイレブン」が好評を博し、当局から無制限の
通行許可証をもらった英国チームは、現体制を賛美も糾弾もしないという
態度で終始したのじゃないかと思う。
一方ポーランド国営TVチームは、過去の経験で全体主義への
生理的嫌悪感を持っているから、容赦がない。
かれらは、コメントは一切入れずに映像だけで、十分に意図が
伝わるような映画を作った。言論の自由のない圧政下での表現法
に長けていたからだ。
さて少女は「将軍様に見ていただく」ことを心の支えに、寒気の中
苛酷な練習に耐えるのだが、金正日は大会の12日間を通じて、
ついに一度も現れない!「国の大切なお仕事できっとお忙しいのです」
と失望を隠すヒョンスン。見終わって残るのは、荒涼たる湖の上
で凍えた一羽の白鳥のような、彼女の優美な肢体と、愛らしい
顔に浮かぶいたいたしい微笑だけである。
ところで、私事であるが、高1だった1960年ごろ、来県された
美智子&皇太子夫妻への歓迎マスゲームに(授業中に女子のみ)
駆り出された私は、傘は勿論、帽子もご法度で「ご来場」を
待ち、計一時間近く小雨に濡れて、そのあとひどい風邪を引いて
しまった。以来、マスゲームと菊の紋章がだーい嫌いになった
のは自然な成り行きだろう。
A State Of Mind /11月16日 第七芸術劇場にて鑑賞
マスゲームの練習に励む13歳の平壌の少女ヒョンスンを
BBCが8ヶ月かけて取ったドキュメンタリー。
似たようなテーマの「金日成のパレード」(1989年ポーランド)
と比較すると、残念ながら、ぐっと見劣りがする。
「ヒョンスンの放課後」と言う日本でのタイトルは純真な
子供を主人公とした心あたたまる映画のようにひびくが、
原題の意味は「ある精神状態」でそれ自体が、痛烈な
皮肉である。
前作「奇蹟のイレブン」が好評を博し、当局から無制限の
通行許可証をもらった英国チームは、現体制を賛美も糾弾もしないという
態度で終始したのじゃないかと思う。
一方ポーランド国営TVチームは、過去の経験で全体主義への
生理的嫌悪感を持っているから、容赦がない。
かれらは、コメントは一切入れずに映像だけで、十分に意図が
伝わるような映画を作った。言論の自由のない圧政下での表現法
に長けていたからだ。
さて少女は「将軍様に見ていただく」ことを心の支えに、寒気の中
苛酷な練習に耐えるのだが、金正日は大会の12日間を通じて、
ついに一度も現れない!「国の大切なお仕事できっとお忙しいのです」
と失望を隠すヒョンスン。見終わって残るのは、荒涼たる湖の上
で凍えた一羽の白鳥のような、彼女の優美な肢体と、愛らしい
顔に浮かぶいたいたしい微笑だけである。
ところで、私事であるが、高1だった1960年ごろ、来県された
美智子&皇太子夫妻への歓迎マスゲームに(授業中に女子のみ)
駆り出された私は、傘は勿論、帽子もご法度で「ご来場」を
待ち、計一時間近く小雨に濡れて、そのあとひどい風邪を引いて
しまった。以来、マスゲームと菊の紋章がだーい嫌いになった
のは自然な成り行きだろう。
コメント ( 13 ) | Trackback ( 0 )
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記事とは関係ないのですがブログを引っ越ししましたのでお知らせします。いやいやスパムメールにほとほとです・・・これからも宜しくお願いします!
cinematheworld.blogspot.com/
お引越しとのこと、心機一転で一層の健筆を祈ります
こちらからもお返し致します。
文字化けしたようですがそのまま掲載しましたので、
ご了承願います。
TBとコメント有難うございます。
幅広く色々見ておいでなんですね。
雅楽奏者を思い出すようなHN
は本名ですか?
私は「金日成のパレード」のことは全然知りませんでした。
似たような題材のすぐれた作品があったとしても、15年たって今の北朝鮮の一面をドキュメントしようとする取り組みは大切だと私は思います。
内容的にはNHKのTV放映番組のようなものでしょうけど、私はスクリーンでの鑑賞がよかったと思っています。
こういったものに興味をもつ人は少ないというのが現状ですけどね・・。
以前は日本でも似たようなこと?があったのですね。
そうなんです、マスゲームは組織の一致団結を誇示するためのパフォーマンスですから、全体主義国家(東欧ソ連など)にはつきものです。日本も戦前は全体主義でしたが、それが、地方によっては戦後も残っていたのです。たしかに、北朝鮮の情報は限られていますので、ないよりはましですが、かえるさんも一度「金日成のパレード」をご覧になれば、私がここまで言う気持ちをお分かりになると思いますよ。すごかったんですから・・・・・あの迫力と、あの笑いは。多分、経験したポーランドだからこそ、作れたのでしょう。
全編北朝鮮で撮影されたドキュメンタリー映画を見るのは、今回が初めてでした。
本作と比較するために、機会があればポーランドの作品も見てみたいです(そういえば、つい20年まではポーランドをはじめ東欧諸国は閉鎖的な社会主義国ばかりでしたね)。
同じく社会主義国のドキュメンタリーでは『ニーハオとう小平』という中国作品が大阪のシネ・ヌーヴォで上映されているので、興味をもっております。
さっそくの返コメントとTB、有難うございます。
シネ・ヌーヴォの「ニーハオ小平」のお知らせ有難うございます。ところで貴HNですが「狗」の字を使われたのは愛知県の地名と紛らわしくなるからですか?
知りませんでした。そんな危ないタイトルで
次回作が作れなくなるなんてことがありませんように。
大阪では1週間限定で都合がつかず、あきらめていたのですが、神戸でこの土日やってるので行こうかなと
思ってます。昔、猪木さんのプロレスをみに平壌へ
いったツアーで、マスゲームをみたこともあり、この映画に期待しているのですが、いまいちのようですね。でも、やっぱり行こうかなあ・・・。
ではまた。
ブログアップしてTBさせていただきました。
ご自分でマスゲームの経験がおありとは貴重ですね。
以前は、みんなやっていたのでしょうか?
今度は「金日成のパレード」(1989年ポーランド)
見たくなってきました。1,2年前シネヌーボで
やっていた気がするのですが。映画館でみれる日を
まっています。
私の時代(と言うと40年以上前ですが)は、運動会で、小中高校とも女子は大体マスゲームかダンス、男子は相撲体操や組み体操をやっていました。練習時間が長くて、閉口しました。今はやらないのですか?そちらの方がオドロキです。
ところで、拝見したところ、もっきーさんは実際ピョンヤンに行ってきたのですね。これはこれは。
共鳴するところがあり、TBさせていただきましたが、うまくいってないのかな?反映されていないようなのでリンクを。
http://kmot.blog9.fc2.com/blog-entry-613.html
日本でもマスゲームあったのですね。他人事だと思っていましたが、傘も帽子もダメとは今の北朝鮮と同じですね。雨の中1時間なんてヒドイ話ですね。
マスゲームと菊の紋章が嫌いになるのも無理はないですよね。
プロフィールも拝見しました。中東に住んでいらっしゃったとは興味深いです。ブログで記事書かれていますでしょうか?いろいろお話きかせていただきたいです。
私の自己紹介させていただくと、アラサー女性、東京在住です。
仕事でフィンランドとオーストラリアに住んだ経験があります。出張で中東へ行く機会は幾度とあったのですが、女性1人では危ないと許可がありませんでした。うちの会社は単身出張なので。
私のブログは、映画とフィンランド滞在記しか書いてませんが、ご興味ありましたらお暇な時にでも遊びに来てください。
ごくたまに、TBできないことがあるようです。早速お宅を拝見したところで、これからちょいちょい伺います。中東の体験は、今のところ書いていません。課題作文の中で、少しは触れていますが。しかし「アラサー」とは私にとって子供世代にあたるのですね。その若さがまぶしい!